ストロボを当てた感のする写真を修正する方法

ストロボ光を当てた感がしない写真を野外で撮るには。
ストロボ光を当てた感がしない写真を野外で撮るには。

太秦映画村で開催された年1回のコスプレイベント『上洛祭り』の夜撮影で、ストロボを使って撮っていたら、ストロボを当てた感がすると言われた。そりゃストロボを当てているのだからストロボを当てた感はするのだが、この場合はストロボを直接当てているような強い光が感じられるという意味でのストロボを当てた感がするだった。これがスタジオで同じようなライティングで撮ればストロボを当てた感はしないのである。

野外でストロボが光っていればそれは非日常であるから、ストロボを当てるとストロボを当てた感が、日常に慣れた我々の目を通してみると強調されてしまう。しかし自然光の入らないスタジオ撮影では、暗い状態からストロボを当てて自分の力で光を作っていくので、ストロボを当てることが当たり前で、非日常的な背景と調和すればストロボを当てていてもより美しい写真に仕上がる。もちろんその場合、ソフトボックスやアンブレラを使うことが前提となる。

要は野外でストロボを使って自然な感じに撮る場合は、より自然光に見えるような形でストロボ光を当てることを心がければ良いのだが、結局その時は混雑の中での撮影かつ限られた時間の中でカメラやストロボの設定を弄る時間的余裕もなかったので、ストロボをオフにして撮っていった。

何が原因だろうか、この日は彩度を下げて撮って欲しいと言われていたから、そのせいで色が薄くなり寒色によりストロボを当てた感が強くなったのだろうか推察したが、Canonの純正RAW現像ソフトDigital Photo Professionalを弄りながらあれこれ試行錯誤していると、原因は単にストロボ光が強すぎることにあったようだ。

夜と言えば映画やドラマでは寒色の色合いで表現されることが多い。行燈でもあれば別だが、そのような光源が役者に当たっていない場合、月明かりだけが唯一の光源といった場合には寒色で表現される。

ということで、色温度を4200に設定して、明るさも半段ほど下げてみたら、ストロボを当てた感は幾分かは緩和された。後ろに移っている提灯はオレンジ色で煌々と灯っている。その辺りも考慮に入れておきたい。闇夜にほのかに浮かぶ提灯が良い味を出している。

55mm | F3.5 | 1/160s |  ISO500 | DPP lightness -0.67
55mm | F3.5 | 1/160s | ISO500 | DPP lightness -0.67

ストロボを使わなかった写真はどうだろうか。人物の明るさは暗い。問題は背景の提灯が白飛びしてしまう点だ。その場にある光、この場合は障子から照っている照明だけで撮影しているので高感度での撮影になり、提灯の灯りが白飛びしてしまう。この当たりのバランスが難しい。

55mm | F1.4 | 1/80s | ISO1600
55mm | F1.4 | 1/80s | ISO1600

今回はコスプレイヤー側からストロボを光らせたらストロボを光らせた感が強いという要望があったので、ストロボ光を弱めた作風に仕上げた。しかし野外でも状況によってはストロボを強く光らせた方が印象的に仕上がることもあるので、希望に応じて臨機応変に対処することが肝要だ。