待ち望んでいたブルーアワーの時間帯なのに夜景の空が青く撮れない時の対処法!

55mm | F1.4 | 1/100s | ISO 400 | ALO | softbox & umbrella  + speed-light
55mm | F1.4 | 1/100s | ISO 400 | ALO | softbox & umbrella + speed-light

日没後30分前後のブルーアワーと呼ばれる時間帯は、空が青く染まる。確かに様々な風景写真を撮りに行くと、日没の時間を確認して撮る事が多いので、大体日没後30分間は空が青くなり、その30分間で青い空の夜景を撮る勝負となる。30分経つと空が完全に真っ暗になり、青い空の夜景で写すことは難しい。

先日コスプレ撮影で訪れたリバーモール、ここで開催されているイベントは度々夜までやっていることが多いので、夜景も撮れる。

さて日没時間を確認し、空が青くなるのを待ったが、一向に蒼くならない。空が曇っているのだろうか。昼間はあんなに晴れていたのに。雲が出ているか目視で確認してみたが、暗くてよく分からない。

仕方が無いので空の色は気にせずドンドン撮っていった。定番の場所があり、橋のところか、人工の川の北側のところ。他の場所で撮っても夜景があまり入らないという事もあり、結局定番の場所で撮るのが最も写真が映えるだろうという事で、機材を設置して撮影していった。

ブルーアワーの時間帯なのに、空があまり青くならない。
ブルーアワーの時間帯なのに、空があまり青くならない。

ブルーアワーの空を青くするためのRAW現像の設定

結局撤収するまで空が青くなることは無かった。どうしてだろうなぁ、背景をF1.4で暈かしているからかなぁなどと色々考えあぐねたが、帰ってRAW現像している段階で、ピクチャースタイルを風景に変えたら、灰色に見えていた空が一気に蒼くなった。

更に色の濃さを+0.7上げる。これ以上上げると、人物写真なので肌の色が濃くなり過ぎて不自然になる。ホワイトバランス微調整を(-4, 1.5)に設定すると、より精彩な青になった。スクショを載せるのが面倒なので、この辺りの数値は中学の関数の授業で習った座標軸を思い出しながらご自分で想定して頂きたい。

被写体の明るさが足りなかったので、ガンマ調整の右の軸を-0.81に、左寄りにスライドさせて、明るく持ち上げた。

撮影時に想定していた青い空の出来上がり。

空が青くなった。
空が青くなった。

風景写真だとブルーアワーの時間帯に簡単に青い空に撮れるのだけれど、人物写真になると途端に難しくなるのはなぜか。やはり天気が曇っていたからだろうか??雲が出ているかどうか分かりづらい。ひょっとしたら、風景写真は三脚を使って長秒露光で撮るから、比較的明るい設定になるが、コスプレ写真は通常の手ぶれしないシャタースピードで、ISO感度も上げることを躊躇うことが多く、その反面、人物はストロボを当てて明るさを持ち上げるから、全体として暗めの設定になるから、蒼い色が出にくかったのだろうか。またはピクチャースタイルがスタンダードだったので分かりにくかったのか。F値が1.4で空が大いにボケていたからか。或いはやはり天気が悪かったからか。しかし薄墨桜の夜景を撮ったときは小雨の降る中でも空は青く撮れた。

人物撮影においてブルーアワーの時間帯に空を青く撮るための設定

空の色に大きく影響を与えたのはピクチャースタイルの『風景』への変更。その次に明るさだった。後は上で解説したとおり。ホワイトバランス微調整だったり、彩度だったり。とりあえず、ブルーアワーの時間帯に、人物写真をストロボと手持ちで撮る場合に空が上手く蒼くならないようなら、次のことをカメラ側の設定で試してみると良いだろう。

  • ピクチャースタイル:風景(キヤノン機)
  • 彩度:+1
  • ホワイトバランス微調整:ブルー寄り
  • F値:F1.4〜2.8
  • シャッタースピード:1/100秒
  • ISO感度:夜景のイリュミネーションが明るくなる程度に上げる
  • ストロボの光量:モデルの顔が明るくなる程度に設定

1つずつ解説していこう。

キヤノンのカメラの場合は、ピクチャースタイル風景にするとブルーアワーの時間帯の空が青くなる。

ピクチャースタイルの詳細設定から、彩度+1上げる。

肌の色が濃くなるので、ホワイトバランス微調整をブルー寄りに調整する。

F値は手持ち撮影なら、背景のイリュミネーションを明るく撮るために、大口径単焦点レンズの開放F値が望ましい。F1.4が明るさの理想だが、お手持ちのレンズによっては開放F値が大きい場合もあるだろうし、収差が気になったりピントが合わせづらいといったこともあるだろうから、F2迄絞るか、もしくは上限としてF2.8を推奨してみた。

シャッタースピードは1/100秒とした。被写体ブレがしないようなら1/80秒でも良いだろう。なるべくシャッタースピードを遅く設定することで、背景のイリュミネーションの夜景を明るく持ち上げることを想定している。

まずはこれらの設定で、背景の夜景や空がどれほどの明るさで写っているかを確認する。イリュミネーションが想定以上に暗く、空も青く写らないようなら、ISO感度を上げて調整する。

最後にストロボの光量を決める。この時点のカメラの設定で、モデルの顔がどれだけの明るさで写っているか、暗いようならストロボ光で明るく持ち上げる。ストロボが不要なほど顔が明るく、かつストロボを取り付けたソフトボックスでモデルの顔を綺麗に写したいなら、イリュミネーションや空の青さとの兼ね合いを考慮に入れながらISO感度を下げてみる。ただ恐らくこの設定なら、モデルに環境光が強く当たっていない限り、モデルの顔が明るいという事は無いだろう。ISOの設定が高感度なら明るくなっているかも知れないが、上げすぎるとノイズが気になるところだ。

RAW現像を前提として撮る場合の、現場の撮影での設定の注意点

手っ取り早いのは、RAWモードで撮って、家に帰ってからパソコンやタブレットを立ち上げ、RAW現像ソフトでピクチャースタイル、彩度、明るさを変える事だ。撮影現場で行うべき設定は、F値、シャッタースピード、ISO感度、ストロボの光量となる。これらの設定はRAW現像ソフトでは変えられない。明るさは変えられるが、ISO感度も一応適正な明るさになる設定にしておいた方が良いだろう。

ストロボの光量に関しては、真っ暗な設定でモデルだけ明るく撮ると、暗い部分だけ、シャドウや黒レベルのパラメータを持ち上げなければならず、ノイズが発生する恐れがあるから、背景の明るさの設定はF値・シャッタースピード・ISO感度をきちんと設定して、自分の理想通りの明るさにしてから、ストロボの光量を設定しておきたい。イリュミネーション、空、人物、それらが全体的にやや暗めなら、全体を明るく持ち上げるだけの作業で済むので、比較的楽に明るい理想的な写真が出来上がる。例えば冒頭に上げた作例などは、明るさが足りなかったが、ガンマ調整のチャートで明るく持ち上げることで簡単に理想的な明るさに出来た。