白ホリゾンで最も綺麗に撮る方法の一つは、背景をストロボで思いっきり飛ばして、人物の輪郭を光で包み込む撮り方だ。光量の加減が難しいところではあるが、そのように撮って欲しいと言われると、俄然テンションも高まる。美しいからだ。
早速カメラの設定を見ていこう。
シャッタースピード1/100秒・F7.1・ISO500
シャッタースピードが1/100秒なのは、フリッカー現象対策では無く、使用レンズにイメージスタイライザーが付いていて、若干遅いシャッタースピードでも手ブレしない写真が撮れるから。しかし環境光の影響も出てくるかも知れないので、フリッカー現象対策として1/100秒にしてもいいだろう。
とはいうもののF7.1まで絞れば、環境光の影響はほとんど無いように思われる。実際にこのカメラの設定で撮れば、真っ黒に写るのではないだろうか。ISO500というところがその点においては懐疑点だが、また別の日に機会あれば検証しておく。
後はストロボを背後に2灯置いて、1/2の光量(1がフル発光)、もしくは1/4の設定にする。光量の設定に関してはあくまで目安で、ご自身の現場での明るさに応じて最適な明るさになるよう変えていくと良い。
余り明るい発光量にすると、矢継ぎ早に撮った場合に、次の1枚を撮るのにチャージに時間がかかってシャッターを押してもストロボが光らなかったり、ストロボが熱で上がってしまいしばしの休息を与える必要がある。1/2などストロボの光量を大きめに設定している場合は、余り矢継ぎ早に撮るようなことはせず、ゆっくり慎重にシャッターを切っていきたい。
白ホリゾントで神々しく撮るときに一番気をつけたいのは、白飛びだ。正面からも2灯、ソフトボックスとアンブレラで透過したストロボ光を当てている。どうも前と後ろからストロボ光を光らせると、白い壁にバウンスさせた光まで回ってくるのか、明るくなりすぎる面があるので慎重にカメラの設定を見定めたい。
いっそのこと露出アンダーで撮るという手もある。これは白飛びを防ぐための常套手段で、現場では若干暗めに撮っておいて、後からRAW現像ソフトやPhotoshopなどで明るさを持ち上げてやれば、問題なく求めていた理想的な写真に仕上がる。
実際に、コスプレイヤーさんが手を前にかざしたポーズを撮ると、ソフトボックスに近づいた形になった腕が大きく白飛びしてしまっていたので、若干暗めに撮っておく方法は王道と言える。どこまで暗めに撮るかだが、モデルの体の一部分が光源に近づくことを想定した上での、白飛びしない程度でいいだろう。
もう一つの白飛び防止策として、Canonのカメラの場合は、高輝度側・階調優先がある。この機能をオンにすると、白飛びを防ぐ効果がある。ISO感度の最低値が200になるが、既にISO感度は500なのでこの点には問題は無い。
この機能が問題なのは、黒の階調が狭まる点だ。拡張ISO感度50が白飛びしやすくなるのとは反対に、高輝度側・階調優先モードは、黒い部分にノイズが出やすくなったり、黒潰れしやすくなる。
実際にカメラの中で起こっていることは、デジカメウォッチの記事によると、露出アンダーで撮って、中間調を持ち上げているのでは無いかという事らしいが、Canonの企業秘密とのこと。
ということは、やっていることは、先ほど述べたように現場で露出アンダーで撮って、RAW現像ソフトやPhotoshopで明るさを上げるという事と変わりない事になる。高輝度側・階調優先モードにすると、CanonのRAW現像ソフトDPPで取り込んだ際のガンマ調整チャートのダイナミックレンジの幅に明確な違いが現れているので、黒の階調が切り捨てられるなら、Offにして撮って、後からRAW現像ソフトで処理した方がいいのではないだろうか。メリットがあるとしたら、RAWモードでは撮らず、JPEGモードのいわゆるJPEG撮って出しで撮影しているときだろう。カメラの中でRAW現像ソフトがやる処理をやってくれるのだから、後からレタッチが不要になる。
また、輝度の低い階調が切り捨てられるというとは、メリッとして背景の黒を中途半端な黒では無く漆黒の黒にしたい場合には、このモードの副作用も効果として生きてくるのではないだろうか。高輝度側・階調優先モードについては、自分でもいずれ検証してみたいと思う。下記にCanonの高輝度側・階調優先モードに関する外部サイト記事の参考URLを掲載しておくので、各自判断に任せたい。
今回は、色々面倒だったので、高輝度側・階調優先モードで撮る事にした。レイヤーにその場でデータを見せる際に説得力を持たせるためには、イメージ通りの明るめに撮った方がいいに決まっているし、後から明るくすると一々説明するのも面倒くさい。
高輝度側・階調優先をオンにすることで、白飛びも抑えることが出来た。黒潰れの方だが、衣装は黒いとは言え、ストロボで明るく照らしているのでこちらの方はチャート的にも全く問題なかった。
JPEG撮って出しで撮る際には有効な機能なので、積極的に活用していくといいだろう。