白ホリゾントで背景を白く撮るカメラの設定

白ホリの壁を白に撮るためのカメラの設定。
白ホリの壁を白に撮るためのカメラの設定。

白ホリゾントで人物を撮るのは地味に難しい。何人もの人から白は難しいと聞かされたことがある。

その原因として考えられるのは、ストロボを使って撮らないからという点。天井の照明が蛍光灯の場合は、シャッタースピードによっては蛍光灯のフリッカー現象に悩まされて何枚かに一枚の割合で黄ばんだような変な色に撮れてしまうことがある。ざっくばらんに言えば、写真の色がバラバラである。

その場合はシャッタースピードを1/100秒より遅くすれば解決するが、人物撮影を撮る際のオーソドックスな焦点距離から導き出される手ブレしないシャッタースピード1/125秒より若干遅い設定だから(1/焦点距離×2(秒))、何とも面倒くさい。更に面倒くさいことには劣化した蛍光灯が混じっている場合は更にそれよりも遅いシャッタースピードにしなければならない。自由にシャッタースピードを設定できないというのは、カメラの設定の幅だけで無く、思考の幅も削いでしまい、ひいては表現の幅をも狭めてしまう。

ではストロボで撮れば楽かというと、そういうわけでもない。まず背景を白く飛ばすか、若干色を残すべきかという問題が立ちはだかる。中途半端に色を残すよりも背景を飛ばせば被写体がより綺麗に見える。これは後からPhotoshopの切り抜きで対応できるが、面倒な場合は現場の撮影でやってしまいたい。

背景を白に飛ばすにしても、明るすぎるカメラの設定は被写体の白飛びを招き寄せる。更には陰影をつけて立体的に一灯で撮るか、両側から2灯で撮って陰影をすべて飛ばして撮るかという問題。何かと難しい。

今回上げる作例は、幽霊キャラという事で、浮いている感じに撮って欲しいという事だった。白い台に白い布をかぶせてその上に乗っている。この白い布が消えるように撮って欲しいという。

今回のカメラの設定はF5、シャッタースピード1/125秒、ISO感度1250。

ISO感度を1250まで上げるくらいなら、ストロボの光量を強めた方が良かったのではと後から自分のデータを確認して思ったのだが、ISO100・F8で撮ると白ホリが灰色、ISO640・F5でモデルが白飛びするくらいの光量で撮ると、白ホリがちょっと黄ばんだ感じの白になったから、ISO1250に設定し、ストロボの光量を下げて撮ったのだろう。これで作例のように白い背景の白ホリゾントになった。

浮いているように見えるのは、コスプレイヤーさんがマフラーを波打つように加工したから。実際現場での撮影では、マフラーは足の下に長く垂れ下がっている。足の爪先とマフラーの先端が同じ位置の場合は、浮いている様は見えなかったので爪先より長くマフラーを垂らして貰うよう指示したが、正解だった。