メインの被写体に視線を集中させる日の丸構図の撮り方

日の丸構図で視線を被写体に集中させる。
日の丸構図で視線を被写体に集中させる。

構図を決める時はコスプレイヤーさんの提案が入っていることも多い。今回は広めに撮って欲しいと言われた。まず風景だけの写真を撮り、次に人物を入れた写真を撮る。ぽつんといる感じが良いという。現役を引退して師範になったヒーローの寂寥感といったところだろうか。

季節は11月上旬で、紅葉はまだ色づいていない。青紅葉に紅葉が若干混じっているといった呈だ。

この日は4本の単焦点レンズを持ってきていた。55mm/85mm/200mm/400m。背景を暈かした方が良いかクッキリ撮った方が良いかと聞いてみたが首をかしげていたので、暈かして空気感を出すことにした。広々と撮る時は通常なら風景写真と同じように絞って全体をシャープに撮るものだが、被写体以外を暈かした方が背景のゴチャゴチャとした情報を整理できて良いような気がした。

カメラの設定はF1.4・シャッタースピード1/1000秒・ISO感度200。焦点距離は85mm。

斜め構図で動きを出してみた。
斜め構図で動きを出してみた。

200mmだとF2.8になる。被写体がぽつんといる写真なのでかなり距離を取る必要があり、余り暈けないような気がした。400mmだと更に距離を取る必要があり不便なので却下。55mmか85mmどちらが良いかと言われたら、85mmの方が良く暈けて良い。

逆光だとピントが合いづらいものだが、恐らく紅葉が太陽の日差しを遮断してくれていたせいかカメラにまでは届かずピントは合いやすかった。使用レンズはマニュアルフォーカスのみのOtus1.4/85。いつものやり方でピントを合わせたら、後はトルクを回して微調整してガッチリとピントが合ったら、立ち位置だけでなくカメラの位置もなるべく変わらないよう心がけて矢継ぎ早に撮っていく。

このような構図で撮る場合、紅葉をたくさん写すか、被写体を真ん中に置く日の丸構図にするか、地面をより多く写すかの3択が迫られる。後は水平に撮ったり斜めに傾けたり。今回は日の丸構図が最も良いように感じられた。被写体を小さく写すと目立たなくなる傾向にあるが、ど真ん中に置くことで視線を被写体に集中させてくれるので、小さく写すことのデメリットを補ってくれる。

日の丸構図というと初心者が選びがちな構図という事で批判されがちで、その批判も何を撮る時でもど真ん中に被写体を置いてしまいがちになるという意味ではあながち間違ってはいないのだが、適材適所に日の丸構図を用いることで写真が締まるので、この構図が写真に及ぼす効果を覚えておけば、今回のように被写体の魅力をうまく引き出せることだろう。