撮影現場でカメラの設定をどこまで詰めるべきか

カメラの設定は現場でどこまでするべきか。
カメラの設定は現場でどこまでするべきか。

ライティング機材を組み終わったら何枚か撮影して、コスプレイヤーさんに背面液晶画面を通して写真を確認して貰い、好みの色味や明るさなどを聞きながらカメラの設定を変えて撮影を再開していく。だいたいこの流れとなる。

いつもRAWモードで撮っているから、家に帰ってからパソコンで色温度や彩度やピクチャースタイルなどを、撮影している時と同じ感覚で画像を劣化させることなく変更できるのだけれど、やはり現場で出来るカメラの設定は現場でやっておいたほうがいいなということで、色温度や彩度を変えたりする。

まず初めの指定が、不思議な雰囲気のする感じに撮って欲しいということだった。不思議な、という言葉ではなかったかもしれないが、そういう感じの写真だ。そういうキャラクターなのだという。

不思議な感じ、ということで迷ったのだが、まずやることといったら、F値を下げて背景を思いっきりボカすことだろう。これで不思議な感じが出てくる。あとは明るい感じよりも、少しだけ顔に陰影をつけた感じの方がいいと言われた。アイドルのキャラクターを撮る時みたいに顔を真っ白に飛ばして撮るのではなく、不思議な雰囲気を残した感じのイメージに仕上げることにした。

model:AYA | Canon 1DX | ZEISS Otus1.4/85 | F2.2 | 1/250ss | ISO:100 | WB:Auto
model:AYA | Canon 1DX | ZEISS Otus1.4/85 | F2.2 | 1/250ss | ISO:100 | WB:Auto

これらボケと直結するF値や、陰影に関わるライティングは、RAWモードで撮っていても後から変更できない。厳密に言うとPhotoshopでやれないことはないが、すごく手間のかかる面倒くさい作業になってくる。背景のボケや顔の陰影のつき具合を、現場の設定ではなくPhotoshopを使って数十枚変更してくださいと言われたら、辟易とすることだろう。

さて、次は別のシーン。彩度を落として撮って欲しいと言われる。先日の撮影でも同じことを言われて彩度を落として撮影した。キヤノンのカメラの場合はピクチャースタイルの項目から、彩度を調整することができる。

最大値の-4まで彩度を落としたが、もう少し落として欲しいと言われる。セピア色っぽくしたいと言う。僕も同じことを考えていたが、これ以上は彩度を落とせない。かといってセピア色に設定するのも面倒なので、仕方なしに撮っていく。

セピア色一つ取っても、人によって好みのセピア色というのがある。色味を大きく残しつつのセピアっぽい色なのか、子供の頃のアルバムのようなセピア色の色褪せた写真なのか、骨董品店に飾ってあるようなそれこそ19世紀末から20世紀初頭の彩りのあまりないセピア色なのか。

相手が理想とするセピア色を突き詰めていこうとすると、それだけで時間が取られてしまう。撮って、確認してもらって、ダメならまたポーズをとってもらって撮影、そして確認。考えただけで大変だ。

コスプレ撮影の場合は、例えばスタジオ撮影などでは退出時間が決まっているのだが、だいたい退出時間の30分前には撮影を終了して着替えや片付けに入ることが多い。そして大方の場合、時間が余るということはなく、指定された時間まで使い切るといったことが大半だ。時には様々なアクシデントから、時間が全く足りないといった事態も生じる。