下からライティング

下からライティングの魅力。
下からライティングの魅力。

下からのストロボはお化けライティングになるとネット上でもよく言われているが、レフ板の使い方にしても、どうもそのような発言をしている本人達が余りストロボやレフ板を使って人物を撮ったことがないんじゃないだろうかと窺われる節がある。まず共通しているのが自分で撮った作例を載せていない。写真を載せてはいるが、顔の下から懐中電灯を当てたストックフォトだったりする。如何にも教科書的な話に終始している。ドラマ制作の実績がないカメラマンなのに、ドラマや映画の撮影シーンや映像系専門学校に掲載されていたものと思われるネットの拾い画像を引き合いに出して、上からレフ板を当てていると鬼の首でも獲ったように勝ち誇りながら解説している。

ところが最近観た映画の予告編では巨大な白い幕を地面に敷いてその後ろに役者達を立たせて撮影しているシーンを見かけた。CM撮影のシーンでも大きなレフ板を床に立てて斜めにして被写体に光を当てているのを見かけた。他のカメラ関連の商品紹介動画をたまたま見たときも、モデルの顔に近づけて真横から下にかけて太陽が反射するように斜めにして当てているのを見かけた。上からレフ板を当てているのを見たことがない。

下からストロボを当ててもお化けライティングにならないようにすることは出来るし、敢えて下からストロボを当ててお化けライティングを演出することも出来る。今回は3灯ライティングで撮っていてたまたまメインと背後のライトが光らなかったときの写真が撮れたので、下からライティングの作例としてあげたい。

50mm | F8 | 1/125s |  ISO800 | DPP lightness +2
50mm | F8 | 1/125s | ISO800 | DPP lightness +2

右下の地面にストロボを置いて白い透過アンブレラを被せている。明るさが足りなかったのでRAW現像時に+2ほど明るさを上げてみた。ISO感度800からの明るさ修正なのでノイズ処理で描写がやや潰れてしまっているが、閲覧する分には問題ない。むしろノイズ処理により滑らかな描写に見える。

血気迫る一刀のシーンが撮れた。偶然からこのような写真を得ることが出来たのもまた面白い。

先日訪れたコスプレイベントの撮影中に、地面にゴドックスの正方形のソフトボックスを置いて撮影している一組を見かけた。キャラクターは『東京喰種トーキョーグール』。あのキャラクターなら下からライティングでお化けっぽくなってもむしろイメージに合っているだろう。

そういえば筆者も昔『東京喰種トーキョーグール』をスタジオで撮ったときに、低く設定した三脚にストロボを取り付けて透過アンブレラを被せて下からライティングで撮っていた。そうしたらその場にたまたま居合わせた撮影レイヤーの知り合いのカメラマンに小馬鹿にされたことがあった。

撮影した写真は下からのライティングだったが、言うほどお化けライティングにはなっていなかった。レイヤーが姿勢を低くしてポーズを取っていたというのもあるだろう。仮に下からライティングで若干下からの光が強くあっても、その時撮影していた『東京喰種トーキョーグール』の赤目状態の霧島薫香なら、何ら問題はないであろう。