池や堀などに桜や紅葉が写っている写真、所謂リフレクション写真を綺麗に撮るにはどうしたら良いかとずいぶん以前に記事にしてあれこれ試行錯誤していた記憶がある。
風が吹くと水面がさざなみたつので、ISO感度を高くして速いシャッタースピードで撮れば良いのではないかとその時は考えていた記憶があるのだが、よくよく考えてみると、漣だっている状態でシャッタースピードを速めて撮っても、漣だった池のリフレクションが写るだけだ。
東寺の紅葉ライトアップを訪れて、撮影スポットに足を運んでみると、池に波紋が立っていた。池の鯉のせいだろうか、それとも風のせいだろうか。なかなか波紋が止まない。
結局の所、運任せな所がある。この日は風が吹いていた記憶がない。
F値は、そりゃパンフォーカスで前から後ろまでシャープにボケずに写った方が池のリフレクションだってシャープにクッキリとしっかりと反射した形でもう一つの五重塔が池の中に現存しているかのように写るだろう、ということでF11。という理由で絞ったわけではなく単に風景写真だし全体を解像感豊かに写したいという理由でセオリー通りにF11に絞っていただけなので、リフレクションがどうのということは撮影時には頭の中にはなかった。
作例を見て頂いた方が早いので、シャッタースピードを参考にして頂きたい。しかしおそらく参考にはならないかも知れない。池が静まっているか漣だっているかが主原因だろうから。
シャッタースピード8秒で撮影。等倍で見るとややボンヤリとしたリフレクションになっているが、引きで見るとシャープに見える。焦点距離18mm。
シャッタースピード13秒で縦構図。三脚を使った縦構図はブレやすい。等倍で見ると五重塔はシャープに写っているが、木々がややブレているから、振動が伝わった可能性がある。リフレクションは先ほどよりもボンヤリしている。シャッタースピードが長いのはやはり致命的なのだろうか。焦点距離24mm。
シャッタースピード8秒。焦点距離11mmで撮影した写真をトリミングしている。超広角レンズで撮ったのでリフレクションが歪んでいる。ややボンヤリな描写。引きで見るとシャープに見えないこともないが歪んでいるのが致命的。
シャッタースピード8秒。24mmの縦構図。歪まない超広角ズームレンズCanon EF11-24mm F4L USMの特性が生きた。水面に映っている五重塔も申し分なく静止している。等倍で見ると画質的には高感度撮影で撮ったような解像感だが、水面に映っている塔だから当然か。
シャッタースピード10秒。焦点距離11mm。こちらも同じくシャープにリフレクションしている。
シャッタースピード5秒。焦点距離19mm。こちらもシャープなリフレクション。
以上の結果から、綺麗なリフレクション写真を撮る条件に、焦点距離、シャッタースピードは関係していないように推察できる。やはり風のない気象条件と池の鯉の二つに寄るだろうか。
10秒前後の長秒露光で紅葉が風に揺られている気配もないから、この日は無風だったのだろう。しかし一方で池の水面は波紋をせわしなく立てたりしていた。鯉が原因だろうか、それとも紅葉を揺るがせるまでには至らない僅かな風が水面を漣だたせていたのだろうか。
写真編集ソフトで調整することを忘れずに
最後になったが、長秒露光で撮影してもやや暗めでリフレクションしているように見えなくても、明るさを上げてやるときちんとリフレクションしているので、最後まで諦めてはいけない。後は写真編集ソフトでカリカリにすると、本物と比べてやや精彩に欠けるリフレクションの五重塔がシャープになる。ここに上げた写真の半数以上は明るさを上げてカリカリに加工する事でリフレクションが目立つようになった。その方法はまた後日プレミアム記事で紹介していきたい。