コスプレ撮影で路地に入り込んで、エモい写真を撮ろうという事になった。今気づいたのだが、確かエモいという言葉をコスプレ撮影をしていて初めて直に聞いたのは、この日だ。路地には古い民家や蔦の絡まった壁、エアコンの室外機などがある。ポートレートを撮る時によくこのような狭い路地に入って撮る事があるが、まさにそれだ。
こういう場所に惹かれるのはなぜだろう。子供の頃に草深い空き地や路地で遊んだ思い出だろうか。それともやはり過去の経験に関係なくエモいイメージだからだろうか。感性が合うのだろうか。
のんびりと撮影していたら、どこからともなく猫がやって来た。やって来ただけなら良いが、僕の機材に興味を示して、中に潜り込もうとする。
おそらく飼い猫なのだろう。街中の野良猫は人を恐れ、人が近づくと逃げていく。一方で田舎の、漁師の町の野良猫は、漁師達から魚のお裾分けを貰っているからだろうか、人を恐れず人懐っこい。
しばらくコスプレイヤーさん達と一緒に猫と遊んだり撮ったりしていた。マニュアルフォーカスだと動き物は撮りづらい。猫を捕ることは想定していなかったので、単焦点レンズのAFレンズは持ってきていなかった。そういえば別の場所で黒い野良猫二匹を見かけて、着けていたマニュアルフォーカスレンズで撮っていったが、やはり良く動くのでピント合わせが難しかった。
ではAFのズームレンズで撮ってみてはどうかとやってみた。
またこれも難点があり、手ぶれ防止機能をOnにしていて、やや暗い場所でもあったので少しでも明るさを確保しようと、シャッタースピードを1/80秒に設定していると、猫のような激しく動き回る動物はブレるブレる。手ブレではなく被写体ブレが起こった。
猫は可愛いもので、ピントがボケていてもそれはそれで愛着のある写真が撮れる。やがて飼い主さんも帰ってきて、あれこれとお話を伺った。
ひょんな事からの猫との遭遇。すっかり撮影も忘れて和みモードに突入していたのだった。