etoile studio

雑誌の取材や記者会見風に撮る方法! 〜イラストの再現を試みる際の5つの心得〜

55mm | F9 | 1/125s |  ISO1600 | M
55mm | F9 | 1/125s | ISO1600 | M

スマホでイラストをさっと渡されて、記者会見や雑誌の取材風にストロボが焚かれている感じで撮って欲しいと言われた。

イラストを再現して欲しいという依頼はこれまで撮ってきて何度もあった。こういうときはカメラマンの腕の見せ所となる。今まで蓄積してきた知識と経験を総動員して、いかに目の前にあるイラストと同じ写真を撮ることが出来るかと腕試しだ。

例えるなら数学の問題を解くのと似たような、落語で言うところの大喜利のような、お題を出されてそれに対して頭をひねらせて回答を導き出していく。知的興奮がある。

実際に撮ってみたのだが、緑のスタジオだったので、やはり向こう側にカメラマンがいると言うようには行かなかった。しかしこれが黒ホリゾントのスタジオなら、うまく再現できていただろうと推察出来る。

撮影手順

冒頭の写真の撮影手順を見ていこう。

絞りはF9。結構絞っている。絞ることで光が放射線を描くようになるのだが、今回クロスフィルターなしの状態では形が弱かった。

そこでストロボ光をイラストにあるような十字にするために(ひょっとしたらイラストでは十字ではなかったかもしれない。エヴァンゲリオンのアイキャッチのような誇張した表現を好むために使った可能性もある)、この日持参していたクロスフィルターを用いた。どんなシーンで役立つのか分からないから、何でももってきておくものだ。

ISO感度は1600。F9まで絞ると暗くなるので、ISO感度を上げてストロボの光を強くし、スタジオも明るくした。背景の緑が消えないか期待したがこちらは無理だった。シャッタースピードは1/125秒。これもストロボ光が届かない部分をなるべく明るくなるように意図した。

ストロボの配置

ストロボをどう配置するか。3灯使った。テーブルの上、棚の上、小型三脚に取り付けたアンブレラホルダーを横向きにして。気をつけなければならないのはストロボの重量で三脚が斃れそうになる点だ。この日1、2回程倒した。落としどころが悪ければまた割れて壊れていただろう。

3灯のストロボを使用。
3灯のストロボを使用。

もうワンカット、イラストの再現を頼まれたので挑戦した。しかしやはりイラストの背景とスタジオの背景の明るさが違うので、同じようにはならなかった。

絞り値とクロスフィルターの組み合わせによる光の形の違いを比較

暗い設定で撮った作例を見てみよう。クロスフィルターなしでF10まで絞ると、ストロボ光は以下の写真のような形状になる。やや十字が足りない感じだったのでクロスフィルターをレンズに取り付けたというわけだ。

55mm | F10 | 1/250s |  ISO100 | M
55mm | F10 | 1/250s | ISO100 | M

ちなみにクロスフィルターなしで開放F1.4で撮影すると、以下の写真のように光は丸くなる。

55mm | F1.4 | 1/125s |  ISO100 | M
55mm | F1.4 | 1/125s | ISO100 | M

クロスフィルターを着けた状態でF値1.4で撮ると以下のような写真になる。クロスフィルターがあればどのようなF値でも光を十字にしてくれる。

55mm | F1.4 | 1/125s |  ISO1600 | M
55mm | F1.4 | 1/125s | ISO1600 | M

イラストから焦点距離を推し量る

イラストの再現を撮影するときは、レンズの焦点距離にも注目したい。そのイラストがどのようなパースで描かれているのか予測がつけば、自ずと焦点距離も決まってくる。今回は歪みが見当たらないオーソドックスなイラストだったので、標準レンズ55mmで撮影した。

あまりきっちりとした数字を推し量る必要はない。広角か、標準か、望遠か、全体的にシャープか、背景をぼかしているか、この5点を考慮に入れると良い。

以前別の合わせでもイラストの再現を頼まれて撮影したが、レンズの焦点距離を推し量り、見事に上手く再現できたので、とても驚かれた。なるほどこれがカメラマンかという感じで。こういうお題を乗りこなしていくような知的な撮影もとても楽しい。