単焦点レンズでアップ目の人物写真を撮る! – 距離が取りづらい場所での標準単焦点レンズ活用法の一例

55mm |1/250s | F1.4 | ISO200
55mm |1/250s | F1.4 | ISO200

金魚カフェという喫茶店をレンタルスペースとして貸し切り、まずは2階の大正・昭和時代の漂う部屋で刀剣乱舞のコスプレ撮影。色々レンズを使ったが、単焦点レンズOtus.1.4/55が一番しっくりときた。

横から抜いて撮る分には二部屋分の距離が稼げるので前景を巧くボカした写真を撮る事が出来た。いつものフォトスタジオ撮影と同じ要領だ。しかし正面から撮るとなると、一部屋なので55mmの焦点距離でウエストアップの写真になる。かといって我らが暮らしているのとそう変わらない普通の広さの部屋なので、全身で撮ると凡庸な感じの写真になる。そこが気に入らなかったので24-70mmF2.8のズームレンズから55mmF1.4の単焦点レンズに付け替えてみた。

この日は壁に経文が綴られた透明な帯が飾られていた。レイヤーさんが自作した物で、全体をシャープに写すと帯にフィルムの質感が出てしまうのだが、F1.4で背景を暈かすことで、文字が壁から浮き出ているように撮る事が出来た。

55mm |1/250s | F1.4 |  ISO200
55mm |1/250s | F1.4 | ISO200

Otusなので開放F1.4ながら写りはシャープ。ソフトボックスを使った1灯ライティングにより陰影が付いているのでF1.4でストロボを使って撮影してもコントラストが高い。F1.4でアップ目で撮るとフンワリとした描写になってしまうことがあるのだが、男装キャラでコントラストが高めに撮れたのでイメージしていた通りとなった。

さてもうお一方。ソフトボックスにはグリッドをつけている。横から当てているわけだがどうもイメージ通りの陰影が付かない。F1.4で撮るよりもF8くらいまで絞って撮った方がカリッとした写真は撮れるわけであるが、やはり背景の経文をボカして文字が浮いているように見せたい。

55mm |1/250s | F1.4 |  ISO200
55mm |1/250s | F1.4 | ISO200

どちらに顔を向けるか聞いてそれに併せてソフトボックスの位置を微調整。綺麗に撮れることは撮れるのだが、先ほどよりもコントラストが弱い。F1.4で撮ると窓から射し込む光や部屋の灯りなどの環境光の方が強くなるだけでなく、ストロボ光を弱めて撮らなければならないので、パリッとしたコントラストの高い写真になりにくい。どうすれば良いか。部屋を暗くするために自然光が入らないようにしたり部屋の電気を消すといった対策が考えられる。

55mm |1/250s | F1.4 |  ISO200
55mm |1/250s | F1.4 | ISO200

しかしそんな問題はカメラかRAW現像のコントラストの項目を上げたら解決する。レイヤーさんの好みもあるだろうから、プレーンな形でお渡し。

F1.4でもコントラストの高い人物を撮るコツとして、ソフトボックスとグリッドを使って陰影をつけること、そしてソフトボックスをモデルの真横に配置すること。更にそこから向きを外側・内側へと工夫してみる。被写体に綺麗な陰影が付くと、ソフトボックスを使って撮るのが楽しくなる。