普段ピンショットから5人くらいまでの併せのライティングは、ソフトボックスとアンブレラを併用して使っている。まず二つともソフトボックスを使うと機材が重すぎるから、超大型合わせに限っているのと、シェアスタジオの場合は余り大きすぎるライティング機材はスタジオ規約のサイズを超える場合があるので使えないというのもある。
ソフトボックスとアンブレラを併用していても、何ら障碍は生じない。あるとすればトランスルーセントアンブレラは広い照射角の拡散光を生み出すので、背景がテカりやすい素材の場合には、ソフトボックス側と異なり背景がテカってしまい、背景の明るさにおいて左右のバランスが悪くなってしまうことがあるという点だ。しかしそれもそうそうあるわけではないし、そんな背景の細かいことなんて気にする人はいないだろうと言ってしまえば身も蓋もなくなる話ではある。
ソフトボックスとアンブレラの併用で気になるもう一つの点は、キャッチライトだ。長方形のソフトボックスはキャッチライトが長方形になる。通常キャッチライトは四角よりも丸が好まれる。丸いキャッチライトは丸い瞳に輪をかけて可愛く写る効果がある。
しかしこれもシーンによってまちまちで、ウエストアップや全身で撮れば、90cmx60cmの長方形のソフトボックスと直径100cmの円の形をしたアンブレラが生み出すキャッチライトの形は判別が付かない。大体全部丸く見える。そしてつぶらだ。
キャッチライトの形が目に見えて分かるのは、35mm以下の広角側で、被写体に思い切り寄ってとるか、バストアップ以上で撮る場合だ。要は被写体の顔が大きく写っているときは、瞳も大きく写るから、キャッチライトの形も分かりやすくなる。もちろんそれだけが要素ではなく、ソフトボックスやアンブレラを被写体に思い切り寄せて撮れば、キャッチライトの形の違いが判別できるほどに大きく入る。
しかし女の子によっては、あまりアップで写されることは好まない人もいる。人もいるというか、ほとんどの人があまりアップの写真は好まない。
キャッチライトを大きく入れようと思えば、ソフトボックスやアンブレラをより被写体に近づける必要があるが、余り近づけすぎるとウエストアップの写真であってもライティング機材が写り込んでしまう。結局、ソフトボックスであろうがアンブレラであろうが、キャッチライトの形は大体の場合は丸に見えて、つぶらに見える。
以前プールで撮影した際には、バストアップでレフ板を顔の下に持っていって撮ったから、丸いキャッチライトが大きく入り、より可愛く撮れたことがあった。しかしライティング機材が必要な自然光の入らないスタジオ撮影では、スタジオ内が人間の目で見えるよりもカメラにとっては暗く、カメラの設定も暗くしがちなので、レフ板を使ってもキャッチライトが入りにくい。
故に、キャッチライトに関してはソフトボックスであろうがアンブレラであろうが、余り違いは気にする必要はない。120×30のような細長のソフトボックスの場合はまた違ってくるかも知れないが。
記憶が正しければ、120cmx30cmのソフトボックスで撮影した雨撮影の写真。 場所は太秦映画村で、他の参加者の邪魔にならないようにという配慮から、横幅30cmのソフトボックスを持っていった。事前にこの日雨が降ることは天気予報で察知していたので、恐らく人通りも少ないだろうという読みもあった。
キャッチライトよりも人物の写り方を気にした方が良い。女の子キャラを撮るときはトランスルーセントアンブレラを使った方が柔らかく撮れる。ソフトボックスとアンブレラの違いに大きな差異はないが、もしメインで撮るのが女の子キャラでソフトボックスの購入に迷っているなら、トランスルーセントアンブレラを使い続けることをお薦めする。
作例の撮影場所はハコアム大阪のアイドルゾーン。見ての通り横幅が狭いので直径100cmのアンブレラを使うのは難しいから、横幅60cmのソフトボックスと、直径85cmのトランスルーセントアンブレラで撮影した。ソフトボックスの利点は、横幅の面では、最小のアンブレラと比べても設置しやすく機材の写り込みが防ぎやすいことだ。