暗いスペースでストロボを光らせても暗い写真を撮るには? 〜アンブレラと比較したソフトボックスの有用性〜

model:Hinagi & Sensei | focal length 50mm | F7.1 | 1/250s | ISO160
model:Hinagi & Sensei | focal length 50mm | F7.1 | 1/250s | ISO160

ソフトボックスとアンブレラ、女の子を撮るにはどちらが有用だろうかと、これまで当ブログでも何度も取り上げてきた。今回は別の角度からソフトボックスの有用性を検討していきたい。

暗いスペースで暗い写真を綺麗に撮るにはどうしたらいいだろうか。壁が黒のスペース。ストロボを焚くと壁の黒が中途半端に明るくなってしまう。

こういう時は、カメラの設定をなるべく暗い設定になるようにする。ストロボを光らせずに撮ったら真っ暗な写真になるくらいの設定で。

今回のスタジオは3スタ。2度目の利用で、前回も同じ場所で撮って綺麗に撮れた記憶があるのだが、肝心の細かい設定を忘れてしまっていた。とりあえず撮ってみたが、女の子は可愛いものの、どうも背景の黒がストロボで明るくなってしまって映えない。ライティングはソフトボックス1灯と、アンブレラ大小2灯の計3灯。(下の作例にある周辺部の光はレイヤーさんの加工。)

F5.6 | 1/80s | ISO250
F5.6 | 1/80s | ISO250

この日の最後に再度黒い壁のスペースで撮ることになった。カメラの設定を変えてみる。グリッドは付けていない。シャッタースピード1/250秒、F値7.1、ISO感度160。ここまで暗い設定にすると、ストロボの光量を1/2近くまで上げても明るさが確保できないので、ISO感度を少しあげる。

前半に撮影した時よりは背景が暗くなった。
前半に撮影した時よりは背景が暗くなった。

あとは家に帰ってからのRAW現像で明るさを半段調整。キッチリとした理想的な明るさの適正露出で撮ると、後から背景を暗くするのに面倒かなと思い、ISO感度をあげるのを躊躇った。RAW現像でシャドウもしくは黒レベルをマイナスに大きく下げてやれば、人物は明るいまま、背景の黒が引き締まる。

Canon DPPでシャドウを-1に設定。
Canon DPPでシャドウを-1に設定。

作例はDPPでシャドウを−1に設定した。コントラストや彩度などは大きく弄らず、なるべくニュートラルな仕上がりでお渡しして、あとはレイヤーさんのレタッチに任せるという方針を採っているので、控えめの処理となったが、シャドウを−5まで思いっきり下げたら背景の黒が引き締まる。Lightroomで現像した方が細かく設定できるから、理想的な仕上がりになるかもしれない。この辺り、カメラマンは元のデータをどこまでダイナミックに現像したらいいものか迷うところだ。

ソフトボックスの光の指向性の強さは背景の壁紙の柄を飛ばさない

最後にソフトボックスとアンブレラについてもう一点付け加えておこう。隣の明るいストライプの壁を背景に撮ることになった。黒スペースとは一転して明るいイメージだ。同じくアンブレラとソフトボックスを両側に置いてピンショットとツーショットを撮ったのだが、アンブレラを置いてある方の壁が白く飛んでしまった。ソフトボックスを置いている側の壁は飛ばずにストライプの柄がしっかりと残っている。

ストロボの光量設定は同じ。アンブレラはやはり拡散力があるから壁にまで光が到達してしまうのだろうか。それとも距離が違ったのか、ソフトボックスは二重になっているから同じ明るさの設定でもやや暗めになってしまうのか。原因は色々考えられるが、ピンクの壁を背景に撮った時も、アンブレラを置いていた方の壁が明るくなったので、やはりアンブレラの光が壁まで到達してしまったのだろう。ソフトボックスは光の指向性が強いが、そのことが証明された形だ。背景の壁紙の柄を飛ばさずに撮りたいならアンブレラではなくソフトボックスを使った方が良さそうだ。ということはもう一つ用意しなければならないのか。荷物が増える。