久々にハコスタジアム大阪に行ったら、桜のブースが豪華になっていた。桜の量が増し、綺麗な織物が飾ってある。この日は和装のコスプレだったので、早速桜ブースへと赴いたのだが、さてどう撮るか、いきなり迷う。
こういう時はコスプレイヤーさんの声に耳を傾ければ良い。こっちから撮って欲しいとか、ああ撮ったらどうだろうとか色々提案してくれる。カメラマンとしては、ライティング機材を組み立ててちょっと一息入れたいところなので、構図にまで頭が回らないこともある。慣れている場所ならパパッと最適解を引き出すことが出来るが、久しぶりの場所だと、ここで良い感じに撮るにはどうすれば良かったっけな、と戸惑うことになる。
さて、このキャラクターが誰なのか筆者は知らない。知らないが撮れる。和装だし、背景は既にあるし、後は構図をどうするか、絞りの設定をどうするか、明るさはどうするか、どう撮るかだが、そもそもこの作品の内容と、カメラの設定や構図は因果関係があまりない。まずこの衣装自体が、アイドルグループのCDのジャケット衣装なので、連載漫画のような長い物語があるというわけではない。
このような場合に問題となるのは、既に与えられた素敵な背景を使って、和装のコスプレイヤーの魅力を最大限に引き出すにはどう撮れば良いかという事だけだ。それ以外にはないと言っても過言ではない。自分の頭で考えて、既にある作品からオリジナリティを引き出して撮る事が必要になる。つまり応用力だ。迷ったら自分で物語を引き出せば良い。
もしワンシーンの再現を撮りたい場合は(コスプレ撮影の現場ではよくあることだが)、再現して欲しいイラストを見せて貰えれば良い。再現シーンの撮影を求められれば、大抵のレイヤーさんはスマホでイラストを見せてくれる。そのイラストを元に、焦点距離、F値、カメラマンの位置(ハイアングルか、ローアングルか)などを決めていく。ストロボが必要になる再現もあるかも知れない。撮っている内に作品との一体感が生じてくる事もある。たとえ知らない作品であっても。
これが例えばツーショット以上になれば、キャラクターの関係性が問われることになるだろう。しかしそれはコスプレイヤー自身が一番よく知っていることだから、コスプレイヤーが演じれば良い。カメラマンとしてはこれをどの角度から撮るか、どの視点から撮るか、どのように暈かして撮れば視線を誘導できるか、キャラクターの感情を写真として引き出せるか、ボケの量はどれくらいか、広角か中望遠か、という事を、コスプレイヤーの演技から読み解く必要がある。これも自分の頭で考える応用力が求められる。どうしても分からなければ、当のコスプレイヤーさんに聞けば良いだけの話だ。これもコスプレ撮影の現場でよくあることだが、こういう角度からこういう風に撮って欲しいと指示されることが多い。後はカメラマンの技術力、機材力、応用力のいずれかもしくは全部にかかっている。
結局のところ、撮っていて楽しいか楽しくないかという事になる。諸々のことを引き出す撮影の原動力はそれだけだ。楽しいか、楽しくないか。