イリュミネーションと雨のコラボ撮影はまだやったことがなかった。太秦映画村の夜イベントで雨が降ったときに雨撮影はしたことがあるが、イリュミネーションを背景に入れての雨撮影は今回が初めて。
天気予報では午後から雨になると言っていた。午前は確かに晴れ間が覗いていたが、午後になると晴れていた空が嘘のように雲で覆われ、夕方頃からポツポツと降り出して、陽気な街を濡らし始めた。
雨撮影は簡単だが注意しなければならないことがある。それは機材の保護。お使いのカメラやレンズ、ストロボなどが防塵防滴でなかったなら、故障する恐れがある。また防塵防滴でもカメラの機種によってその度合いが異なるらしいので、念のためにカメラやレンズ、ストロボは保護しておいた方が良い。油断は禁物。
雨撮影で雨を強調させるには、後ろからストロボ1灯光らせるだけで良い。筆者はそのストロボにハンドタオルを乗せている。ハンカチではなくてハンドタオル。ちょうどいい厚さが雨を吸収してストロボを保護してくれる。ストロボ保護用の撥水性のある製品でも出してくれたら使いたいところだが、今のところ見当たらないからハンドタオルで済ませている。
ソフトボックスやアンブレラで光を透過させているストロボはそれぞれのライティング機材が雨よけ代わりになってくれるので、何も保護処置は施していない。Canon 600EX-RTは防塵防滴仕様なので、ハンドタオルを乗せておけば安心して撮影できるが、心配ならジップロップを噛まして完全に覆ってしまっても良いかもしれない。光量の低減が気になるところではあるが。筆者はストロボをビニールなどで完全に覆ってしまうと何か悪影響があるのではないかと恐れ、ほとんどその手の保護処置を取らない。以前家でストロボテストをしているときに、布の袋の中でCanonの小型ストロボ270EX II を光らせてみたら、パシュウウウウウウウウウウンという奇妙な音がして、それ以来ストロボを何かで完全に覆って使うことに抵抗感がある。
カメラの保護に関してはトランスミッターが雨に濡れるのが気になる。カメラはCanon 1DX、プロの過酷なロケ地での使用にも耐え得る防塵防滴機構が施されているので、中ぶりの雨程度では心配に及ばないが、カメラの天辺に載せているトランスミッターが雨にどれほど耐えられるかが気にかかる。
コンビニのビニール袋の底にレンズを通すための穴を開けてカメラに被せてみたが、これが非常に使い勝手が悪い。カメラが大きいので覆い隠すことが出来ずに雨で濡れてしまうし、ズーミングやマニュアルフォーカスでのピント合わせがやりづらい。夜間撮影、しかも小さいF値で背景を暈かしながらのピント合わせなので、AFではピントが合いづらく、MFに切り替えてライブビューモードで撮影する必要に迫られるから、ピント合わせがやりにくくてテンポが悪く、快適な撮影とほど遠くなる。仕舞いには穴の開けた部分からビニールが裂けて使い物にならなくなった。一番手っ取り早いのはスポーツタオルをカメラとレンズを保護するように載せる方法だろうか。次回機会があれば試してみよう。
カメラの設定は、F2・シャッタースピード1/25秒・ISO感度600。焦点距離は85mm。
使用レンズはOtus1.4/85、焦点距離85mmで背景を思い切り暈かしたかった。55mmも持ってきていたが、より背景がボケる点と背景をより引き寄せられる点で85mmを選んだ。55mmよりも85mmの方が幻想的に撮れる感覚がする。
ツーショットなのでF2。ピントを合わせやすくする点と、余り背景を暈かしすぎるとただの丸い光源だけになってしまうから、せっかくの夜景100選に選ばれている神戸リバーモールであるし、少しくらいは背景が分かるようにしようという意図からF1.4は避けた。寄って撮ればより背景がボケる。引きで撮れば圧縮効果の原理で背景が引き寄せられるという意図から。さて実際撮れた写真はどうだろう。
ホワイトバランスは色温度7200Kに設定した。オートホワイトバランスで撮影したデータを確認して貰うと、ちょっと肌が冷たい色なので、暖かみのある色にして欲しいと言われた。そこでホワイトバランスを色温度指定『K』に変更し、7200Kまで上げて試しに撮ってみたら、暖かみのある夜景になった。
背後からのストロボで雨を光らせるわけだが、雨と言うよりは雪のようにも見える。まぁクリスマスも近い時期だし、雪でもいいのではないだろうか。ちなみに雨を線で撮ろうと思ったら、街灯やイリュミネーションなどの環境光に頼って、ISO感度を上げてスローシャッターで撮るしかない。Canon EF24-70mm F4L IS USMのようなイメージスタビライザー(IS・手ぶれ防止)付きのレンズが重宝する。
背後にあるストロボと被写体との距離は2メートルくらいだろうか。離れすぎず、近すぎずの場所に置いた。どちらにしても街中で後ろが人工の池なので、カメラ、モデル、ストロボ共に余り距離が取れない。池の手前ギリギリに三脚を置いたが、後ろに倒れてストロボが池ポチャしないように三脚の足を大きめに広げて必要以上に背を伸ばさず、風が吹くことを想定して、足三点が三角形の配置になるように置いた。
作例に上げた写真では写っている雨粒の量はどちらかというと抑え気味だ。雨の降り具合にも寄るし、ストロボの光量を下げたかもしくは角度を変えたせいかもしれない。もしレイヤーさんが雨粒がたくさん写っている方の写真を上げたら、また当サイトで紹介したい。