伏見稲荷大社 本宮祭 – まほろば探訪 第57回

毎年夏に開催される伏見稲荷大社の本宮祭(もとみやさい)。
毎年夏に開催される伏見稲荷大社の本宮祭(もとみやさい)。

埼玉県熊谷市で最高気温41℃を記録した日の前日に、伏見稲荷大社に行ってきた。前回行ったのは紅葉の時期だっただろうか。たしか伏見・宇治1DAYチケットを購入して、昼は伏見稲荷大社、夜は平等院鳳凰堂を撮りに行ったのだった。

この時期、伏見稲荷大社ではお祭りをやっていて、この日はちょうど本宮祭の日だった。暑さのせいか秋に来た時よりも人通りはすいているように感じられた。夏らしい青空で雲1つなく、祭のイメージでもある赤い提灯がずらりと連なっている。

伏見稲荷大社 本宮祭 伏見稲荷大社 本宮祭

本当ならポートレートを撮りたかったのだけれど、Twitterで募集してもメッセージは来ず、連日の熱中症のニュースで、炎天下でのポトレは危険かなとも思い、行くのを躊躇っていたが、超広角レンズを購入したこともあり、前よりもいい絵が撮れるかも知れないと不思議と気分も高揚して、伏見まで足を運んだのだった。前日はハコアムで半日コスプレ撮影をしていて、その時に女の子も誘ってみたのだが、何でも可愛い女の子達との女子会があるという事で、なら誰もポトレ来ないし行くの止めるかと言ったら、「自分そう言いながら当日なったら絶対行くタイプの人間やろ」と言われ、いやどうだろうこの暑さだしとその時はいなしたものの、翌日には実際こうして出かけているのだから、まるで鉄砲玉のようと渾名されていた祖父の血を自分もまた受け継いでいるのかも知れない。

伏見稲荷大社 本宮祭

実は何のお祭りなのかよく分からずTwitterのタイムラインに流れてきた写真や駅などのポスターだけを見ていたのだが、売店に狐のお面がたくさん売っていて、浴衣を着た参拝者や観光客などはこれを頭に後ろ向きに被っているので、まるで映画の中のワンシーンに迷い込んだような錯覚がした。ようはこの狐のお面を被った浴衣ポートレートが撮りたかったのである。

1人で来ることになったが、この日はまた山頂にまで登るだろうと、山頂まで軽い山道なので、登山用に購入したトレッキングシューズを履いていくことにした。それにこれもまた登山用の分厚い靴下。トレッキングシューズを足に馴らしたくもあったし、分厚い靴下がどれくらい効果があるのかも試したかった。久しぶりに足を通したトレッキングシューズは右はしっくりと来るが、左がどうも窮屈で痛む。サイズ失敗したかな、もう0.5cm大きめのを買っておけば良かったかなと17,000円出したことに後悔し始めていたが、しかし歩いている内に不思議と足に馴染んできて、伏見に着く頃には窮屈感も収まっていた。

とにかく提灯がたくさん飾ってあって綺麗である。楼門には大きな提灯がぶら下がっている。どれどれ、東京の雷門を撮る予行演習に・・・、ってコラコラ。

伏見稲荷大社 本宮祭

超広角レンズで撮ると、お稲荷さんの使いである狐もいつもと違った表情を見せてくれる。まぁこの写真は24mmで撮ったのだけれど。

伏見稲荷大社

鳥居の中は日陰になる上に、風通しも良いので、思っていたよりも涼しかった。しばらく歩くと誰もが足を止めて写真を撮るベストスポットの二手に分かれた鳥居の路が現れる。

伏見稲荷大社 本宮祭

のんびりと歩きながら上へ上へと目指す。

伏見稲荷大社 伏見稲荷大社

一番見晴らしの良い場所まで上り休憩。山頂へはここから更に30分ほど歩く。

伏見稲荷大社

三叉路になっているので、どこから行けば良いのか一瞬迷うが、そのうち1つの参道は3分ほど登れば見晴らしが良いと女の人が話しているのを聞いた。確か行き止まりでたくさんの鳥居が祀られている。行ってみたが、どこが見晴らしの良い場所なのか分からなかった。踵を返し、途中の茶屋で冷えた瓶のコーラを買ってベンチに座り、喉を潤す。親切な店主だった。

提灯が並んでいる参道を行くことにする。惹きつけられるものがあったのだ。この山道を通るのは2度目だが、逆回りで歩いてきたせいか、前とは何か違うように感じられた。今回は案内板にあった番号順に進んでいる。

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鳥居の写真を撮っていたら、途中外国人の男性に声を掛けられ、どうぞ先へお進みくださいと譲り合いが始まる。そうしたらミラーレス一眼を構えて「I wanna take pictures of these toriis too.」(僕も鳥居の写真が撮りたいんだ)と言われた。早口だったから良く聞き取れなかったが、まぁ多分そういうようなことを言っていたのだろう。結局笑いながら2人並んで鳥居の写真を撮り、Thank you.と言って別れた。外国人の友達欲しい。そういえばこの日は別の場所で他の外国人の男性達にも声をかけられた。息を多少切らしながら、英語出来ますか?上に行くまで何分かかりますか?と聞かれ、10minutesと答えたが、一呼吸置いて、Realy? と聞き返された。maybeと答えたら笑っていた。初めて来た人なら山頂のように感ぜられる見晴らしの良い場所なら実際には五分くらいだったが、山頂なら30分はかかる。

伏見稲荷大社 伏見稲荷大社 伏見稲荷大社 伏見稲荷大社 伏見稲荷大社

山頂に登っても、見晴らしが良いわけではなく、視界は鬱蒼とした木々に阻まれている。のんびりと登ってきたので、そんなに体力は消耗していないし、既に日も暮れかけているから、そう暑くはない。ただ日本の夏は蒸し暑いから、どうも疲れる。

伏見稲荷大社 山頂

六甲山最高峰が931mなので、あのしんどさに比べれば、233mはまだ楽な方だ。のんびりと登ったし、日陰なのが功を奏したのかも知れない。

伏見稲荷大社 伏見稲荷大社の猫

先ほどの見晴らしの良い場所にまで下っていくと、人が結構集まっていた。みんな何待ちだろうと疑問に思ったが、皆夕陽が沈むのを待っているらしい。みんな夕陽が好きね。そういえばあべのハルカスのハルカス300で夜景を撮った時も、皆西側の窓に殺到して夕陽の写真を写メっていた。

伏見稲荷大社

日没は午後7時だっただろうか。岩場に登って写真を撮ってみたら、一瞬、山の向こうの赤い空がパッと燃えたように感じられた。ひょっとしたら雷でも光ったのかもしれない。

伏見稲荷大社

午後7時になると提灯がともり、雰囲気のある路となる。

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行って戻って下山して。

伏見稲荷大社 伏見稲荷大社

楼門に戻ってくると、提灯が明々と灯っていてとても美しい。昼に見た時もなかなか荘厳な門構えだったが、こうしてライトアップされるとこの世のものとは思えないほど幻想的で、お稲荷さんが人の姿に化けて参拝客の中に紛れ込んでいてもおかしくない。ふとそんなことを考えてしまった。正確にはお稲荷さんは狐ではなく、狐は稲荷大明神の使い(眷族)なのだそうだ。

伏見稲荷大社 伏見稲荷大社

正一位 伏見稲荷大社

伏見稲荷大社といえば、正一位の官位を称している。何で人じゃないのに正一位なのかと調べてみたら、神階というものがあり、神様にも正一位や従一位などが授けられるという。公式サイトによると、天長4年(827年)に淳和天皇により「従五位下」を授かり、時を経て上進し、天慶5年(942年)に正一位になったとある。

建久5年(1195年)に後鳥羽天皇が行幸した折に、当社は五穀衣食の守護神なので諸々の人に信心されるべきだから、各地に祀られている分社にも正一位を称させるのが道理だとの勅許が下った。日本全国に3万社あるとも言われている稲荷神社が正一位と呼ばれるのはその為であるという。

伏見稲荷大社 本宮祭 伏見稲荷大社 本宮祭

午後2時半に到着して、夜10時過ぎまで長居してしまった。というわけで、この地での光の感じも掴めましたので、ポートレート撮影にお付き合い頂ける女性を募集しています。Twitterをフォロー後にメッセージお送りください。