宝泉院の額縁庭園。ここで写真を撮るにはどのレンズが良いか、自分で撮った写真を見返してみたが、今になっても逡巡してしまう。まずどこから撮るかでレンズも変わってくる。初めて訪れた場所は大体この点で迷うものだ。今回は2度目だが前回昼に訪れた時よりも想像以上に良い景色だったので、俄然やる気が違った。
当然ながら三脚は使えないので手持ち撮影になる。となると開放F1.4のような明るい単焦点レンズを使いたくなるが、まずはつけている超広角レンズで撮ってみることにした。レンズ交換も面倒だし、つけてるレンズでどこまで撮れるか試してみるのが手っ取り早い。Canon EF11-24mm F4L USMの作例。
焦点距離15mm、F4、シャッタースピード1/60秒、ISO感度3200。
焦点距離が短いので、シャッタースピードも遅く出来るが、カメラが5,060万画素の5DsRなので手ぶれしやすいため、1/焦点距離×2の手ぶれしないセオリーを率直に当てはめにくい。シャッタースピード1/60秒として余裕を持たせた。ISO感度は3200と高め。ノイズで紅葉の細かい描写が若干潰れているよう見えるが、等倍で見なければノイズは気にならない。しかしRAW現像ソフトDPPで明るさを+2近くまで上げてみると、やはりライトアップされた紅葉にノイズが目立ってしまう。ただこれも等倍で見た限りでの話で、縮小表示してみると若干精細さに欠けるかなといった程度。これを他の画像編集ソフトでカリカリに加工してみるとちょっと粗が目立つかも知れない。
同じレンズで24mmで撮影。先ほどよりも紅葉がシャープに撮れている事に驚く。16mmでも撮影してみたがこちらもシャープネスが強い。
ISO感度を下げたかったので、Otus1.4/55に付け替えて撮影。焦点距離55mm。F1.4、シャッタースピード1/160秒、ISO感度1600。
ノイズは減ったし明るくもなった。背景が暈けてそれはそれで幻想的。しかしややアップ目にフレーミングするので、55mmは撮りにくい。せっかくの額縁庭園だから壁や柱が写るくらいに広々と撮りたい。
ということで、Canon EF24mm F1.4 L Ⅱ USMに付け替えた。F1.4、シャッタースピード1/60秒、ISO感度1250。
どこから撮るか、何を入れて撮るかと、色々誘惑が多くて迷う。紅葉だけか、横の竹林も入れるか、樹齢数百年の大木も入れるか、大木だけを撮るか、撮るとしてどこから撮るか、どこが一番良い位置か。
やっぱり、風景だし、開放F1.4よりもF11まで絞って解像感溢れる額縁庭園が撮りたいよね、ということで、床にカメラを置いて、財布でレンズを支え、シャッターボタンを押すときの振動がカメラに伝わらないように、シャッターのタイムラグを2秒に設定して撮影していくことにした。
しかしこれまた問題がある。下からの煽り構図になってしまうから畳が主張し始める。そこでカメラバッグの上に置いて撮ることにしたのだが、今度は水平が取りづらい。
なんとか撮影。焦点距離11mm。ここで座って撮っていると、部屋で血天井などの由来を解説していたご住職がやって来て、ここがちょうど見晴らしが良いですね、と筆者を見て言われた。確かにその通りで樹齢数百年の大木と紅葉と竹林をすべてその視界に収めることが出来るし、ど真ん中で構図のバランスも良い。上下はトリミングした。
再度Otus1.4/55に付け替えて撮影。ダイナミックに撮る事が出来た。
ということで、結論としては11mmから35mmの焦点距離をカバーしたズームレンズが撮りやすい。ダイナミックに撮るなら、50mmの標準単焦点レンズもアリだろう。
床や鞄の上にカメラを置いての撮影は水平が撮りにくいし、鞄の上は不安定なためブレやすい。また下からの煽り構図になってしまう。それが気に入らなければ手持ちでの撮影になるのでF値の小さい明るいレンズを選ぶと良いだろう。しかしISO感度を上げて対処することも出来るので、開放F4辺りのレンズでもなんとかなるのではないだろうか。今回使用したフルサイズ超高画素一眼レフカメラCanon 5DsRのノイズ耐性は、通常のフルサイズ機より劣るものの、APS-C機Canon 7DmarkⅡより若干良いという評判がある。高感度撮影でのノイズの出具合に関してはその点を踏まえて作例を見つつ、レンズ選びを検討して頂きたい。