高輝度側・階調優先モード、暗めに撮って、ハイライト以外の中間や暗い部分を明るく持ち上げるという機能らしいが、そういう処理をしているとすれば、コントラストが弱くなる、写真のメリハリが弱くなるという話題も出てくる。果たしてコントラストの方はどうか。
白い花飾りの部分のみが白飛びしそうだったので、高輝度側・階調優先モードを使ってみた。モデルが言うにはその部分なら多少白飛びしていても構わないという話だったが、判断が付きかねるし、一切白飛びしない写真を撮りたいというこだわりもないではない。
実際オンとオフを見比べてみると、Offは白飛んでいるように見えるが、255・255・253のようにかろうじてデータが残っている。一方Onの方はというと、花弁のディテールが残っている。
高輝度側・階調優先モード左on/ 右off
肝心の顔の方はどうだろうか。作例をお見せできないのが残念だが、Offの方はストロボによるハイライトが残っているが、Onの方はハイライトが消えてのっぺりとした描写になっていた。ウィッグに出来る光の帯、所謂天使の輪も若干ではあるが弱くなっている。チョーカーにあったハイライトはほぼ消えている。これが高輝度側・階調優先モードをオンにすると、写真にギラギラ感がなくなり、のっぺりとした描写になるという事だろうか。首のかしげ方が少し異なるから、光が当たらなかった可能性もあるので、似たような首のかしげ具合の写真と比較してみると、やはりチョーカーのハイライト部分がやや弱い。
それ以外の点では差は見受けられない。シャドー部分はノイズが出て階調が潰れる可能性があるという事だが、ISO200で撮っているし、フルサイズ機1DXだからノイズも気にならないという事だろう。
ではOnにした方の明るさを、Off時の顔のハイライトと同じような明るさになる程度に少し持ち上げてみてはどうだろうか。白い花弁の部分はoffは250台が多いのに対し、onは240台が多かった。目視では、僅かではあるが、onの方がディテールを残しているように見える。ただ、チョーカーのハイライト部は明らかにoffの方が強い。
今度はoffの方の明るさを、onの編集後の明るさと同じくらいになるように持ち上げてみた。やはり花弁のディテールが損なわれた。
コスプレ撮影などでストロボを使って顔を陶磁器のような美しさで撮影すると、顔のハイライト部分が飛びやすくなり、飛ばないようにして欲しいと言われることが良くある。高輝度側・階調優先モードで撮影して顔のハイライトを抑えつつ、RAW現像のガンマ調整のチャート左側の軸で明るさを持ち上げれば、ハイライト部分のディテールを残しつつ、明るさを上げることが出来る。
1つの結論として白い衣装や、顔のハイライト部分(鼻筋や頬)が飛びやすい明るさの状況で撮る場合は、高輝度側・階調優先モードは有効と言えるだろう。また機会があれば別の撮影シーンや編集シーンで更に比較検証を進めていきたい。
Canonの高輝度側・階調優先について、外部サイトの参考記事を掲載しておくので、各自判断して頂きたい。
- キヤノン EOS-1D Mark III【第5回】高輝度側階調優先の威力
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