桜ポートレートやコスプレ撮影を撮るときには、定番の逆光で撮るべきか、それとも順光で撮るべきか。今年に入って京都や公園で三度ほど桜ポートレートやコスプレ撮影をしてきた経験から考察していきたい。
京都でのポートレート撮影。結論から言うと900枚ほぼ逆光で撮っていた。良い感じに桜を入れたかったときにどうしても順光でないと背景に入らなかったので試しに順光で撮ってみたが、顔に前髪や睫の影がかかり尚且つ硬いイメージになるのですぐに順光で撮るのを止めてしまった。今から振り返ると影の掛かったポートレートもそれはそれで雰囲気が出ていていいのだが、基本女性の顔に影がかかっていない逆光写真を多めに撮ることを優先した方が良い。
フォトジェニックな撮影スポットを見つけたのだが、どうしても順光になってしまう場所だったので、順光になる右の方角に顔を向けて貰った。正面を向くと半順光で顔に影がかかり凹凸が出てしまう。順光は硬いイメージにはなるが、顔に多くの影がかかるよりはまだ良い。せいぜい唇と睫の影が落ちるくらいだが、引きで撮っているのでそれほど目立たない。撮影時間は4月初旬の午前10時前。左に顔を向けて貰うと半逆光、もしくは逆光になり顔に影は落ちないが、顔の明るさが暗くなる。これは順光しかないかなと思っていたが、今明るさと色温度を調整すると、良い感じに仕上がった。順光、逆光、双方で撮った写真がパソコンの画面に二つ並んでいるが、どちらもそれぞれ特色があって良い。光の強い順光はポルトガルの朝を彷彿とさせるし、光の優しい逆光は落ち着いたイメージを醸し出す。(2019/04/03 File.9346/9437)
顔に影がかかる写真が一概に悪いとも言えない。顔に影がかかると、冴えた内面が発露しているかのようなドラマチックなイメージで撮れる。その一方でモデルと意図しているイメージが齟齬を来すとただ顔に強い影が落ちていて眩しがっているだけのポートレートになってしまう。
桜の木全体を入れようとして広角レンズで撮ると、どうしても歪みが気になるしバランスが悪くなる。超広角レンズなら尚更で、特に淑女をイメージした女性ポートレートの場合は構図を決めるのが難しい。桜の木を全部入れて撮る場合に一番簡単なのは50mm前後の標準レンズを使って引きで撮る方法だ。大きな桜の木の横にぽつんといる感じ。記念写真風になってしまいそうだが、そうならないようモデルにポーズを工夫して貰う。
京都御苑。天皇皇后両陛下が枝垂れ桜を見に来たというニュースに触れて是非一度行ってみたいと足を運んだ。写真は枝垂れ桜ではなくヤマザクラだが、昼の2時半頃で位置的に半順光になるので右を向いて貰った。
晴れたり曇ったりの天気だったので、曇ると顔に影もかからないから余り気にしなくても良い。しかし枝垂れ桜の前で撮ったときは、やはり太陽が出ている方が、尚且つ逆光で撮れると写真が劇的に変わることを実感した。
最後は旧京都府庁舎に赴いたが、光を探してモデルをスポットライトのように照らした写真を撮るのも良い。ポートレートを撮るには不便と思われていた強い光を味方に付けることが出来る。結局の所は現場に合わせて臨機応変に光を読んで撮っていくのが最適な撮り方となる。