目で見た景色が写真に写る景色 – 良さげな桜を探して印象深い写真を撮る

model: Okayu
model: Okayu

桜でコスプレ撮影。桜と人物とのコラボ撮影が難しいと感じる理由の一つに、場所選びがある。写真を映えさせるためにはやはりいい枝振りの桜と一緒に撮りたい。ところが人間の都合の良いように桜は咲いていない。人物と一緒に桜の花もクッキリと撮りたければ、桜の枝がちょうど顔の辺りにぶら下がって来る高さのものを探さなければならない。当然都合の良い位置に桜は咲いていないから、広い敷地を彼方此方ロケハンしていい枝振りの桜を探すことになる。

最近は目をよく凝らして周囲を見回し、背景に良さげな桜を探す癖が付いた。すると遠くの方に桜が群生している。これは望遠レンズで圧縮効果を狙って撮れば良い背景になるのではないかとひらめき、試し撮りで所定の位置にコスプレイヤーさんを移動させて遠くから撮ることにした。

ところが液晶画面でデータを確かめてみると、思っていたよりも満足がいかなかった。肝心の人物が小さすぎたからだろうか、作品のイメージと合わなかったせいだろうか、作品のイメージといってもどんなキャラだったか忘れかけていたのでどうなんだろうと思ったが、家に帰ってからデータを見てみるとこれが良い写真に見える。カメラの小さな液晶画面と家の大きなパソコンの画面で見たときの違いがまた現れた。

別の日にも桜を背景に望遠レンズで撮影したのだが、データを見せると「実際に目で見てる景色と違う」と言われた。「撮る前から分かるよ」と答えたら驚いていたので、「冗談だよ」と言ったが、本当は撮る前から大体どのような絵が出てくるか分かっていた。目の前に広がる景色をよく吟味してみれば、ここで望遠レンズを使えば大体こういう感じで撮れるなというのが予想できる。面白いのは、自分が予想していたよりもダイナミックな写真が撮れることだ。だから写真は面白い。

人間の目が見たままの景色をレンズは切り取るだけなのだ。広角で広く写したり望遠で遠くの景色を切り取ったり。景色をよく観察することで、ここで撮ればどのような写真が撮れるか、自ずと分かるようになる。