桜とコスプレ撮影 〜順光の強い光と銀レフで撮る写真〜

ほぼ順光で撮影。
ほぼ順光で撮影。

今年3回目の桜とコスプレ撮影。前回と同じ場所で撮る事になった。某公園には他にも桜の花に囲まれて撮れるベストな有名スポットがあるのだが、昨年の台風で枝が折れてしまったのか、去年とは異なる様相を呈していた。(と思っていたのだが、後日急な撮影予定が入りその場所に行ってみると満開でステキな写真が撮れた。)

そこで前回と同じ場所で撮ってみることにした。ところが前回のようにうまくいかない。銀レフを当てると眩しすぎるし、顔に影がかかる。レフによる光の調整が難しいほどの晴天だからだろうか。

写真を見比べてみると、太陽のある方角にモデルの体が向いていることが分かった。前回の撮影では太陽とは逆の方向に体を向けて貰って実質サイド光になるようにして貰っていた。

しかし以前にも記事にした記憶があるが、コスプレイヤーさんは晴天の日でも銀レフで当てた光を好むことが多い。顔が明るくコントラストも強くなりモデルが映えるからだろうか。カメラマン側からすると、晴天の日の銀レフは明るくなりすぎて、ややもすると顔が黄色に寄ってしまいがちになるから白レフを使いたい。銀レフで撮って後からホワイトバランス微調整で顔色を調整しようにも、背景の色が寒色に寄ることになるので都合が悪い。

しかしこうして晴天の半順光で銀レフを使って撮った写真を見ると、モデルの顔が輝いている。笑顔も2割増し。難点があるとすれば地面にロールレフを立てかけてもうひとりのレイヤーさんに支えて貰っているので、下からの光になり顎の部分だけ明るくなりすぎたり、お化けライトになってしまう点だ。そこをレフ板の位置や角度で光量を調整する必要がある。順光で撮るときにライティングの細やかな配慮が必要になるとはこういうことだ。だから逆光で撮るよりも難しい。

レフ板を地面に立てかけて撮ると、反射した光が強い場合には睫の影が上に伸びることにもなる。その点にも注意したい。写りの大きさによっては気にはならないし、睫がクッキリ増えたイメージになるしで、一概に悪いとも言えない。しかし銀レフでの余り強すぎる斜め下からの光はなるべく避けた方が良い。顔の上と下で明るさが極端に異なるとやはり不自然な写真になる。

では斜め上からレフ板を当てたらどうだろうともう1人のレイヤーさんにレフを持ち上げて貰ったが、当然腕が疲れる。布製のレフ板でも疲れることだろう。しばらくしてから下ろして貰った。この日は3人で撮っていたからこういう方法も出来るが、個撮の場合は上からレフ板を当てるのは現実的に不可能に近いし、ライトスタンドとレフ板ホルダーを使うとしても風が吹くと倒れるので危ない。

もう1人のレイヤーさんは銀レフによる強い光が苦手だったので、角度や距離で光量を調整したが白レフには変えなかった。後は体の向きを太陽のある方角とは逆に向けて貰ったのが功を奏したのか、柔らかいイメージに仕上がった。メイド服なのでその方がイメージにも合うだろう。

2度目に同じ場所に回ってきたときには時刻は午後3時前。春の太陽は傾きかけていた。ポーズは横向きで半順光なのでコントラストが強いが、こちらに向いて貰うと半逆光に近い形になるので、顔が綺麗に写る。しかし敢えてほぼ順光で、顔に手をかざして撮って貰うことにした。

model: Asa
model: Asa

今回順光や銀レフで撮ろうと思った理由のもう一つが、逆光で撮るとカメラの設定を明るくする必要があるから、桜の花びらが白飛んでしまうのではないかという懸念からだった。つまりカメラの設定は暗めに、しかし人物は太陽光や銀レフで起こした光で明るめにして、人物も桜も形が分かるようにクッキリと写したかった。桜ポートレートの難しさの一端がここにあるように思われる。

しかし順光でも逆光でも、そう大して桜の明るさは変わらない。場所によっては暗いところもあるし、むしろ桜は明るめに撮った方が映える。どちらにしても単焦点レンズで暈かして撮るから、モデルに近い位置にある桜以外は形状が分からなくなるくらい滑らかにボケる。これも場所によりけりだろう。逆光撮影で桜がどうしても白く飛ぶ場合はカメラの設定を暗く出来る順光撮影も考慮に入れる、臨機応変に対応するしかない。

しかし基本的に女性は単焦点レンズF1.4などで背景を思い切りボカした写真を好む傾向にあるので、桜の形状がハッキリとは分からなくてもこれが良いと言われることが多い。逆光ばかりで撮っていると表現が一元化してしまうから、時には順光も取り入れれば表現のバリエーションが広がって良いのではないだろうか。その際には光の当て方や、影の付け方に繊細な配慮をする必要がある。