藤原宮跡でコスモス畑を撮影 – フォトジェニックな写真を撮るための撮影スポットの現地での選び方

藤原宮跡でフォトジェニックなコスモスを撮る方法。

10月になると彼岸花と入れ替わるようにコスモスが咲き始める。近所の彼岸花はいつの間にか花を咲かせ、数日後にその公園の前を通った時には散っていた。コスモスはどうか。10月初旬に鶴見緑地公園の風車の丘に赴いた時には、マリーゴールドが見頃を過ぎていて乱れ髪のようにその独特の強みのある黄色い花弁を逞しくしていたが、その隣の花壇には薄色のコスモスが一輪か二輪、添え物のようにひっそりと慎ましい日本婦人のように咲いていた。

その一輪か二輪のコスモスを見て、ポートレートを撮りたくなってきた。関西で手頃にコスモスポトレが撮れる場所と言えば、奈良県橿原市にある藤原宮跡だ。平城宮跡と間違えやすいが、あちらは近鉄奈良線沿線にあり、藤原宮跡はそのほぼ南に位置する。大阪から行く場合は近鉄電車の鶴橋駅で大阪線に乗り換えてから、大和八木駅もしくはその一つ向こうの耳成駅で下車して徒歩約25分から30分。耳成駅からの方が4,5分程度近いが、大和八木駅前から発車するコミュニティバスを使えば、30分揺られて藤原宮跡前で下車することも可能だ。2019年10月の時点でバス代は大人170円。PITAPAなどのICカードも利用できる。

もしくは大和西大寺駅まで乗り、そこから京都線・橿原線に乗り換え、八木西口駅で降りる。大和八木駅の一つ向こうだが、徒歩で25分ほどになる。今回は大和西大寺駅で乗り換えて、八木西口駅で降りた。経路の途中にローズガーデンにもなっているおふさ観音という寺院もあるので、時期が合えばイングリッシュローズに囲まれたお寺を拝観することも出来るだろう。筆者が言ったときはまだ2部咲きだった。10月19日から秋のローズフェスティバルを行うそうだ。

おふさ観音、こっち☜
古風な町並みが残る
ふと華やいだ一角が現れた。
おふさ観音に到着。
境内の仏像。

コスモスの姿も見えないので、やや道が分かりづらいが、スマホのGoogleマップアプリなどの位置情報サービスを利用すれば迷うことはまずない。

幹線道路に出た。
あと少しでコスモス畑。

藤原宮跡に到着したのは午後1時15分頃。空に雲は多く、太陽はそれほど顔を覗かせない。時が経つにつれて太陽が出なくなっていき、風だけが台風が近いためか、この辺りの風土なのか強く吹いていて秋桜が絶えず揺れていた。

藤原宮跡に到着。この先にコスモス畑が広がる。

秋桜、秋の桜。その名の通り秋に咲かせる桜のように秋桜畑はピンクの斑模様に染まっていた。遠目から見ても、花畑の盛り上がりが、あちらにモサリ、こちらにモサリと、あたかも農夫が積み上げた藁のように小さく穏やかな、しかし異世界のような美しい斑色の山を作っている。

今年はすくすくと育ってくれたコスモス。

去年は関西の各地に激しい爪痕を残した大型台風のせいで、花をつかせる前に押し倒されて、あまり咲いてはいなかった。その違いを実感したのは、カメラのファインダーを覗いたときだ。どこを切り取っても絵になる。去年はこうはいかなかった。

ここから先はプレミアム会員向けに、藤原宮跡で撮影するときに便利なレンズや撮り方、カメラの設定、各使用レンズによる作例、フォトジェニックな写真が撮れる撮影スポット、去年と今年の比較写真などを解説・掲載していきたい。

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冒頭に上げた写真の撮影に使用したレンズ