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花のじゅうたん 芝桜専門庭園 – まほろば探訪 第66回

芝桜が敷き詰められた花のじゅうたん
芝桜が敷き詰められた花のじゅうたん

読売新聞のウェブ版だっただろうか、三田の山奥にある『花のじゅうたん』と呼ばれる花園にシバザクラが見頃と出ていた。シバザクラと言えば富士山とのコラボが有名だが、近場にもシバザクラの絨毯が拝めるのならと検索して経路を調べ、数日後に足を運んだ。

ゴールデンウィークが始まる前に訪れておきたいと思ったのは、やはり混雑を避けるためだ。それも平日が良い。天気予報ではGW前の2日間が曇りや雨模様で、晴れている日がこの日しかなかったので、重い腰を上げて電車とバスを乗り継いで三田の山奥に踏み入った。

公式サイトを見ると自動車のアクセス方法しか載っていなかったが、他のサイトではJR三田駅から神姫バスでも行けると書いてあったので、Yahoo!路線情報で検索してみたが、どういうわけか乙原バレイ停留所から徒歩60分としか出てこない。そこで色々検索してみると「永沢寺(えいたくじ)」停留所から徒歩1分とあるから検索し直してみたが、それでも同じく乙原バレイ停留所から徒歩60分と出る。

たまたま神姫バスの経路案内のサイトが引っかかったので、そこで検索してみると、今度はきちんと三田駅北口から永沢寺まで直通で出ていたので、ちゃんと辿り着けるか不安だったが行くことに決めた。

朝8時に家を出て、JRで三田駅へ。JRは度々遅延するので一つ早めの電車を選んだがやはりこの日も信号機の確認で5分遅れたので早めに出て正解だった。永沢寺までのバスの本数が少ないので1本逃すと1時間のロスになる。宝塚線から車窓を眺めてみると山々が連なっており、僅かながらに桜の木が色づいているのが見える。完全な田舎の景色だ。三田駅に着き、北口の神姫バス停留所11番で24系統のバスを待つ。

バス停の時刻表を見ると、午前9時だけでなく8時にもバスが出ていることに気づいた。神姫バスのサイトで検索したら9時46分のバスが始発だったのになぜだろう。検索してみると、どうも乙原バレイまでしか行かないみたいだ。午後2時24分の帰りのバスでは、この特に何もない乙原バレイで一端バスを乗り換えて三田駅北口まで向かう。帰りのバスの時刻を同じ神姫バスのサイトで永沢寺と三田駅北口を指定して検索したときに午後2時台のバスが出ずに午後5時台のバスが出てきたのはこれが理由だろう。料金は同じ710円だった。

バス停の時刻表に、自分の乗るバスの時刻の横に「直通」と書いてあったので、果たして永沢寺で止まるのだろうかと不安になり、たまたま他の客の質問に答えていた若い職員が側にいたので聞いてみたが、個別のバスのことまでは分からないという。はてさてこの人制服着てるけど、どこの職員だろう。バスがやってくる。電光掲示板に「永沢寺」と書いてあったので大丈夫だろうと乗り込む。バスはそれほど混雑していない。途中の市民病院でお年寄りが何人か降りるとあとは皆目的地は同じみたいだった。

車窓にはなだらかな山々が連なる。最近よく京都の奥深いところに行くので、なんだかこの景色も見飽きてしまった。若い色づきの木々が生えそろい、その脇を濃い緑の木々が覆い、ところどころに遅咲きのヤマザクラがぽつんと咲いている。これがヘッセの描いたドイツの森ならまた感慨も異なるのだろうか。三田は新興住宅街のためか道路は綺麗に整備されている。しかし山を深く進んだところにあった住宅の密集した場所で瀟洒な一戸建てを見かけたが空き家になっていた。この場所だと車やバスがないと生活が不便そうだ。

無事永沢寺で降りることが出来、花のじゅうたんに向かう。サイトを見て予想していたのとは異なり木の温もりを感じさせる手作りのエントランス。

600円を払って屋根をくぐると、レビューサイトにも書かれていたが、写真で見たよりもこじんまりとした空間だった。

全体的に見ると、6,7分咲きといったところだろうか。ところどころ養生用の緑のシートが見える部分がある。写真で見たよりは少し少ない? 小耳に挟んだ話によると例年は4月末が満開の時期だが、その年の気候によって前後するという。来るのが少し早すぎたか。

しかし散策するにはこれくらいの広さがちょうど良いのではないかとも思われる。なだらかな傾斜に色とりどりのシバザクラが植えられており、ピンクの絨毯の中にタンポポが1本咲いていたりもする。あとどういうわけか『エヴァンゲリオン』や『とある科学の超電磁砲』『ワンピース』のミニフィギュアがシバザクラに埋もれていたりする。奥まったところにはテーブルとベンチがいくつか置いてあり、皆そこに持ち込んだお弁当を広げて晴れた空の下で午餐を取っていた。

シバザクラの方は7部咲きくらいだったが、なんと僥倖なことに立派な枝垂れ桜が満開を少し過ぎた頃合いで咲き誇っていた。まさか4月下旬に桜を観ることが出来るとは。周りにもヤマザクラが咲いているのは観ることが出来たが、やはりピンクに色づいている枝垂れ桜の方が好みだ。近所は総て葉桜になりそれを見て枯れかけていた心にこの枝垂れ桜が潤いをもたらしてくれる。まるで数週間前に撮った桜の写真を見返したときのような感動が去来する。

時折吹く山の強風が枝垂れ桜の花びらを豪快に舞わせると歓声が上がった。いずれこの山風が枝垂れ桜の花をすべて散らすだろう。その頃にはシバザクラは満開になっているのだろうか。平成最後の桜を愛でることが出来た悦びを瞼の裏に仕舞いこみ山里にある花園を後にした。