F値の変化で背景の美しさが変わる!黒ホリゾントの壁の色をストロボで変える時に気をつけたいこと

model:Riruru
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黒ホリゾントで背景の壁にストロボで色をつけて撮る場合。絞りをF8〜F10まで絞ってくっきり撮るべきか、F1.4のような開放の設定で撮るべきかは迷うところだ。なぜ迷うのか。

まずF値を上げると、写真が暗くなる。写真が暗くなると、ストロボの光量の設定をあげなければならないが、それでも足りない場合はISO感度を上げることになる。ノイズが気になる。

それにF値を上げて全体的にシャープな設定で撮ると、黒の壁の傷や汚れが目立ってしまう。壁の固い質感が出てしまう。

そこで背景をぼかす。F1.4の設定にしてみる。するとストロボで色をつけた背景の壁もほどよくぼけて、なめらかな描写になる。しかし今度は被写体側が全体的にシャープに写らないという問題が出てくる。例えば衣装の肩の部分や構えている腕がぼけてしまう。このあたりは好みにもよるだろう。幕末の写真にそんな大胆なボケ方をしたものがあったような記憶がある。

結局この日はF1.4で撮影した。使用したレンズがOtus1.4/55なので、開放でもピントが合っている部分はシャープで収差も見られないのが良い。キヤノンのEF50mmF1.2のレンズで撮るとおそらくここまでは行かないだろう。実際に以前別のシーンで撮ってみたが、開放や開放付近ではあまり使いたくない。収差が出るからだ。Canon EF85mmF1.2のレンズではF2.2位まで絞ると飛び抜けて綺麗な描写となる。結局少し絞って撮るのが王道のようだ。Otusと比べると、キヤノンのレンズの方がコンパクトで軽いのだけれど、やはり開放からの描写が類い希なので、Otusを持ってきてしまう。

アップ目の写真も撮ってみた。目だけにピントが合っている。被写体と近いのでよくぼけるが、こういう写真を撮るときは果たして開放で撮って思いっきりぼかすべきか、少し絞って撮るべきなのか迷うところだ。目以外がぼけてしまっていいものだろうか。

model:Sae
model:Sae

しかし杞憂に終わったようだ。こうやって家に帰って眺めてみると、とてもいい写真に仕上がった。まるで見ている側が何かの想いを抱いているような写真に仕上がる。あるいはモデル自身の気迫が伝わってくる。そういった撮影者側の意図をきちんと写真に込めるためには、距離を推し量ったりF値を自在に操るスキルが欠かせない。

さて絞り値だがF1.4もよいが、レンズによっては収差が気になるところだ。またピント合わせも難しい。黒ホリゾントで写真を撮る場合は現場も暗いので、AFでもピントが合わせづらい。このスタジオにはLEDライトが置いてあったのでピント合わせのための補助光として使うと良いだろう。もしくはライブビューモードとの合わせ技でピントを合わせる。F2.2まで絞って被写体の解像感を増す撮り方も良いかもしれない。おそらく背景もまだ十分ぼけるだろう。