お菓子の家のスペースでストロボを使って明るい写真を撮る方法!

明るい雰囲気の場所で明るく撮るのは意外と難しい。
明るい雰囲気の場所で明るく撮るのは意外と難しい。

ハコアム大阪のお菓子のスペース。やはり女の子はこういうスペースが好きなのだろうか。男の僕から見るとあまり惹かれないスペースなのだが、その理由の一つに簡単に綺麗に撮りにくいというのがある。

なぜかというに、まず普通の設定で撮ると暗い。解放F値4のズームレンズを使うとしよう。背景もクッキリと解像感豊かに撮ろうとして、F7.1まで絞るとしよう。ISO感度は200。試しに撮ってレイヤーさんに見せると、背景をもっと明るくできないかと言われた。

確かに少し暗い。F7.1まで絞ればそりゃ暗いだろうし、自然光の入らないスタジオというのはどれだけ見た目が明るくても、ちょっと油断した設定で実際に写真で撮ってみると暗くなるものだ。レイヤーの顔はストロボが当たっているから明るいが、それとは正反対に背景が暗いので、異様なコントラストとなっている。おそらくモデル二人が影になって後ろにまでストロボが当たらないせいもあるだろう。

ストロボで背景を光らせたらどうかという提案がレイヤー側からなされ、そういえば前にそんな感じで撮った覚えもあるなと、早速背後にストロボを仕込んだ。しかし実際光らせてみると、すごく不自然な感じで壁の一部が明るく照らされるだけでなく、壁のハートの飾りに強い影が出てきてしまった。これではストロボを光らせました感が強く前面に出てしまう。

やはり自然な明るさがいいということで、ISO感度を640まで上げ、レンズを単焦点に変えて、F2.2に設定してみた。ところが今度は、ストロボ光が明るすぎて顔が真っ白になってしまった。最小の1/128に光量を設定しても、まだ明るい。そこでソフトボックスとアンブレラ計3灯を被写体であるレイヤーから大きく離すことにした。こうして撮った写真、ようやくレイヤー側からOKが出た。背景も明るいし、レイヤーの顔の明るさも適正露出となった。

といったような作業を経てようやく最適解が見つかったという案配なので、撮るのが難しい。おまけに背景がパステルカラーというのは、露出を一つ間違えると、全く持ち味が生かせない色になってしまう。暗いとイメージが真逆になり全体的にどのような方向性の写真なのかチグハグとしてしまうし、無理やりストロボで照らして明るくすると、不自然な感じになる。

本当はもう少し背景を明るくしたほうが良かったのではないかとも思えたのだが、これ以上ストロボを離せない。運のいいことにこの日は他の利用者が来なかったからなんとか距離を取って撮影することができたが、もう1組来ていたらかなり撮りづらいことになっていたことだろう。

さて、それとは別に、ストロボの光量の違いのせいだろうか、ストロボ光が強い時と弱い時とでは、肌の色が異なって写っている。強い時は暖色に、弱い時は寒色の方に振れている。同じ環境下で、F値を小さくして撮った時と大きくして撮った時に写真の肌の色が異なるのは、推察するにこのストロボの光量の変化が影響しているものと思われる。ストロボの光量が弱いと、スタジオの蛍光灯などの環境光の影響が大きくなるから、肌の色が異なるといったところだろう。参考までに使用ストロボは、キヤノンの600EX-RT。ソフトボックスとアンブレラはProhoto製だ。読者の使用機材によっては、また異なる結果となるかもしれない。

Model:Cocona
Model:Cocona

どうせならF7.1の設定のままでISO感度を上げて、ストロボを離せば良かったかもしれない。しかしこのF値では、ISO感度を大きく上げても、背景が明るくなりづらいような気がして今回は見送った。

背景をぼかす必要がないなら、壁のすぐ前に立ってもらって絞って撮るのが最適

実は前日に同じ場所で撮影したのだが、こちらの方は背景が最適なほどに明るく撮れていた。F8まで絞り、ISO感度も400程度なのに、なぜ背景の壁を明るくできたのか。

レイヤーさんに壁のすぐ前に立ってもらったからだ。つまりソフトボックスとアンブレラで透過したストロボ光で背景も明るくできたというわけだ。モデルの背後にストロボを置いて明るくするにはストロボ光が狭すぎるし、アンブレラを置けるスペースもなければ写り込んでしまうという問題もある。だがモデルの手前のソフトボックスやアンブレラなら写り込まないし、背景の壁全体を広々と照らすことができて、不自然にならない。

壁からモデルが離れて、背景の明るさがうまく調整できない時は、いっそのこと壁の直前にモデルに立ってもらって、F値を大きくして全体的にシャープに撮るのが最適解のように思われる。背景の可愛い壁の模様も生きてくるだろう。