よく行くスタジオでそのスタジオで撮影したようは見えない写真を撮るにはレンズ、構図、ライティングなど幾つかの工夫がいるが、今回は超広角レンズと小道具を用いてハコアムで撮ったようには見えない写真を撮ってみることにした。
使用レンズはCanon EF11-24mm F4L USM。小道具は赤い花びら。
Canon 1DXの連写機能を使う。その上で花びらをカメラのレンズに向かって投げつけて貰った。こういう時にフラッグシップの高速連写機能が生きる。ワンショットでも撮れないことはないが、今回のような撮影は連写の方が簡単で楽だ。
簡単と言ってもやはり運とタイミングが必要で、それなりに動体視力を駆使して、花びらの舞う動きをシミュレートしてシャッターを押すタイミングを見極める。
またタイミングが合ったからといって、理想的に花びらが舞ってくれるわけでもなく、範囲が狭かったり顔にかかったりと色々ある。そこは花びらを投げつけてくるレイヤーさんの技と運による。
カメラの設定はF5.6、シャッタースピード1/30秒、ISO800、焦点距離11mm。
超広角11mmなので手が歪んでいるがそれも持ち味の1つだろう。シャッタースピード1/30秒はそこそこスローシャッターの部類に入るが、おかげで投げつけられた花びらが半透明の軌跡を描いて写りに動きが出ている。焦点距離11mmなので、手ブレしないシャッタースピードのセオリー1/焦点距離x2(秒)のセオリーに照らし合わせれば、手ブレせず尚且つ動きを出すのにはちょうど良いシャッタースピードだ。
写真をTwitterに上げると「この場所を使ってこんな凄い写真撮ってる人初めて見た」と或るレイヤーさんからお褒めの言葉を頂いた。あのスペースは鬼門だから難しいというような話で、確かに何度も撮ったことがあるが極まった絵を撮るのが難しい。ストロボで背後の壁に色をつけつつ50mmや85mmの標準、中望遠単焦点レンズを使って、切り取ったりボカしたりする手もあるが、敢えて逆の手法で11mmという超広角を生かして広々と撮ってみることにした。
正直人物撮影の際に、風景写真を想定して購入した11mmの超広角レンズが生きてくるだろうか半信半疑だったが、何度か撮影を重ねていく内に良い感じに撮れることが手の内に染みてきた。
奥行きがあるのが良いとも言われた。超広角で人物に思い切り近づいて撮ると、狭い場所でも背景が遠くにあるように写る。逆に遠ざかれば背景が被写体に近づいてくるように見えるわけだが(圧縮効果)、これはおそらく人間の目が今まさに見えている景色と同じだろう。