カメラを撮っている方で、ポートレートを絞って撮るか、開放で撮るか迷ったりすることはないだろうか。僕自身は始めは写真撮影のイロハも知らず、Canon EF85mm F1.2L Ⅱ USMをカメラに装着して開放でばかり撮っていた。このレンズだと開放F値はF1.2だ。収差は出るし解像感は損なわれている。しかし背景が思いっきり暈けるので、ポートレートやコスプレ撮影では重宝する。
背景の思いっきり暈けた写真は正義みたいな所がある。何故なら人物写真を絞って撮ると、普通のコンデジで撮ってる写真と変わらなく見えるし、何の特徴もない、視線の誘導もない、何が主役なのか分からない、平べったい印象を与えてしまうからだ。特に野外撮影では。
しかし最近は絞って撮ることも覚えた。絞って撮る愉しさの理由は、やはりレンズの描写性能をフルに引き出せるからだろう。解像感豊かで綺麗な写真は、家に帰ってからデータを見ているだけで楽しくなる。
先日の撮影で、また絞るか開放で撮るかで迷うこととなった。二人とも衣装は手作りでこだわりがある。ドレープが綺麗に作れたと喜んでいた。きっと生地にもこだわっている事だろう。
ということは撮影者もそのこだわりに応えなければならない。衣装も綺麗に写すのなら、絞って撮るのが常道だ。
でも撮っていて、ふと開放で撮りたいと思った。キャラは男の子なのだけれど、見た目は女の子っぽい所がある。きっと開放でふんわりと撮ったら綺麗に撮れるだろうなと思い立ち、カメラの設定を変えて撮ってみた。
データ確認したら、こちらのふんわりした写真の方が良いと言われたので、開放で撮っていった。焦点距離は55mm、絞り値はF1.4の開放、レンズは開放で撮っても写りがシャープで収差が出ないOtusだ。
理想を越えた写真が撮れると撮影が楽しくなる。撮影が楽しくなるとシャッターも弾む。きっとこれからも開放で撮るか、絞って撮るか、その場その場で迷いながら楽しんでいくのだろう。