フィンランドの児童文学が原作。彩度がやや高めで、明るい。北欧をテーマにした雑誌からそのまま飛び出してきたような洋服やインテリア。当然だけれど全編フィンランド語で何を言っているのか分からないから字幕を辿ることになる。
北欧と言えばやはり憧れの地で、ムーミンやスプーンおばさんなどの童話の発祥地でもあるし、シンプルで無駄のない、それでいて洗練されたデザインに心惹きつけられるものがある。北欧に行くのは難しいが、部屋の中を北欧風に染めてみたい。奈良に北欧をモチーフにした小綺麗な個人経営のレストランがあり1度訪れたことがあるが、本作でも絵本の中に迷い込んだかのようなカラフルなお家や家具、お姫様のようなベッドやカーテンに囲まれて、二人の少女がひと夏の間に小さな冒険をする。
お婆さんからもう住まないからとお家を貰ったり、魔法を使える隣人がいたり、金の卵を産むニワトリがいたりと、児童文学らしい自由な発想。悪い人も出てくるが、二人の提案で悪い人もいい人になる。不幸になる人が1人も出てこないのが良い。
スロットに夢中のおばあさんが出てきて、孫のアイスクリーム屋にいつも50ユーロねだってるんだけれど、フィンランドにもギャンブル依存症の人がいるんだなと、日本も今ちょうどカジノ法案成立で色々考えさせられている最中だから、スロットってどんなスロットなんだろう、CRエヴァンゲリオンみたいなタイアップのスロットがあるのかなと色々考えてたら、よくある古いお店の喫茶店の片隅に一台ぽつんと置いてる古い777を揃えるタイプの骨董品のようなスロットマシーン。拍子抜けしてしまった。あんなマシーンでもギャンブル依存症になるんだ。児童文学だから子供向けにデフォルメされているのかも知れない。
フィンランドはパトカーまで洒落ている。イタリアだとランボルギーニのパトカーが有名だが、この映画に出てくるパトカーは小型で子供が喜びそうな可愛いデザイン。また主人公の二人の女の子が着ている洋服も北欧スタイルといった感じで可愛らしい。続編もあるらしい。
児童文学はどうも大人が読むとつまらない、歴史の研究書を読んでいる方が面白いと感じていたのだけれど、なかなかどうして、ホッコリとした気分に浸れた。夏に夏の映画を観るのも素敵なひとときだ。