集合写真の撮影は案外構図に迷うものだ。カメラマンも迷うし主宰も迷う。人数が増えれば増える程、フォーメーションが限られてくるし、構図も限られてくる。しかし構図が限られるという点においては、カメラマンの負担が一つ減るので、ある意味ピンショットやツーショットよりも考え方は楽になるかも知れない。
先日アイドルキャラクターのコスプレの集合写真を撮ってきた。主宰はテキパキしていて慣れた感じで現場を取り仕切っていて撮りやすかった。何より衣装が落ち着いたクラシックな感じで有りながら、そこはかとなくカラフルで、大型併せの醍醐味を十二分に引き出せる雰囲気を漂わせていた。
主宰がV字型のフォーメーションで撮りたいと言い出した。V字型と聞くとカメラマンは尻込みしてしまう。スタジオ内でストロボを使って撮影する場合、全員の顔に均等に光を当てなければならないというのもあるし、どう撮れば良いのかまず構図に迷うからだ。
しかしいったん船が出航すればすんなりと行くものだ。習うより慣れろとはこのことか。大型合わせは壮観である。上から撮ったり、しゃがんで撮ったりと、色々試した。
家に帰ってから構図についてあれこれと思いを巡らせていたら、V字型のフォーメーションで集合写真を撮ると、次のような線を引けることに気づいた。
これはしゃがんで撮った写真だが、見事な菱形構図が浮かび上がってきた。こうして線を引いてみると、構図を視覚化でき、なぜこの写真は美しく見えるのだろうと具体的に認識することが出来る。黄金比にしてもそうだが、美しい形状には必ず幾何学的な法則があるのだと否応なく気づかされるだろう。
V字型の集合写真を、脚立に乗って上から撮った場合はどうだろう。
逆三角形の構図が出てきた。では真正面から普通に立った状態で撮影した写真はどうなるだろう。
先ほどよりも若干角度の緩い逆三角形構図になった。
V字型の集合写真に菱形構図や逆三角形構図が隠されていると知っていれば、カメラマンである筆者はその構図を意識して、コスプレイヤーに対して細かく立ち位置を指示すべきだっただろう。
とりあえずV字型集合写真を撮る時は、撮る角度によって、菱形構図や逆三角形構図になることを記憶に留めておこう。