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集合写真で全員にピントを合わせる6つのコツ!撮り方の基本を覚えよう

焦点距離55mm、F8で撮影。全員クッキリと写っている。
焦点距離55mm、F8で撮影。全員クッキリと写っている。

結婚式やパーティ、コスプレイベントなどで集合写真を撮りたいとなった時、気をつけなければならないのは、全員の顔にピントが合っているように見える写真を撮らなければならないことだ。

ゆえに集合写真は往々にして苦労する。集合で撮る場合、だいたい被写体の立ち位置が前後している場合が多いので、前列にいる被写体にピントを合わせれば後ろの列の被写体が暈け、後ろにピントを合わせれば前がボンヤリしているといった事が生じる場合がある。

「今撮った写真、この人はピントガッチリだけど、後ろのこの人はちょっと暈けてるけど良い?」

と念のため確認してみると、大抵は「あぁこれくらいなら全然大丈夫」という返事が返ってくるのだが、「まぁそういうわけにもいかないだろうなあんまりボンヤリで写ってたらいやだろうし」とどのようにして全員にピントをあせようかと考えを巡らせるオチになる。コスプレの大型撮影がカメラマンに敬遠される理由は、集合写真で全員にピントを合わせるのが難しいという理由もありそうだ。

立ち位置が前後した数人全員にピントを合わせる為には、カメラの設定とレンズの特性を考慮に入れなければならない。

集合写真を撮る上で重要なのは、ピントが合っているように見える範囲、被写界深度を深く確保すること。その上でピントが合っているように見える被写界深度の範囲内に、前後する大勢の被写体を収めるようにして撮らなければならない。

集合写真で全員にピントを合わせる為のレシピは以下の通り。

  1. 焦点距離35mm〜50mmのレンズを使う。
  2. カメラを絞り優先モード(Av)、もしくはマニュアルモード(M)にする。
  3. F値をF5.6〜F11くらいまで上げる。
  4. シャッタースピードやISO感度を調整して明るさを決める。
  5. 被写体から大きく距離を取る。
  6. 被写界深度の範囲はピントを合焦させた被写体の前方よりも後方の方が長い。
  7. あれば三脚を使う

35mmから50mmの焦点距離で撮れるレンズを使う。

レンズは焦点距離が長くなるほど、つまり広角から望遠へと向かうほど、ピントを合わせた被写体以外が暈けやすくなる性質がある。

では焦点距離の短い広角レンズで撮れば良いのでは?と思うかもしれないが、広角レンズには集合写真を撮る上での欠点がある。描写が歪みやすいのだ。

焦点距離が短くなればなるほど、つまり広角になればなるほど、写真の描写の歪みが激しくなっていく。足が長くなったり顔が長くなったり、横幅がひろくなったり、被写体の置かれた位置によって描写が歪む。

味を効かせて歪みのある集合写真を撮りたいのなら広角レンズを活用するべきだが、結婚式の集合写真に限らず、コスプレ撮影の集合写真でも、どの被写体も歪まず真っ直ぐに撮るのが基本である。まずは基本を抑えてから、広角で歪んだダイナミックな表現溢れる集合写真を撮るのが良いだろう。

ではどの焦点距離なら歪まずに済むかという話になってくるが、理想は焦点距離50mmがよい。歪みが目立たない上に、人の見た感じと同じように撮れると言われている。ただ場所によっては距離が取れなくてフレームに収まりきらないということもあるかもしれない。その場合は若干歪みは発生するが、35mmの焦点距離がオススメだ。50mmよりもボケにくくなるし、広く撮れる。

暈けの量はAPS-Cサイズでもフルサイズでも同じとなる。APS-C機の場合は50mmのレンズで撮ると、フルサイズ換算で焦点距離75mm(キヤノン機は80mm)になるが、センサーサイズが一回り小さいので画像が実質トリミングされているだけであり、実際に中望遠のレンズで撮ったように、標準レンズより背景が暈けやすくなっているわけではない。

APS-C機の場合は、広角レンズの特性で歪んだ部分がトリミングされているので、24mmの広角域で撮影しても歪みは問題にならないかもしれない。実際に使ったことがない機種なので保証は出来ないが、カメラ愛好家が集うフォーラムでもみんな同じようなことを言っている。

歪みの目立たない真っ直ぐな集合写真を撮りたいなら、焦点距離は標準域の50mmに越したことはない。

集合写真を撮る際に便利なのは、標準ズームレンズだ。焦点距離24mmから70mmまで自由自在に変更できるので、被写体との距離や人数など臨機応変に焦点距離を変更して撮ることが出来る。パパッと撮らなければならない時、レンズを交換していてはもたついてしまう。レンズ交換せずとも焦点距離を変えられるのは、ズームレンズ最大の利点だ。

レンズにもよるが、例えばキヤノンのEF24-70mmF4L IS USMと、EF16-35mm F2.8L 2 USMだと、同じ35mmの焦点距離で撮っても、後者のほうが両端の歪みが比較的強い。歪みの少ない集合写真を撮るためには、使用するレンズの選別も重要になる。

キヤノンの高性能ズームレンズ EF24-70mm F2.8L II USM。集合写真を撮る時にも活躍する。
キヤノンの高性能ズームレンズ EF24-70mm F2.8L II USM。集合写真を撮る時にも活躍する。

カメラを絞り優先モードかマニュアルモードに変える。

オートやシャッタースピードではF値を固定させて撮ることが出来ないので、カメラの設定を絞り優先モードかマニュアルモードに変える。

手持ち撮影での手ブレが心配なら、シャッタースピードも固定できるマニュアルモードが良いだろう。その方が露出設定(写真の明るさ調整)も楽だ。

F値を絞る。

カメラの設定でF値を絞ることで、被写界深度を深くし、ピントを合わせた被写体の前後を暈けにくくする。絞れば絞る程よいというわけではない。フルサイズ機ではF11以上、APS-C機ではF9以上に絞ると、光の回折が原因の小絞りボケが生じ始め、逆に画質がぼやっとしてしまうと言われている。

だいたいF5.6からF11くらいに設定するのが良いだろう。

被写体から大きく距離を取る。

写真を撮る時、被写体に近づけば近づくほど、ピントの合っている面以外は暈けやすくなり、遠ざかれば遠ざかるほど暈けにくくなる。

自分の理想とするフレーミングに併せて、被写体から距離を取る。高画素なフルサイズ機での撮影なら、トリミングも前提に入れて、被写体の周囲に少し余裕を持たせても良いだろう。

焦点距離35mmで撮る際に周辺の歪みが気になるなら、フレームに余裕を持たせて後から余分な箇所をトリミングしてみるのもいいかもしれない。

被写界深度の範囲はピントを合わせた前よりも後ろの方が長い

ピントの合う範囲は、ピントを合わせた被写体の手前よりも、後ろの方が暈けない範囲が広くなる。この理屈からいくと、余りにも縦の列が多い奥行きのある集合の写真を撮る場合は、1番前の列よりも2番目、3番目の列にピントを合わせた方が前から後ろまで全員にパンフォーカスでピントが合う可能性があるという事になる。

この方法は風景写真をパンフォーカス(前景から遠景まで写真全体がピントが合っているように見える)で撮る時にも用いられる。ピントを合わせたい被写体ではなく、ピントが合っているように見える被写界深度の範囲に、写真に写る部分すべてが収まるように考慮してピントを合焦させる位置を選ぶ方法だ。

しかし実際に撮ってみないことには分からない。そこで考え方としては、一番前の列の人物は必ずシッカリとピントが合うように、カメラの設定とピントの位置を調整することだ。というのも、一番前の列の被写体のピントが暈けてしまうと、写真全体がボンヤリとした印象になってしまう。集合写真の場合、写真の鑑賞者の目はまず初めに一番手前に大きく写っている被写体に向かうからだ。

だから、最前列の人物にキッチリとピントが合うようにF値や被写体とカメラの距離、更に欲を言えば全員の顔がぼやけないようにピントをどこに合わすか、これらの点を撮影現場で調整する。

迷ったら最前列にピントを合わせるのが良い。F値を大きくしていけば、後ろの方までクッキリと写るようになる。被写界深度の範囲はピントを合わせた前よりも後ろの方がピントの合っているように見える範囲が広いので、全員にピントが合わなければ、試しに2列目の被写体にピントを合焦させてみて、全員がボケずにクッキリ写っているか確認するのもいいだろう。

またカメラと被写体が十分な距離が取れない場所で撮影する奥行きのある人物の集合写真は、遠近感が生じるために奥の人の顔は小さくて目立たないこともある。だから多少暈けていても気づきにくい。もちろん全員にピントが合っている事に越したことはないが、それが撮影環境により叶わない場合は、最後列よりも最前列の人物にピントがガッチリと合うように優先しよう。

余裕があれば三脚を使う。

F値を上げる、つまり絞り羽根を絞ると、カメラに取り込める光の量が少なくなるので、写真が暗くなる。

そこでF値の設定を変える前に自分が理想としていた明るさに戻す為に、シャッタースピードを遅くしなければならないが、手ブレしないシャッタースピードのセオリー、1/焦点距離×2(秒)よりもシャッタースピードを遅くするわけにはいかない。手ブレしてしまうと、せっかくピントが合っていても画質が悪くなってしまうからだ。明るい屋外なら問題ないだろうが、暗い室内でF9まで絞ると、シャッタースピードの設定だけでは写真の暗さに対応できなくなる。

そこで最後の手段としてISO感度を上げることになるのだが、ISO感度を上げれば当然画像にノイズが発生する。上げすぎればザラザラの輝度ノイズだけでなく、海に浮かんだ油のような色ノイズも発生する。つまり画質が劣化する。

屋内の撮影で綺麗な集合写真を残したいなら、三脚の使用をお勧めする。三脚を使えば、シャッタースピードを遅くしても手ブレする心配がない。また、小学校や中学校の記念の集合写真を撮る場合など、一度カメラの設定をして、三脚を理想的な位置に固定させてしまえば、後は次から次へと団体を流していって、シャッターを切るだけなので、撮影が楽になる。

三脚を使う場合は、レリーズを持参しておこう。指でシャッターを押すと、ボタンを押した時のわずかな衝撃がカメラに伝わってブレた写真になってしまう。シャッタースピードがスローシャッターになっているなら尚更だ。レリーズを使うことで、直接カメラを触らずにシャッターを切れるので、指押しによる振動の予防になる。

被写体ブレに注意!

しかしシャッタースピードを遅くしすぎるのも問題で、1/30秒よりも遅く設定すると、今度は被写体が動くことで生じる被写体ブレを捉えてしまう恐れがある。シャッターを押す時にじっとしてもらえればいいのだが、中には動いてしまう人もいる。じっと止まってくれるのか、動いてしまうような被写体や現場の雰囲気なのか、撮影状況に応じてシャッタースピードの増減を決めると良いだろう。

全員を均等の大きさで撮るために、カメラと被写体の距離を十分に取る

短い焦点距離、例えば全員にピントを合わせようとして、35mmの焦点距離で撮ろうとすると、50mmの焦点距離で撮ろうとした時よりもフレームが余るので、被写体により近づこうとする。被写体に近づくと遠近感が生じ、被写体の前後の大きさの比率が変わってくる。前は大きく、後ろは小さくといったように。それほど気にならないかもしれないが、もしあなたが完璧主義者で全員を均等な大きさで撮ろうと思うのなら、被写体からより離れて撮ると良い。

被写体と距離を取ることで全員にピントも合いやすくなる。問題は撮影場所によっては十分な距離が取れない点だ。その場合は広角レンズで余分な部分をトリミングすることを前提に撮ることも考慮に入れておく。距離が取れないギリギリの位置からでも、50mmと35mmのレンズでは撮れる大きさが異なってくる。35mmなら広く撮れる、ボケない、といいことづくしだ。ただしトリミングの手間はかかる。また写真全体に対する被写体の大きさも小さくならざるを得ない。トリミングした後に、ウェブにあげたり、印刷するのに必要十分な解像度が足りているかを確認する必要もある。

これらの手順を踏めば、集合写真でも全員にピントの合った写真を撮ることが出来る。大事なのは絞りを絞ることと、ピントを合わせる位置だろう。ピントが合っているように見える被写界深度の範囲内にメンバー全員を収めるにはどうすれば良いのかを考える必要がある。現場での撮影はバタバタしていて数値的なことは忘れがちになるので、慌てずに撮影して、全員の顔がクッキリと写る写真が撮れるように心がけたい。