大阪阿倍野区にある大正風味のレトロな喫茶店 金魚カフェ – まほろば探訪 第64回

レトロ感漂うアイテムがたくさん展示されている金魚カフェ。
レトロ感漂うアイテムがたくさん展示されている金魚カフェ。

この日は大阪メトロ御堂筋線昭和町駅最寄りの金魚カフェという場所に撮影に赴いた。天気は曇りがちだったが、屋内での撮影なので特に問題は無い。

昭和町、平成もあと1ヶ月ちょっとで終わるが、やはり昭和がゆかりの地名なのだろうか。駅名は昭和町だったが、今回訪れた金魚カフェは大正14年に建てられた長屋の一画に手を加えて再生された2階建ての喫茶店で、レンタルスペースとしても貸し出しされている。この日は貸し切りでの撮影だった。

当時の雰囲気をほぼ残した形の造りで、江戸川乱歩や横溝正史などの推理小説の他、お人形や昔のカメラなどのレトロな機械が展示されている。金魚カフェなので金魚が泳いでいる水槽もあった。壁には昔の推理小説の広告が貼り付けられいて、ふとシャフトのアニメ『化物語』の1シーンを想起させてくれた。江戸川乱歩と言えば今現在岩波文庫から選集が刊行中なので、これを機会に読んでみようかとも思った。

畳の居間に通され、レイヤーさんの着替えと準備が終わるまで待つことにする。ふと花が生けてある方に目をやると谷崎潤一郎の『鍵』が飾ってある。

谷崎潤一郎の『鍵』が飾ってあった。
谷崎潤一郎の『鍵』が飾ってあった。

あとはお人形。

年代物のお人形。
年代物のお人形。

水槽の向こう側は喫茶店らしくテーブルと椅子が並び、調度品なども大正昭和のレトロな雰囲気を醸している。

僕を呼ぶか細い声が聞こえてきたので二階に上がると、それはもうエモい空間がしつらえられていた。エモエモのエモ。この日はホラー映画の色調で撮って欲しいと言われていたのだが、これだけで充分伝わってくるのではないか。

二階の部屋はこれもまた大正昭和風の間取りで二部屋あり、そういえば東大阪の町工場の長屋をスタジオに改装した二階の部屋もこれと同じ趣だった。6畳ほどのスペースだろうか。家具が置いていないのでそう狭くはないが、撮る方としてはやはり距離が取りづらいから普段よく行く撮影用のスタジオと比べると窮屈に感じる。しかしどういうわけかこの日はほとんど55mmや85mmの単焦点レンズを使って撮っていた。この空間にいるとふと単焦点レンズに吸い寄せられたのだ。それはまた別の機会に詳しく話そう。

model:Kirisaki
model:Kirisaki
model:Kirisaki & Yuzuki maruo
model:Kirisaki & Yuzuki maruo
retouch:Yuzuki maruo
retouch:Yuzuki maruo

この日の撮影時間は2時間半ほど。二階と一階で撮影した。初めての場所でもあるしきちんと撮れるか心配だったが、単焦点レンズを使ってうまく撮る事が出来た。

金魚カフェへのアクセス

場所は大阪メトロ御堂筋線の昭和町駅から徒歩で7分ほどの近い場所にある。南東側の3番出口にはエレベーターもあるのでカート移動でも困らない。南西の4番出口階段の方もそう長い上り階段ではなかった。地上に出るとコンビニが交差点の角に二軒と、なか卯がありエヴァンゲリオンのキャンペーンののぼりが垂れ下がっていた。

地上に出て、大通りの府道を横切る松虫通を真っ直ぐ西に進んで、眼科が見えると角を右に曲がる。少し歩くと左手にお店が三軒、右手に広めの公園が見える。両隣にはこちらも大正時代の長屋を再利用したとおぼしき蕎麦屋さんとブティックがある。

駅周辺の景観は、ハコアム大阪のある大国町の交差点と似通っている。高いビルが1本聳えていて、その周りに雑居ビルが建ち並び、幹線道路を自動車がせわしなく走っている。角には昭和町名物のショートケーキを売っているお店なんかもあり、画一的な都会の冷たさの中に人情味が入り交じっているような街並みだった。

金魚カフェ ホームページ