最近はスタジオ撮影でストロボを敢えて使わずに、備え付けの照明機器を使って雰囲気のある写真が撮りたいと思うことが度々ある。ストロボ+ソフトボックスばかりの写真だと、どうしても表現が一元的になってしまう。それに環境光を用いた方が、何かと現場の臨場感が出て良い。
そこで今回はストロボを使わずに撮ってみることにしたのだが、まずはいつも通りにストロボ+ソフトボックスを使って撮る事にした。
手前にキラキラの照明を置いてそれが丸暈けになるよう暈かし、モデルにはきっちりとピントを合わせる。
カメラの設定はF値1.4・シャッタースピード1/100s・ISO感度400。焦点距離は55mm。
F値1.4は手前の照明を思いっきり暈かすためと、同じく手前の照明を明るくしたかったため。シャッタースピードを背景を暗く落とすための1/250秒ではなく、1/100秒にしたのも、照明を明るく写したかったため。同じくISO感度400もこれらの設定を土台にした上で、ノイズの多い写真になるべくならないようにしながら照明は明るく写るように最後に設定した。
「夜の部屋の中で照明が灯っているのに、右側からも光が入ってきているのはおかしいじゃないか。これは何の光だ。右側の外には窓でもあるのか月明かりか。それにしては色が暖かい」という話になってくるかも知れない。俺が太陽だから問題ない。
写真というのは自由な表現が出来る。自然の光を忠実に再現して写真を撮ればそれはそれで美しいが、シーンによってはただの記録写真に堕しかねない。目の前にある物を忠実な色と光と明るさで記録する写真という枠組みに囚われがちなら、絵画の方角に目を転じてみれば良い。ちょっと近所の美術館に足を運んで一昔前の絵を鑑賞してみれば分かる。先日NHK・Eテレの日曜美術館でルソーの絵画を取り上げていたのだが、太陽が出ているのに影が伸びていない絵に焦点を当てて語られていたのを見て、ああこういう発想が大切だなと思いを新たにしたのだった。
そもそもアニメやゲームなどの二次元キャラクターの写真を撮る時は、イラストを見ると、どのようなシーンであれ大抵はキャラクターの顔は光が当たっているかの如く明るく描かれているものだ。そのような二次元キャライラストの慣習を踏まえながら、これを三次元のモデルを用いて写真で撮ろうとなると、やはりストロボによる表現が大切になってくる。
しかし一方で自然な雰囲気で撮りたいという欲もある。そこでストロボのスイッチをオフにして、キラキラと輝く照明だけを頼りに撮ってみた。シャンデリアの影がモデルに降りかかり、とても雰囲気の良い写真が撮れた。
カメラの設定はISO感度を640に変えただけ。照明をモデルに近づけて明るさを確保した。
ストロボをOnにして撮るか、Offにしてその場の照明だけで撮るか、様々な写真を導き出すために発想を柔軟にして臨機応変に試してみると良いだろう。