ソフトボックスは本当にアンブレラよりも女性を綺麗に写せるのか

初めてスタジオのソフトボックスを使って撮影した写真。
初めてスタジオのソフトボックスを使って撮影した写真。

ソフトボックスを使った撮影を始めてからというもの、ずっと気がかりなことがあった。ソフトボックスとアンブレラ、どちらが女性をより美しく照らし出してくれるだろうかということだ。

カメラマンにとって女性をより美しく撮ることは至上命題である。そのために今まで試行錯誤してきた。今にして思えばもう少し早めにライティングの本の一冊でも読んでおけば良かったんじゃないかと思ったが、買ってはみたものの、俳優や芸能人を撮っているプロカメラマンのスタジオ撮影をベースにしたライティングを紹介した本で、超がつくほどに専門的、かつ機材がハイレベルすぎて、とてもではないがアマチュアカメラマンが揃えられるライティング機材ではなかった。揃えたところで重すぎてスタジオに持って行けないだろう。

最初は壁バウンスから始まり、小型のディフューザー、アンブレラ1灯、アンブレラ2灯と来て、つい最近はソフトボックスを導入。はやくもprofotoのソフトボックスを3つ所有することとなった。次は各ソフトボックスと同じサイズの1万円~2万円はするグリッドと、レンズに取り付けるタイプのリング型のソフトボックスだろうか。一度凝り出すと沼に填まるのはレンズ沼と同じだ。

初めて小型のアンブレラを使って撮影した写真。
初めて小型のアンブレラを使って撮影した写真。

初めてソフトボックスを購入してシェアスタジオに持ち込んだ時、シェアのアマチュアカメラマンさんが、「色々ソフトボックスを使ってきたけど(と言って筆者が持参した120×90のチョーデカいソフトボックスを一瞥して)コレも使ったけど、結局最近はアンブレラが一番綺麗に撮れるんじゃないかって、一周してアンブレラに回帰しちゃって」という発言を聞くに及び、出鼻をくじかれた感じがしたのだった。

その発言がずっと頭の中に引っかかっていたこともあり、撮影が終わる度に、コスプレイヤーさんにアンブレラとソフトボックスどっちが良かった?と訊くものの、今に至るまで明確な回答を得られないでいる。

ところで筆者もコスプレを嗜んでいる。カメラマンに撮って貰ったことはこの4年間の活動の内に2回しかなく、200回程はコスプレイヤーとの撮り合いだ。筆者自身もコスプレするのでコスプレイヤーだが、どうもコスプレイヤーという名称を自分自身に冠するのに違和感がある。職業ではないし、コスプレで何らかの報酬が得られる仕事をしたことはこれまでに一度もないし、趣味の範囲で楽しんでいるだけだし、「コスプレイヤーです」と自分でネットなどで紹介する度に、何だか頭の中に違和感の雲がぽっかりと浮かんでいるような居心地の悪さを感じる。

筆者も実際にソフトボックスの前に立って、コスプレイヤーに撮影して貰った。どうもアンブレラよりも緊張感が漲る。この四角い白い長方形の箱が本当に僕の顔を綺麗に写してくれるのだろうか。大きく口を開けた白いお化けのようにも見える。何だか呑み込まれそうで威圧感がある。

四角いソフトボックスは男のガサガサでデコボコの肌を綺麗に飛ばしてくれるだろうか。丸いアンブレラの方が綺麗に飛ばしてくれるんじゃないだろうか、形状的に、などと思い悩みながら撮られていく。

ソフトボックスを立てて撮影。アンブレラよりも顔が綺麗に写るか気になるところ。
ソフトボックスを立てて撮影。アンブレラよりも顔が綺麗に写るか気になるところ。

やっぱり分からない。影は付きやすいし、構造的にシートが二重に張られていて、光が一度ソフトボックスの中でバウンスされ、銀色の幕に跳ね返り、一番手前の白のシートを通してストロボ光が外に出て行く。という構造だと見た目的に思う。だから光はアンブレラよりも柔らかいはずだ。問題は肌がアンブレラよりも本当に柔らかく写るかどうか。一周巡ってアンブレラに戻ったと言っていたアマチュアカメラマンの言葉が、やはりいつまでも引っかかる。

最近は荷物が重いので撮り合いから遠ざかっていてもっぱら撮影専門だが、またコスプレを再開した暁には自分自身を被写体にして、ソフトボックスの効果を試してみたいと思う。