念願の焦点距離800mmで五月山から大阪の夜景を撮影! – Canon EF400mm F5.6L USM + EXTENDER 2x Ⅲの描写力

池田市五月山から800mmの焦点距離であべのハルカスを撮影。
池田市五月山から800mmの焦点距離であべのハルカスを撮影。

池田市五月山に猪名川花火大会を撮るついでに、風景や夜景を撮影してきた。五月山に登るのは今回で3度目。猪名川花火大会は大阪府池田市と兵庫県川西市が合同で開催している花火大会で、横には拡がらないが縦には派手に打ち上がる花火なので、距離を取って山から撮ると余り絵になりづらいかなという懸念はあったが、今年は縦構図で撮影して良い写真が撮れた。

例年よりも人は少なめだっただろうか。猪名川花火大会はどちらかというと同じ五月山でも東の「日の丸展望台」付近で撮るよりも、西の「秀望台」で撮影した方が、マタ閲覧した方が近くて迫力があるせいか、日の丸展望台下の広場は余り人気がない。しかし夜景を見渡すなら、東は神戸や宝塚、南は大阪南港や遠くあべのハルカスのビルまで見渡せる日の丸展望台の方が良い。秀望台の方は行ったことがないのだが、写真を検索してみると、電柱が邪魔をしている感じなので、綺麗にライトアップされた橋と神戸宝塚方面を見るなら良いが、やはり夜景を見るなら日の丸展望台の方がよさげだ。

日の丸展望台は緑色だが、そこまで登らなくても、手前の脇道から広場のような場所に出ることが出来る。そこからなら壮大な景色が見渡せる。

着いたのは昼の2時半くらい。1人しかいなかった。やがて日が暮れるに従ってカメラマンや一般の花火観覧者が増えてきたが、それほど多くはない。まぁ下で見た方が迫力のある花火だからだろう。

ではなぜ山を登ったのかというと、400mmの超望遠レンズを購入したので、焦点距離が2倍になるEXTENDERを着けて夜景を撮ってみたかったのだ。遠くにあるあべのハルカスを。

後は焦点距離800mmにして、飛行機を撮りたかったというのもある。大阪国際空港(伊丹空港)に降り立つ飛行機が大阪のビジネスビル群を背後にやってくるところが撮りたかったし、空港から飛び立つ飛行機もビル群を背景にして撮りたかった。

飛行機自体にはそれほど興味はない。機種については全く知らない。しかし撮りたい。旅客機ではなく軍用機なら機種について勉強したくなるかも知れない。

山登り自体は簡単だ。阪急池田駅からバスで10分ほどの五月丘で降り、歩いて大体15〜20分ほどで「日の丸展望台下」に着く。ただし山道は整備された階段なので、のんびり行かないと結構きつい。わずか20分ほどの距離を、2、3回ほど休憩を挟んで登った。

初めて来た時は呼吸困難になり心臓がバクバクしたが、3回目の今回は無理せず休みを入れて登った。なんだか着いた時は「もう?」という感じで呆気なかった。

花火の写真はまた別の機会に上げるとして、今回はCanon EF400mm F5.6L USMとEXTENDER 2x Ⅲの描写力に焦点を絞って、数枚の作例を上げながら書き連ねていきたいと思う。

超望遠レンズにエクステンダーを着けて飛行機を撮影

昼間にCanon EF400mm F5.6L USMを使って大阪の街並みを撮影していたのだが、どうも拡大してみると、夏の熱気が湧き上がっているためか、滲んだ描写になった。空気の層が描写の邪魔をするのだろうか。

熱気のせいかもやっとした描写。
熱気のせいかもやっとした描写。
400mm | F11 | 1/1250s | ISO800
400mm | F11 | 1/1250s | ISO800

さっそくCanon EF400mm F5.6L USMにEXTENDER 2x Ⅲを着けて飛行機を撮影してみたが、熱気のせいか滲んだ描写になる。それとも焦点距離が2倍になるエクステンダーを着けるとやっぱり描写力が落ちるのかなぁと訝ってみたのだが、何のことはない、ピントが合っていなかっただけだった。

800mm | F11 | 1/640s | ISO400
800mm | F11 | 1/640s | ISO400

Canon EF400mm F5.6L USMにEXTENDER 2x Ⅲを着けると、設定できるF値がF11からになる。それに伴いAFも効かなくなり、マニュアルフォーカスのみになるのだ。だからピント合わせが結構大変。安いレンズの弊害がここにある。価格は15万円で通常の感覚だと決して安いとは言えないが、開放F値の小さい400mm以上の超望遠レンズは100万円とか120万円とかがザラなので、それに比べるとどうしても安いレンズだと感じてしまう。

また超望遠レンズは手ブレしやすい。広角に比べると手ブレしやすいので、シャッタースピードを1/800秒に設定する必要がある。日中でもここまで速いシャッタースピードに設定すると、F11まで絞った場合は、明るさを確保するためにISO感度を400や800に設定する必要がある。

400mmの時は開放F値の5.6で撮っても良いのだが、絞った方が解像力が引き出せるというので、F11というフルサイズ機において回折現象の影響が写真に出るか出ないかのギリギリの設定にして撮りたくなるものであり、事実そのようにして撮っていった。

そういえばエクステンダーで800mmにしている時も、1/640秒や1/800秒のシャッタースピードで撮っていったが手ブレはなかった。通常のセオリーならもっと速くする、例えば1/1200秒や1/1600秒にする必要があるように思われるが、エクステンダー装着で焦点距離800mmにするのと、800mmの超望遠レンズを使うのとでは勝手が違うのかも知れない。その辺りのメカニズムについては門外漢なので、また書籍などで解明すれば追記していきたい。

手ブレが気になるなら三脚に着けて撮れば良いのかも知れないが、動く飛行機を三脚を着けて撮るのは非常に面倒くさい。飛行機の離発着のコースは同じなのだからフレームを固定しても問題ないじゃないかとも思われるかも知れないが、いろんな箇所を飛んでいるシーンを撮りたいからやはり利便性が悪い。

飛行機と街並みとのコラボレーション

街並みを背景に飛行機を超望遠レンズで撮ってみてどうだったか。背景にオリンピック招致の一環で大阪市が海外の芸術家に依頼して作った王宮みたいな風変わりなゴミ処理場が写っているのが良いのではないか。

800mm | F13 | 1/800s | ISO400
800mm | F13 | 1/800s | ISO400

オリンピック競技とは関係のない無駄なものに税金を注ぎ込んで、逆にIOCから資金面での懸念があるとかで落選してしまい、税金の無駄使いなどと揶揄されたが(オリンピック招致が目的なら市のやっていることは頓珍漢で方向性を間違えたオモテナシ精神で典型的なお役所仕事風の税金の無駄遣いだと思うが)、このようにして飛行機写真の背景として役立ってくれているし、現地の建物もなかなか面白いらしいので建築マニアとしては一度写真を撮りに行きたいスポットではある。

F値が13になっているのはケアレスミスだろう。ダイヤルをパパッと変えるので違うところに触れて1ダイヤル分少し絞ってしまった。

400mm | F11 | 1/800s | ISO400
400mm | F11 | 1/800s | ISO400
400mm | F8 | 1/800s | ISO160
400mm | F8 | 1/800s | ISO160

F8で撮影した飛行機写真の方が描写が綺麗だろうか。F11だと絞りすぎなのか、ISO感度を少し上げているからノイズ処理で描写が潰れるのか。

Otus1.4/55も持ってきていたので、昼間の大阪市街の風景を撮影してみた。この日は遠くに山が見えたから空気が澄んでいたのだろうか。前に撮った時はどうだっただろう。前回の五月山の山登りと花火撮影の記事も一年ほど前に書いてストックしているのだが、面倒くさくて放置してしまっていた。機会があれば掲載したい。

55mm | F8 | 1/320s | ISO100
55mm | F8 | 1/320s | ISO100

この日持参したカメラ・レンズ・三脚

猪名川花火大会の花火が去年は街のどこら辺から上がっただろうかという事が話題になり、ブログに書いてなかったっけなと、自分のブログの検索欄から検索してみたが、1つもヒットしなかった。そういえば載せていなかったのだと思いだし、やはりブログはきちんと早め早めに更新しておくべきだなこういう場合に備えてと自戒した。代わりにTwitterに載せていたのを思い出してメディア欄の過去をザーーット遡りようやく見つけて自分で保存した。

山に登るわけだし、余り荷物は重くしたくない。機材はCanon 5DsR、ZEISS Otus1.4/55、Canon EF400mm F5.6L USM、Canon EF200mm F2.8L Ⅱ USMの4個と、ジッツォの軽いトラベラー三脚。しかし三脚に関しては重たい方が安定感があって良いらしい。現場でもそんな会話を交わしているカメラマン達がいた。

今回は超望遠でアップで撮りたいのと同時に広々と夜景を撮りたかったから、Otusの55mmの方を選んだ。85mmで撮ればそれはそれで印象深い写真が撮れるが、今回で三回目で両レンズで何枚も撮っている。それにOtusシリーズは重量が確か1kgを超えて重いのでどちらか1つに絞りたい。コスプレ撮影の時はこの超弩級レンズを両方持って行っているのだから我ながら感心する。Canonの純正レンズならもっと荷物軽く出来るかなとも思うのだが、どちらにしてもライティング機材も重いので、重さと重さが溶け合って重みがないみたいな事になっているのかも知れない。いつも撮っている女の子に何かの冗談で肩を揉まれた時に、何これむちゃくちゃ硬いなと驚かれて、自分の肩こり具合に気づいたほどに体への負担に無自覚だった。

この日はそれら機材を登山用のリュックサックにすべて詰め込み、登山用のトレッキングシューズに登山靴用の分厚い靴下を履いていたので、足取りは軽やかだった。

Canon EF400mm F5.6L USM + EXTENDER 2x Ⅲの描写力を等倍で確認

さて長々と話していても仕方がないので、本題のCanon EF400mm F5.6L USMにEXTENDER 2x Ⅲをつけた時の描写力について見ていこう。

800mm | F11 | 1/800s | ISO400
800mm | F11 | 1/800s | ISO400

作例はダイエー。戦後に中内功が「主婦の店」という名称を掲げて興し、日本の高度経済成長と共に拡大を続けて全国に数百店の店舗を構えるようになったが、バブル崩壊の後に業績が悪化し、イオングループの子会社となることになったスーパーだ。子供の頃はよく自転車で少し離れたダイエーに遊びに行っていたので、思い入れの深いスーパーでもある。何でもあった。食料品、衣料品だけでなく、ファミコンやディスクシステムの大きな書き換え機械。良いものをより安く。松下・ダイエー戦争。やがて「ダイエーには何でもあるが、買いたい物は何もない」などと揶揄されるに至る。大量消費社会からリサイクル社会へ。量から質へ。「モーレツ」から「ビューティフル」へ。1970年から80年における近代化の完了で豊かさを得た消費者の動向が掴めず、更にはバブル経済と後の崩壊による長い不況を経て、小売業界の王者ダイエーは凋落してしまう。まるで日本国民そのものを体現しているかのように。調べてみると高度経済成長期の庶民の生活と直結する事象がたくさん出てくる。今でこそメーカーの商品が割引価格で販売されているのは当たり前だが、当時はメーカー側に価格を縛られていたそうで、ダイエーが値引きをメーカー側に認めさせて流通革命を起こした。今でこそイオンの子会社となり屋号がなくなるいや存続すると二転三転しているダイエーだが、ダイエーなくして今の日本は有り得ないと言っても過言ではないのではないだろうか。

そのダイエー。かつてあったオレンジの円にその下の部分を斜めにカットしたお月様を彷彿とさせるやや尖ったイメージのあるロゴマークは、写真にあるような丸みのある柔らかい草花のような形に変わってしまった。いかにも若い主婦世代に受けそうな今風のロゴマークだ。等倍で見てみよう。

ダイエーのロゴマーク

エクステンダーを着けているにしては綺麗に描写している。どこか安っぽさがないでもないが、おそらく空気の層がそういう風に見えさせているのではないだろうか。垂れ幕の文字もしっかりと視認できる。

ダイエーの建物

DPPのデジタルレンズオプティマイザを適用させてみた。適用量は50%。シャキッとした描写になる。左がOn・右がOff。

ダイエーの建物

エクステンダーを着けた800mmの焦点距離の夜景

800mm | F8 | 30s | ISO100
800mm | F8 | 30s | ISO100

さて夜景の800mm。これがなかなかに迫力がある。前回撮影した200mmに今回と同じエクステンダーを着けた400mmで撮った写真を800mm相当になるようにトリミングしたら?と思われるかも知れないが、それだと迫力が欠けてしまうしiMacの5K Retinaディスプレイで鑑賞する際には画素数が足りなくなるかも知れない。実際に2つの写真を比較してみないことには実感は分からないが、迫力があるので加工した写真をそのままiMacの壁紙に設定した。

昼間の滲んだもやっとした描写はどこに行ったの?というくらいシャープな写りだが、暗いから靄や滲みが目立たないのだろうか。

こちらは上に掲載の写真を暗めに加工した写真。光の靄を取り除いた形でよりシャープさが際立つ。

池田市五月山から800mmの焦点距離であべのハルカスを撮影。

ちなみに55mmのレンズで撮影した同じ夜景はこちら。800mmにするとこんなにも大きく写せるのかと驚く。

55mm | F8 | 30s | ISO100
55mm | F8 | 30s | ISO100

400mmの超望遠レンズを用いて長秒露光で撮る際は、三脚を使っていてもブレやすい。三脚座に三脚を取り付けるのは必須として、なるべく振動を立てないようにさらなる慎重さを要する。実際初めの方はブレてしまった。リモートスイッチをぶらぶらさせない。息を潜めて長秒露光で撮影した。

三脚は先ほども述べたようにジッツォのトラベラーを使った。しかし超望遠レンズで長秒露光で撮影していると、システマティックのような大きいがっしりとした三脚も欲しくなってくる。

結果としては満足行く写真が撮れた。Canon EF400mm F5.6L USMは超望遠レンズの中では15万円と安い方の部類に入るが、描写力は申し分ない。超望遠レンズは筆者の撮影活動では余り持ち出すことがないレンズなので、100万円するレンズを購入するよりも、イメージスタビライザー(手ぶれ防止機能)は着いていないが描写力が十分なこのレンズでコストパフォーマンスを得られたと結論する。