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ニコンがフルサイズミラーレスZ7とZ6を発表! – キヤノンの一眼レフユーザーから見たニコン新製品の印象と今後の予想、スペック比較

ニコンから待望のフルサイズミラーレスが登場!
ニコンから待望のフルサイズミラーレスが登場!

ニコンからフルサイズミラーレスカメラ、Z7とZ6が発表された。ニコン創設100周年という記念碑的タイミングで、フルサイズミラーレスカメラを投入、プレ動画や特設サイトの力の入れようも半端ない。

発表が8月23日だったが、その翌日金曜日のニコンの株価は、日経平均株価が前日比+190円95銭と値上がりする中で、終値で前日比−56円(−2.68%)の2030円と、大きく値下がりしている。7月に入ってから、恐らくフルサイズミラーレス発表に対する期待感からか上昇していたので、相場の格言に従うと「噂で買って事実で売れ」「出たら仕舞い」で売られた可能性もある。

一部ではマウントを変更したために、今までのニッコールのレンズ資産が3万円程度のマウントアダプタを購入しないと使えないという懸念ではないかとの声もある。今までのレンズを使うのにマウントをいちいち取り付けないといけないという面倒さと、小型軽量が売りのミラーレスなのにマウントの分だけ重くなるのだろうかという懸念もある一方で、マウントを内径55mmと大きくしたことで(Zマウント)、より光を取り込める明るいレンズ(ニッコール Zレンズ)を開発できるというメリットもある。ニコンのZ7・Z6特設サイトでも、「光」を強調していた。この大きな舵切りがNikonにとって吉と出るか凶と出るか注目されている。

フルサイズミラーレスZ スペシャルコンテンツ(Nikon)

大口径Zマウントへの移行に伴い新マウントに対応したレンズもたくさんラインナップされる中で、NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noctなるレンズも開発中とのことで、どのような描写を紡いでくれるのか気になるところだ。F0.95、夢のある話だ。

「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」「NIKKOR Z 35mm f/1.8 S」「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S」「マウントアダプター FTZ」を発売および「NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct」を開発(Nikon)

Canonユーザーとしてニコンのこの動きをどう感じたか、率直に書き記していきたい。

ミラーレス化が進むカメラ業界

一眼レフデジカメの売り上げが緩やかな右肩下がりの傾向にある中で、小型軽量のミラーレス一眼は売り上げを伸ばしている。ややもすると鉄の塊のような形の一眼レフと比べると、ミラーレス一眼のスリムなフォルムはかつてカメラ業界の売り上げを牽引したコンパクトデジタルカメラに似通っており、軽くて手軽に持ち歩ける点などがユーザーに好評のようだ。あとはイメージ戦略もあるだろう。

ミラーレス一眼は高性能と話題性からソニーの一人勝ちの様相を呈していたが、ここへ来てニコンがソニーの向こうを張る形で高級機の分野でフルサイズミラーレスに参入したことで、Canonの今後の出方が注目される。

このような動向を踏まえると、Canonも遅かれ早かれフルサイズミラーレスに戦略の重点を置き換えざるを得ないだろう。一眼レフデジカメは、フィルムカメラが消えていったように、近い将来には過去の遺物になるのではないだろうか。

ミラーレスカメラのメリット

ミラーレスカメラのメリットを上げると、

  • 小型軽量。
  • AFでピントが合いやすい。
  • 画面の隅々までAFでピントを合わせられる。

ミラーレスカメラのデメリット

ただしデメリットもある。小型軽量なので、大きいレンズを着けた時にはバランスが悪くて持ちづらい。また重いレンズを着けたらマウントが壊れたという話も直に聞いたし、三脚を取り付けるネジの部分が壊れたという写真もTwitterに流れてきた。つまりカメラが小さいと部品も小さくなるのか堅牢性の部分に懸念がある。

3年ほど前ヨドバシカメラでカメラを見ていたら、女性客が店員に対して「ミラーレスカメラでスポーツ撮影をすると話にならない」と訴えているのが聞こえてきた。連写性能が悪いのか、それともAFが合いづらいのかは分からないが、スポーツ撮影の面においても、昨今のミラーレス一眼の広告文句を見る限りでは克服できたようだ。

最大のデメリットは、センサーにゴミが付着しやすい点だろう。これはミラーレス一眼を使っている有名なカメラマンやカメラライター達のツイートでよく聞かれる難点だ。一眼レフデジカメでもレンズ交換を繰り返していく内に結構ゴミが付着して絞って撮影してカリカリに加工するとたくさんの丸い物体がシミのように写真に浮き上がってくるのに、ミラーレスだとセンサーがむき出しのせいでゴミが付きやすいという。人物撮影の場合は、開放F値付近で撮ることが多いので、センサーに付いたゴミが目立つことはあまりないが、風景写真を撮っていると、F11迄絞り込むことがザラなので、ゴミが目立ちやすい。更に最近流行のHDR風加工を施したり、Lightroomのかすみ除去機能、それと同等機能のDxO PhotoLabのDxO Clear Viewを使うと丸くて黒いゴミが浮き上がってくるので、センサーの付いたゴミは風景写真家にとっては死活問題だ。

ブロアーなどで吹き飛ばせればいいのだが、ブロアーでも吹き飛ばせないゴミもある。大きめのゴミは結構簡単にブロアーで吹き飛ばせるのだが、中小の大きさのゴミはいくらブロアーを使って吹き飛ばそうとしてもこびりついて離れない。ほんのちょっと移動するだけだったり、全く微動だにしなかったり。特に微少なゴミはブロアーでは取れない。このような場合はメーカーのサービスセンターに送ってセンサーの清掃を依頼するか、自分で清掃キットを使ってセンサーを清掃するしかないが、後者はセンサーを傷つけて高い修理費を払う羽目になる恐れもあり、結局前者を選ぶことになる。Canonの場合はあんしんメンテスタンダードというサービスが用意されているが、これが3,240円で、サービスセンターへの持ち込みではなくらくらく修理便という引き取りサービスを利用すると、更に送料が1,620円かかってしまう。キヤノンフォトサークルに加入すれば、サービス料は20%割引がきくが、センサーにゴミの付きやすいミラーレス一眼では、頻繁に清掃しなければならないようなイメージがあり、出費が嵩むことが容易に想像できる。

またバッテリーの持ちの問題もある。一眼レフデジカメと比べると、バッテリーの持ちが悪い。Canon 5DsRでライブビューモードで撮影していると、1日でも最低2個はバッテリーが必要と感じる為、今現在4個バッテリーを所有して5DsRで撮影時には3,4個持っていっているが、ミラーレス一眼も同じようにバッテリーを購入する必要がありそうだ。

これらを踏まえてミラーレス一眼の大きな懸念としては

  • 堅牢性
  • センサーに付きやすいゴミ
  • バッテリーの持ち

の3点だろう。この3点が克服されるならば、筆者としては高価なフルサイズミラーレスに心置きなく乗り換える事が出来る。ライバルのニコンがフルサイズミラーレスを市場に投入したことで、2020年のオリンピックイヤーにCanonがどのような新製品を投入してくるのか興味深い。

キヤノンのミラーレス化の動向は?

今現在キヤノンからはフルサイズのミラーレス一眼は発売されていない。しかし市場の売り上げの動向から見るとミラーレスは勢いがあるので、レンズ交換式カメラにおける一眼レフの衰退とミラーレス化は、デジタルカメラが登場してかつてのフィルムカメラが辿った道と同じように避けられないように思われる。今はまさに変革期の真っ只中なのだろう。ミラーレス一眼と比較した場合の、一眼レフデジカメのメリットを考えると堅牢性とバッテリーの持ちの良さの他には余り見当たらない。

キヤノンあ2020年には一眼レフデジカメのフラッグシップ機とフルサイズミラーレスの両方を投入するのだろうか。ミラーレスはミラーがないために連写性能も優れているという。となると今回のニコンのフルサイズミラーレスZ6のような形のミラーレス一眼が、Canon 1DX系のフラッグシップ機と同時に投入されれば、一眼レフデジカメでフラッグシップ機を選ぶ理由は見当たらなくなってしまう。まさに共食い状態になってしまう。

カメラのスペックをどの機種と比較しようか迷ったが、今回はCanonユーザーの視点から見たニコンのフルサイズミラーレスなので、長年のライバルであるCanonのフラッグシップ機と高画素機で比較してみた。一眼レフデジカメと、ミラーレス一眼の比較も兼ねている。Nikonのフルサイズミラーレスが主眼の記事ではあるが、過去の記事のテーブルをコピペして自己引用して手間を省いている都合上、キヤノン機が左に来る点はご容赦願いたい。

Canon 1D X MarkⅡ vs Nikon Z6 スペック比較表

Canon 1D X MarkⅡとNikon Z6の性能比較
Canon 1D X MarkⅡ Nikon Z6
外観 EOS-1D X MarkⅡ nikon z6
有効画素数 2020万画素 2450万画素
画像エンジン DIGIC6+ EXPEED 6
測光 約36万画素RGB+IR測光センサー
連続撮影速度 約14コマ/秒(最高16コマ/秒) 約12コマ/秒
常用ISO感度 100~51200(拡張:最小50・最大409600) 100~51200(拡張:最小50・最大204800)
フォーカスポイント 61 273
記録画素数 5472×3648ピクセル 6048×4024ピクセル
モニター 3.2型TFT液晶モニター・約162万ドット 3.2型TFT液晶モニター・約210万ドット
タッチパネル
動画記録方式 4096×2160(4K):59.94p
1920×1080(Full HD):119.9p
3840×2160(4K UHD):30p
1920×1080:120p
1920×1080スロー:30p(4倍)
映像記録/圧縮方式 Motion JPEG
ALL-I(編集用/I-only),
IPB(標準),
IPB(軽量)
H.264/MPEG-4 AVC
カメラ内ブレ防止機能 ×
フリッカーレス
GPS機能
Wi-Fi
Bluetooth
記録媒体 CFastカード/コンパクトフラッシュカード XQDカード
寸法 約158×167.6×82.6mm 約134×100.5×67.5mm
重量 1530g(CIPAガイドラインによる) 675g(バッテリー・メモリカード含む)
シャッター耐久 40万ショット以上 20万ショット以上

裏面照射型CMOSを採用!

ソニーのミラーレス一眼と同じく、Z6網羅面照射型CMOSを採用している。ソニーの場合は高感度撮影におけるノイズが少ないという事だったが、Nikonも同様に、高感度撮影における解像感の維持を前面に押し出している。裏面照射型CMOSはキヤノンのフルサイズミラーレスでも採用されるのだろうか気になるところだ。

カメラボディ側で約5段分の手ブレ防止機能!

素晴らしい。カメラ側で手ぶれ防止性能があるというのは、非常に素晴らしい。手ぶれ防止機能の付いたレンズは、ないレンズよりも割高になるし、やはり屋内の例えば三脚が禁止されている寺院や大聖堂の中で撮るというような暗いシーンで手ブレ防止が着いていると、手持ち撮影の際はとても重宝する。夜間は三脚が禁止されている平等院鳳凰堂のライトアップも手持ちで、しかも裏面照射型CMOSの合わせ技でISO感度を上げても解像感豊かな明るい写真が撮れるのではないだろうか。

20種類のピクチャークリエイティブコントロール

恐らくキヤノンでいうところのピクチャースタイルを拡張させた機能だろうが、初めから20種類も用意されているのが楽でいい。特にコスプレ撮影をしているとカメラ側で細かくクリエイティブに色味を変えられる機能は重宝する。これをキヤノンのピクチャースタイルやホワイトバランス、ホワイトバランス微調整でカメラで設定しようとすると時間がかかるしややこしいし、大胆な色味変更はうまくいかないことが多いので、20種類もプリセットが用意されていると現場で色味を冷たい場合などは助かる。同じ理由から独特の色味ある動画を撮影したい場合にも重宝しそうだ。

連写性能は最大12コマ

Canon 1DX mark2と比べるとやや見劣りするが、1DXならほぼ同じ性能なので、プロ仕様のフラッグシップ機と向こうを張っている。連写に関するカタログスペック解説がややこしいので実態がよく分からないがとりあえず記しておく。

ISO感度

ISO感度は同じ。拡張ISO感度はCanon 1DX mark2の半分だが、恐らく普段の撮影でそこまで感度を上げて撮影することはまずないし、使ったところでノイズがたくさん出て実用に耐えうるかどうか。拡張ISO感度は学術研究用の写真で使うのだろうか。

重量はやはり軽い

Canonのフラッグシップ機と比べて半分以上軽い。長時間撮影での手の負担が軽減されそうだし、遠出での撮影の荷物の重さも減らせそうだ。

シャッター耐久

Z6は20万ショット以上のテストをクリアしているという。Canonのフラッグシップ機40万ショットと比べると約半分、やや見劣りする。5D系だと耐用シャッター数が15万ショット以上なので、それよりは多い。風景写真や人物写真なら長く使えそうだが、スポーツなどの連写を多用するカメラとしてはやや少なめか。耐用シャッター数を超えた際のオーバーホールの値段が気になる。

堅牢性・防塵防滴機能

マグネシウム合金を使用した高い堅牢性・防塵防滴機能をサイトでは誇っているが、重くて大きいレンズを装着した際にマウントが本当に大丈夫なのかが気になるところだ。

Nikon Z7 vs Canon 5DsR スペック比較表

Nikon Z7とCanon 5DsRの性能比較
Nikon Z7 Canon 5DsR
外観 nikon z7 5DsR
有効画素数 約4575万画素 約5060万画素
画像エンジン EXPEED 6 DIGIC6
ローパスフィルター キャンセル
フォーカスポイント 493点 61点
F8対応測距点 中央1点とその上下左右4点
測光 15万画素RGB+IR測光センサー
連続撮影速度 約9コマ/秒 約5コマ/秒
常用ISO感度 64~25600(拡張:最小32・最大102400) 100~6400(拡張:最小50・最大12800)
記録画素数 8256×5504ピクセル 8688×5792ピクセル
モニター 3.2型TFT液晶モニター・約210万ドット 3.2型TFT液晶モニター・約104万ドット
タッチパネル ×
4K動画 ×
カメラ内ブレ防止機能 ×
フリッカーレス
GPS機能
Wi-Fi
Bluetooth
記録媒体 XQDカード コンパクトフラッシュカード/SDカード
寸法 約134×100.5×67.5mm 約152×116.4×76.4mm
重量 約675g 約930g
シャッター耐久 20万ショット 15万ショット

Z6とZ7の違いと、Canon 5DsRとの比較

Z7はZ6と比べると画素数が多い機種となっている。スポーツなどの動き物よりも風景写真専門で撮影するユーザーに最適な仕様だろう。オートフォーカスポイントがZ6の273点に対して、Z7が493点ととても多くなっている。連写性能は約9コマ/1秒とZ6と比べるとやや劣るが、画素数が多く、超高画素機の5,060万画素Canonの5DsRに匹敵し、さらに連写性能では上回っているので、超高画素機ながら連写も優れている。ミラーレスの成せるワザか。

重量はCanon 5DsRと比べて約255g程軽い。このグラム数が実際にどれくらい実感として違いが出るか。

Z7とZ6の価格

カメラのキタムラでは2018年8月26日時点で、Z7が¥393,660 (税込)、Z6が¥245,430(税込)で予約受付している。フラッグシップ機が60万円台なのを考慮に入れると、連写性能に優れて性能的にほぼ同等のZ6が25万円以内で購入できるというのは、やはり一眼レフデジカメのフラッグシップを脅かす存在ではないだろうか。スポーツ撮影では必須の超望遠レンズを着けた際のバランスの悪さとマウントの堅牢性については気になるところではあるが。

超高画素のZ7は約40万円。Canon 5DsRが発売当初が約50万円、カメラのキタムラでの現時点での価格が46万円、同じく5Dmark4が今現在約32万円と考えると、性能面でちょうど中間の位置にあるZ7の価格は新製品ながら適正と言える。

総論

画素数もAF性能も動画機能も申し分ない。もしNikonのフルサイズミラーレスと同じカメラかそれ以上の性能が2年後にCanonから出たら、買い換え時期と重なるので購入する可能性が高い。ただCanonは裏面照射型CMOSやカメラ内ブレ補正機能を搭載するだろうかという疑問がある。また現行のフラッグシップ機と比べると、連写性能やシャッター耐用数の面でやや見劣りする。また一眼レフデジカメと並行して投入する可能性もあるので、どちらを買うか性能面の差から迷うことになるかも知れない。

カメラは軽くて小さいことに越したことはないが、別に今現在の一眼レフデジカメの大きさでも極端に不便というわけではないし、重さの面に関しても持ち運びはまぁ耐えようと思えば耐えられる。余りカメラが小さいと大きいレンズを使う時にバランスが悪くて逆に腕に負担がかかって疲れやすかったり、今まで見てきたようにマウントが壊れるという恐れもある。2020年にCanonから新製品が発売された際には、性能面を見極めてその1,2年後に買い換えるかもしれない。それまでカメラの趣味を続けていればの話だけれど。