綺麗なボケ(Bokeh)とは何か

Canon EF400mm F5.6 L USMの開放での光のボケ方。
Canon EF400mm F5.6 L USMの開放での光のボケ方。

「このレンズはボケが綺麗」という話をどこかで聞いた覚えがある。画質が綺麗というのならわかるが、ボケが綺麗というのはどういうことかと常々疑問を抱いていた。筆者はコンパクトデジカメからいきなりフルサイズに移行し、購入して来たレンズもほとんどキヤノンのLレンズばかりで、安いキットレンズなどは使ったことがないから、ボケには綺麗と汚いがあるのだろうかと。

しかし使ったことのないレンズのことなんてわからない。かといってわざわざ使わないレンズを価格コムで調べて作例を漁る気にもなれない。安いレンズはボケが汚いのか?あるいは開放F値がボケの綺麗汚いの基準を決めるのかもしれない。よくボケるレンズの方が、人の見た目には綺麗なボケに映るのかもしれない。個人差も影響していそうだ。

Canon EF400mm F5.6 L USM
Canon EF400mm F5.6 L USM

この度Canon EF400mm F5.6 L USMを購入して、なんとなくだけれど、綺麗なボケとあまり綺麗じゃないボケの差を体感したような気がした。気がしたというのは、このレンズとOtus1.4/85で撮影したポートレート写真を比べて見て、やはり400mmF5.6の開放よりも、85mmF1.4の開放で撮影した写真の方が紅葉や地面が大きくボケて、ボケ方が綺麗だと思ったからだが、一方で別のシーンでは、400mmの開放で撮った写真が、背景の秋の木々を素敵な丸ボケに変化させてキラキラと被写体を縁取っているのでこれも綺麗だなと、評価が右往左往したからだ。

後ろの木々の葉が圧縮効果とともにボケている。
後ろの木々の葉が圧縮効果とともにボケている。

さて、ボケ方の話でいうと、似たような価格帯の200mmの望遠レンズがある。こちらも開放で撮るとよくボケる。では200mmのレンズと400mmのレンズで撮った写真、どちらのボケ方が綺麗だろうか。ボケの形にどのような違いがあるだろうか。これも同じ場所で実験してみれば早いのだが、人物写真の場合は二つの似たような望遠レンズを持っていくと他のレンズを外さなければならないので、なかなか踏み出せない。葉っぱだけをぼかして見て実験してみるのもいいかもしれない。

Focal length 400mm | F5.6 | 1/640ss | ISO100
Focal length 400mm | F5.6 | 1/640ss | ISO100

400mmのレンズの方は、超望遠レンズにしてはコンパクトとはいえ、カメラバッグの場所を取る。また開放F値が5.6と暗めのレンズでしかも望遠なので、まずは手振れ防止のためにシャッタースピードを1/600秒に設定しなければならず、ポートレートに必要な明るさを得ようと思ったら、ISO感度を1600まで上げる必要があった。つまりポートレート撮影にはやや使いづらい面がある。200mmのレンズとそう変わらないのであれば、200mmを選択したいところだが、ボケ方や圧縮効果などの面で劇的な違いが感じられるのなら、つまり被写体から距離を大きく取った撮影で素晴らしい効果が得られるなら、400mmを人物撮影にも積極的に持ち出したいところだ。一方で被写体を人物として普通の公園で撮影する場合、圧縮効果の度合いの変化に限界(到達点)はあるのだろうか。もし限界があるのなら、わざわざ超望遠レンズを持ち出さなくても、200mmの望遠でいいのではないかという思いがある。

明日早速、同じモデルでいつも撮っている場所で検証してみようと思う。