Canon EF85mm F1.2L Ⅱ USMは、F1.2が示すとおり、他のメーカーのレンズでは見られない極めて浅い被写界深度で写真を撮ることが出来る唯一のレンズだ。
かつてキヤノンにはCanon EF50mm F1.0L USMというレンズが存在した。巷ではその希少性から中古で100万円の値がついたこともあるレンズだが、今現在は残念ながら販売されていない。おそらく現行販売で手に入れることの出来る、そして限りなく大きく暈かすことの出来るレンズは、Canon EF85mm F1.2L Ⅱ USMのみだろう。
F値ではEF50mm F1.0L USMには負けるが、85mmという焦点距離を考えると、EF50mm F1.0L USMと同程度のボケが期待できる。最近はコントラストが強くてメリハリのあるOtus1.4/85の方を頻繁に持ち出しているので、すっかり出番がなくなってしまったが、時々F1.2のボケを味わいたくて、持ち出すことがある。
さてどうやればキラキラに撮れるかは前回の記事で紹介した。やはりF1.2を持ち出した時は、背景に緑を持ってきて、キラキラに暈かしたいものだ。
思いの外キラキラになった。オマケに幻想的な渦も巻いている。渦巻きといえば、オールドレンズを特集した雑誌で、鏡筒が金色に輝くNew Petzval 85 Art Lensで撮影した渦巻き状にボケた写真が面白くて購入しようかと心が傾きかけていたが、Canon EF85mm F1.2L Ⅱ USMでも似たような写真が撮れる事に感心した。
初めてこのレンズで渾身の一枚を撮れたのは、太秦映画村だったか。7月7日の暑い夏の盛りのことだ。前日に海で無防備に撮影していて大いに日焼けしてしまい、肌のヒリヒリする痛みを堪えながら撮影していたのを今でも覚えている。
思い出深いレンズで、最近はOtusに出番を撮られて持ち出す機会が少なくなったが、緑の多い場所では積極的に使い込みたいレンズだ。