六甲アイランド リバーモール -まほろば探訪 第11回

淡い光を放つ筺がいつの間にか置かれていた。
淡い光を放つ筺がいつの間にか置かれていた。

リバーモールの入り口に設置された石碑に1991年竣工とあるから、六甲アイランドの歴史は、もうかれこれ25年になるのだろうか。人がこの神戸の南に位置する人工島に移り住んでから数年程して阪神大震災が起こり、連日テレビで六甲アイランドの液状化現象が報道されたのを今でも記憶している。

更に西にあるポートアイランドと比べると比較的新しい人工島のためか、中心部にはオシャレな体裁のマンションやショッピングビルが立ち並び、外資系企業も高層ビルに入っているので、外国人も多い。美術館が3つあり、文化的な人工島でもある。

6駅しかない六甲ライナーから景色を眺めると、コンテナ倉庫が見えたりもする。どちらにしても海は埋め立てられ、砂浜と呼べるものはない魚崎の沖なので、島の縁は工業地区の様相を呈している。

リバーモールには食事用のテーブルや椅子がたくさん置かれている。何組かの家族連れがのんびりと座り、程なくしてすぐ側にあるインド料理のインド人が料理を運んできて、テーブルの上に置く。コスプレイベントがゆるゆると開催されている中で、家族連れ達は料理に舌鼓を打っている。

夕方頃から人がちらほらとやってきて、テーブルの上に持参した弁当を広げ始めた。夜景100選に選ばれたのだったか、夜になると人工島の中心部であるリバーモールは厳かにライトアップされる。昼間には気づかなかった池沿いの立方体の筺が淡い光を放ち、通行人の目を楽しませる。耳慣れない言葉を話す外国人の集団がハグと挨拶のキスを交わす。二人連れの女の子達は、お菓子を持ち出し合ってお喋りに興じている。

夜の帷がおり、ライトアップされるリバーモール。昼間とは違った顔を見せる。
夜の帷がおり、ライトアップされるリバーモール。昼間とは違った顔を見せる。

以前来た時はこんな光景はなかったのにな、と訝しがったが、あれは確か真冬の12月の時分だった。どうりで会食している住民達がいなかったわけだ。これだけ綺麗にライトアップされた場所で、会食パーティを開けるのは羨ましい。家の近所にはネコの額ほどの公園しかないし、あったとしても手軽な会食パーティを開ける雰囲気でもない。飲食店街に位置する強みだろう。

洒落たレストラン街がリバーモールらしさだ。
洒落たレストラン街がリバーモールらしさだ。

伝統に暖かい光が灯り、池と橋には光の帯が、六甲ライナーの高架橋の柱までライトアップされる。派手派手しいというわけでもなく、芸術的で、神戸の夜風にもよく合う。

水面に映る街の明かりが風情を漂わせている。
水面に映る街の明かりが風情を漂わせている。