持っていくレンズを厳選しても、うまくいかない時もある

model:Kai
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名村造船跡地は広い場所であるし、55mmの単焦点は持っていかなかった。55mmと85mm、スタジオ撮影の時は両方持っていく。55mmはスタジオが狭かったり、上から人物を全身収めるようにして撮りたいときに重宝する。85mmは人物にクローズアップして思い切り暈かすときに使える。

しかし距離が十分に取れるような広い場所なら、わざわざ両方のレンズを持っていかなくても85mmだけで事足りるような気がした。実際に両方持っていって55mmはほとんど使わなかったという日もある。1kgの重たいレンズなので、減らせるならどちらかを減らしたい。それにこの日はソフトボックスなどのライティング機材の他にロールレフも持ってきていたし、200mmと400mmの望遠レンズを或る目的で試してみたかったので両方持ってきていた。それに加えて11-24mmのこちらも超弩級の大きさを誇る超広角ズームレンズを持ってきていた。そして万が一狭い場所で撮るときのために、24-70mmのズームレンズも持参。

  • Zeiss Otus1.4/85
  • Canon EF24-70mm F4L IS USM
  • Canon EF11-24mm F4L USM
  • Canon EF200mm F2.8L Ⅱ USM
  • Canon EF400mm F5.6L USM

これに55mmの弩級レンズを加えると、やはりちょっと荷物として重たい。しかしどういうわけかこの日はリュックを腕に通すとまるで猫でも背負ったかのような心地よい重さが全身に覆い被さってきた。前のめりに重心がかかるからだろうか。これにライティング機材を収めたショルダーバッグが加わる。もちろんこの荷物で歩ける限界は10分から15分くらいだろう。休憩を取りつつ歩く必要がある。

イベント会場である造船跡地に到着し、レイヤーが着替えるのを待っている間に珍しくロケハン。レイヤーの着替えが終わり黒ホリゾントとも言える黒い大部屋で撮影開始。

色々試行錯誤して撮っていったのだが、やはり55mmの単焦点レンズを持ってきておくべきだったと後悔し始めた。85mmでは全身を撮ろうとすると距離を取らなければならないが、その距離が思った以上に必要だった。背後で撮影しているレイヤー集団のカメラマンと接触しそうなほどだった。

24-70mmのズームレンズはなぜ使わなかったのか。要はレイヤーの衣装が綺麗だし、ISO感度をなるべく低くして撮りたかったのと、背後からのストロボ光を明るくしたかったというのがある。それに背後の黒い壁を暈かして撮った方が空気感が出て妖艶に写るのではないかと思った。黒壁を闇へと化したかったのだ。

結局の所、広いと思っていた撮影場所は中望遠レンズにとってはそう広くはなかったという事だ。少しでもレンズを減らそうと思いたったのが良くなかったのだろう。黒部屋のスペースでは苦しい撮影となった。