観光名所で風景写真を撮るときは、まず全体をパンフォーカスで撮りたいと思う。昼間の景色にしても夜景にしてもパンフォーカスで全体にピントが合うようにカリカリに撮ることで、印象深い写真に仕上げることが出来る。もちろん開放F値1.4で撮って周辺光量落ちやピントが合っている箇所以外を壮大に暈かすとこで幻想的に仕上げることも出来るが、今回はパンフォーカスで撮ることを前提としていきたい。
京都嵐山と渡月橋の写真を撮っていて、F11で撮るかF22で撮るか迷った。確か赤目四十八滝を撮ったときもどちらのF値で撮るか迷ったものだが、今回は二通り撮ってみることにした。
前景の紅葉を遠景の嵐山に被せるようにして撮った写真。焦点距離37mm。F11でどちらかにピントを合わせると紅葉が暈けたり嵐山が暈けたりする。F11では全くパンフォーカスにならないことを実感した
次にF22。なるべく暈けないように焦点距離24mmで撮影。しかしやはりどちらかが暈けてしまう。主役は嵐山でありたいので、嵐山にピントを合わせて撮影すると、紅葉は僅かながらにボンヤリとしているが、F11で撮影したときと比べると気になるほどではない。
24mmで撮ると車などの余計な物が写り込むのも気になる。
気になる光の回折現象による解像力低下。CanonのRAW現像ソフトDPPには、デジタルレンズオプティマイザという機能があり、これをオンにすると回折現象も緩和されるのではないかとやってみたら、渡月橋の収差っぽい色のズレが消えた。一方で嵐山の紅葉の描写はそう大して変わらなかった。正直デジタルレンズオプティマイザをオンオフに切り替えて、パソコンの大画面で見たとしても、その違いが分かるかどうかと言われると、大して分からないのではないか。
ではF11とF22で撮影した嵐山の写真を見比べてみてはどうか。パソコンの大画面に映し出してみると、F22で撮った写真の嵐山の紅葉部分は明らかに回折現象が原因と思われる画質の劣化が僅かではあるが見て取れる。等倍で見ると枝葉などがややボンヤリとしているし、全体で表示させてみても、どこかシャープネスに欠けている感がする。
トリミングした写真を比較してみると、小絞り暈けの影響が分かりやすい。
デジタルレンズオプティマイザを最大値の100に設定した。回折補正のチェックはカメラが対応していないのかグレー反転表示で実行できなかった。
橋の色ずれが僅かに補正された程度でほとんど変わらなかった。
しかしこれもF11の写真と比較したから気づいたようなもので、もしF22で撮影した写真単体を見て、回折現象の影響が出ていると気づくかと言われれば難しい。結局写真編集ソフトでカリカリに加工すれば回折現象のぼやけ具合も何もあったもんじゃない写真が出来上がった。気になるのは前景の紅葉が若干ぼやけていて、パンフォーカスになっていない点だ。焦点距離57mmで撮影した写真だから当然といえば当然だ。もっと引いて撮るか広角で撮るべきかもしれなかったが、心の中の構図がそうしろと命じたのだから仕方がない。
パンフォーカスで撮るときの心構え
- 出来れば広角で撮る
- ピントは無限遠で撮る
- F22に設定することを躊躇わない
- 小絞り暈けは写真編集ソフトで対応する
広角で撮った写真をトリミングするのもありかと思い立ち、早速やってみた。折れている枝や車など、興を削ぐなど余計な物が写っているので、それらを省くようにトリミングして、写真編集ソフトでコントラスト強めに加工した。
写りとしては冒頭に上げた37mmの方が好きだ。
サムネイルで見ても左下の緑のテントが輝度が高くて主張が激しいので、Photoshopのスタンプツールで消した方が良いかもしれない。