開放とパンフォーカスの両方を堪能した日

たまには絞って撮るのも良いかも?
たまには絞って撮るのも良いかも?

桜ロケで風景写真や人物写真をパンフォーカスで撮る事を覚えてから、その描写力に圧倒され、すっかり絞りを絞って撮る快感に目覚めた。

2週間超に渡る桜ロケの締めくくりはスタジオ内での撮影だった。ハコスタジアオムのようなアミューズメント型コスプレスタジオで、背景を暈かさずにパンフォーカスで撮るという事は、余り面白みのない写真になる事を意味する。

撮った写真を見せて「ハコアムじゃないみたい!」とレイヤーから言われるのは、褒め言葉である。関西のコスプレイヤーならハコスタジアム大阪に遊びに行った事のない人はほぼ皆無だろうし、エントリー機と暈けないレンズで撮り合いしたり撮影して貰ったりしていて、コスプレSNSでもハコアムで撮った写真が大量に掲載されている。

そうなるとオンリーワンという趣の写真が撮りづらくなる。最初の内はそれでも良かったのだが、何度も行っていると飽きが来るのは、同じような写真ばかりになってくるからだろう。

先に述べたように「ハコアムじゃないみたい!」「ATCじゃないみたい!」など、大半のコスプレイヤーが遊びに行っているスタジオやイベントで撮った写真で、「何処何処じゃないみたい!」と喜ばれるのは、カメラマンにとって褒め言葉となっている。

それだけ撮影時に構図やカメラの設定やレンズの選び方に創意工夫をして掛け合わせて、あたかも誰もがまだ訪れた事がないスタジオやロケ地で撮っているかのような写真を生み出している証である。

そのような理由から、パンフォーカスで撮ると、誰もが撮った事のある写真になる恐れがあり、今まではハコアムのような大勢のコスプレイヤーが利用しているありきたりの場所では、F値を絞って撮る事は避けていた。エントリー機とキットレンズで撮ったような写真になってしまう恐れがあったからだ。

しかしここは勇気を振り絞って、絞って撮ってみようという事で、ツーショットでもあったし、新しく導入したばかりのソフトボックスを使って、暗めの設定で撮ってみた。

85mmレンズでF9まで絞って撮影。絵画のよう。
85mmレンズでF9まで絞って撮影。絵画のよう。

なるほど、絞って撮るとすべてが中世の絵画のようにシャープに写る。安っぽく見える小道具なども何だか雰囲気が出ているし、70回以上訪れて見慣れた壁面も厳めしさを増している。

要はライティング次第では、開放で撮ろうが絞って撮ろうが、「ハコアムじゃないみたい!」な写真が撮れるという事だ。

しかしいつものように開放で「ハコアムじゃないみたい!」な写真を撮ってみたいという欲求に駆られる。いつものように開放F値1.4に設定して撮っていった。

開放F1.4で撮影。
開放F1.4で撮影。

やはり開放で撮ると空気感が出て良い。パンフォーカスで撮ればレンブラントの絵画のような荘厳な雰囲気が出て、開放で撮れば写真全体に空気感が醸し出される。いつものようにOtusで撮影していたが、開放から撮っても収差は皆無で描写力の切れが良い。

同じく開放F1.4で撮影。被写体が映える。
同じく開放F1.4で撮影。被写体が映える。

ちょうど同じ場所に、筆者がOtusを購入する遠因となったアマチュアカメラマンの男性が別の組を撮っていて、撤収する際に開放で撮った写真を見せたら、「やっぱりこの暈けだよ!」と感嘆された。カメラやレンズの話に含蓄のある方で、分かる人にはやはり分かるのだと胸がすく思いだった。