難しそうに見えて、撮り方やコツさえ掴めれば意外と簡単な撮影を上げていくと、集合写真、花火、ストロボ撮影、マニュアル撮影の他に、星空撮影が上げられる。
一見難しそうに見えるが、気象条件とカメラの設定方法、機材が揃えば、簡単に撮ることができる。
去年と今年の春に立て続けに桜の名所を訪れた。そのついでに徹夜して星空撮影も敢行してきた。以前別の場所、神戸の丘の方で星空撮影に挑戦してみたのだが、その時は上手く行かなかった。都会で光害が多いせいだろうか。それとも空が曇っていたのか。
その経験があったので、星が綺麗に見える田舎で初めて星空撮影に臨んだときは、本当に撮れるんだろうかといぶかしく思ったが、やってみると簡単に撮れた。習うより慣れろとはこのことか。何事も現場で実際に撮ってみないと分からないものだ。
それでは星空撮影について順を追って詳しく見ていくことにしよう。
星空撮影に必要な機材
- 一眼レフデジカメ
- 交換レンズ
- 三脚
- リモートスイッチ
- ソフトフォーカスフィルター(任意)
- 赤道儀(任意)
最低限必要な機材は4点。順を追って詳しく見ていこう。
一眼レフデジタルカメラ
これがないと撮れない。マニュアルモードで撮影できる機種なら、フルサイズでもAPS-Cでも何でも良い。
交換レンズ
開放F値の小さい、明るいレンズがお薦め!やはり夜空なので、開放F値の明るいレンズを使ってなるべく明るさを確保したい。F1.4のレンズが理想的だが、F2.8でも撮れる。
焦点距離は広角から望遠まで様々だが、風景も一緒に入れて撮るなら広角がお薦め。追って作例などを交えながら詳しく解説していきたい。
三脚
長秒露光での撮影になるので、ブレ防止のための三脚は必須。ISO感度を上げても手持ち撮影で綺麗に星空を撮影することは出来ない。
リモートスイッチ
シャッターボタンを押す際のブレがカメラに伝わらないように、リモートスイッチも必須。
ソフトフォーカスフィルター
ソフトフォーカスフィルターをつけると星の明かりが大きく写るようになる。RAW現像での後処理で星の光を膨張させるのは難しいので、星を強調して撮りたいなら、あった方が良い。
レンズに記載されているフィルター径と同じ大きさのソフトフォーカスフィルターを選ばないと、レンズに装着できないので注意。
赤道儀
星も月と同じで動く。そこでカメラを地球の自転に併せて動かす為の赤道儀を用いることで、長秒露光で線として写ってしまう星を点で写すことが出来る。良いカメラと同じくらいの値段がする。
カメラの設定・シャッタースピードによる星空写真の描写の違い
まずはカメラの撮影モードをマニュアルモードにする。
次にシャッタースピードだが、星をなるべく点の形で、すなわち止まっているように撮りたいなら10秒が限界だ。星も月と同じで動いている。余り長いシャッタースピードにすると、星の動きを線のように捉えてしまう。
シャッタースピード10秒と30秒の明るさの違い
シャッタースピードを変えた時の明るさの違いを見てみよう。24mmの単焦点レンズCanon EF24mm F1.4L Ⅱ USMで撮影。カメラの設定はF1.4、ISO感1600。この二つは変えていない。シャッタースピード10秒と30秒では全然明るさが違う。
シャッタースピード30秒の方の写真は、ここまで明るくする必要はあるだろうか。明るくて桜の形状や建物などの様子がよく見えるが、星は線を描いてしまっている。桜も風に靡いて描写がちょっと崩れている。
シャッタースピード10秒の方の写真も、桜は風に靡いてやや描写が崩れているが、星空の方はしっかりと綺麗に写っている。暗めなので星も映える。
F2.8で星空はどう撮れる?
開放F2.8のレンズではどうだろうか。同じような明るさだと、カメラの設定はF2.8、シャッタースピード8秒、ISO6400となった。比べてみるとやや明るさが足りなかったので、DPPで明るさを+0.33上げている。
使用カメラはCanon 5DsR。他のフルサイズ機と比べると高感度にノイズが出やすいとされている。先ほどの24mmの単焦点で撮影した写真と等倍表示で比べてみると、ノイズは確かにやや多いように見受けられるが、暗くてノイズがよく見えないし、通常表示で見ると、ノイズが出ているのかどうかも分かりづらい。ISO感度6400にしては綺麗に写っているのではないだろうか。DxO LaboのPrimeノイズ処理を施せばノイズも気にならないかも知れない。
焦点距離18mm・30秒露光で星はどう写るか
開放F2.8のレンズでもISO感度を上げれば星空を撮る事は出来る。ノイズを出したくないからという理由でISO感度を1600に下げて、シャッタースピードを30秒にすると、やはり星が線を描いてしまった。
しかし焦点距離18mmで星が小さく写っているので、星が線を描いているのが気にならないかも知れない。
F2.8でも星空は撮れるが、明るいレンズを使った方が楽にかつ綺麗に撮れる。開放F値の大きいレンズを使って、10秒〜30以上の長秒露光で撮らなければ星が写らない場合は、赤道儀の購入を検討する必要がある。
ホワイトバランスの設定
星空撮影みたいな手間のかかる撮影では、JPEGモードではなくRAWモードで撮った方が良い。後からホワイトバランスや彩度、ピクチャースタイル、コントラストなどを画質を劣化させることなく現場での撮影と同じ感覚で変更できるメリットを享受できる。
RAW現像ソフトで一番動作が軽いのはAdobe Lightroomだが、月々980円の利用料がかかる。キヤノンユーザーはカメラを買ったら純正RAW現像ソフトDigital Photo Professionalを使える。
しかしパソコンを持っていなかったり、RAW現像ソフトが快適に動作するスペックに足りなかったり、デジタルRAW現像のやり方が分からないという人もいるだろう。
そこでJPEGモードオンリーで撮影する場合のホワイトバランスの設定を考察していきたい。
やはり星空だから、暖かみのある色よりも青っぽい感じの色味の方が良い。そこでホワイトバランスを白色蛍光灯、もしくは白熱電球に変えてみる。すると青っぽい星空が撮れる。
逆に暖かい色味にしたい場合は、暖かい色味になるホワイトバランスを選ぶ。太陽光や曇りなど。
将来的にRAW現像の習得を予定している場合は、RAW+JPEGモードで撮ると良い。
星空写真のRAW現像一例
上の作例のRAW現像を記しておく。使用RAW現像ソフトはCanon DPP。ガンマ調整のチャートで明るさをやや持ち上げている以外は以下の通り。JPEG撮って出しを前提とした撮影の際にもお役立て頂けるかと思う。Lightroomをお使いの方は、応用力で対応して頂きたい。
- ホワイトバランス:白熱電灯
- ピクチャースタイル:風景
- シャドウ:−2
- 色の濃さ:3
星空撮影に理想的な天候は?
月の出る夜は夜空が明るくなるので、星空撮影には余り向いていない。夜の月を明るく撮りたいというのなら別だが。
この日も夜中の2時頃に月が出始めて、星空が見えなくなってしまった。
天の川が撮れるかもしれないと期待していたのだが、月が出たために断念。
星空の出具合を星空指数として予報しているサイトがある。月の満ち欠けや月の出る位置を調べることが出来るサイトもあるので、天気予報と併せて事前に調べておくと良い。
ただ星空予報は絶対ではない。実際に筆者が広島の山奥に訪れた際には、出掛けた時には星空指数は高かったが、真夜中から雲って雨が降り始めた。遠征での撮影の場合は、刻一刻と変わる天気に対応できない場合が多いので注意が必要だ。
星空写真を綺麗に撮る方法まとめ
- カメラはマニュアルモード。
- 風景も入れるなら広角レンズ24mm。
- 開放F値が小さいレンズが良い。
- F値はF1.4〜F2.8。
- シャッタースピードは10秒。これより遅いと星が線を描いてしまう。
- ISO感度は1600を軸に上下。最後に決める。
- 青い夜空の色に撮るならホワイトバランスは白熱電灯。
- RAWモードで撮るのが望ましい。
- 星の明かりを膨張させたいならソフトフォーカスフィルター。
- 30秒以上の長秒露光は赤道儀が活躍
- 星空指数や月の満ち欠けなどを事前にサイトで調べておく。