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エリザベス ゴールデン・エイジ – 若さへの嫉妬と羨望・老いへの憂い・強敵スペインとの対決

エリザベス ゴールデン・エイジ

英国の黄金時代を築いたエリザベス1世。前作の『エリザベス』では、カトリックとプロテスタントの宗教対立による幽閉から女王に君臨するまでの若き日のエリザベスを描いたが、今回はフェリペ二世が統治するスペインの無敵艦隊をアルマダの海戦で破り、英国の覇権を築くまでを描く。

ヨーロッパ各国の王から求婚の申し出があったエリザベス女王、求婚パーティでフェリペ2世やピョートル1世、スウェーデン王子などの肖像画を吟味するが、当の本人は結婚する気はさらさらなかった。そんな退屈なパーティの最中にスペインの商船を次々と襲って名を馳せた英国の海賊ウォルター・ローリーが現れ、新大陸アメリカに探検隊を率いて植民地を築く許しを得ようとエリザベスに近づく。エリザベスは次第にウォルターに惹かれていく。エリザベスの侍女であるベスもウォルターに惹かれていた。2人が仲良くダンスする姿を見て、若き日の自分を重ねるエリザベスは、イングランド女王として私事を押し殺し自律を求められる生活と自らの老いを憂うようになる。

一方で国内ではカトリックとプロテスタントの対立がくすぶり続けていた。カトリックだった前女王メアリ1世から王座を継いだエリザベスだったが、スコットランド女王メアリ・スチュアートの周辺では彼女を王座につけるための画策が蠢いていた。

腹心ウォルシンガムの内偵により、反乱者の1人が逮捕され、拷問の末にフェリペ二世が裏で噛んでいることを白状する。メアリ・スチュアートも叛乱計画を承諾した事を証拠づける密書を泳がせ捜査で手に入れたウォルシンガムは彼女を逮捕し斬首するようエリザベスに進言する。泣く泣く進言に従ったエリザベスだったが、神に選ばれし女王を斬首したとして神の意志に背いたエリザベスが統治するイングランドを攻める口実を、敬虔なカトリック信者であるフェリペ二世に与えることになってしまった。

多数建造されたスペインの無敵艦隊がイングランドに攻め上ってくることになり、エリザベスと忠臣達は軍を整える。

そんな中、ウォルター・ローリーとエリザベスの侍女のベスがいよいよ恋仲になり、お腹には子供も身籠もることが分かると、嫉妬したエリザベスはベスを牢屋に入れる一方、ウォルター・ローリーを廷臣にして艦隊を率いさせてスペイン無敵艦隊撃退の任に当たらせる。

はじめは劣勢に立たされた英国艦隊だったが、嵐の到来で碇を下ろすことにした無敵艦隊に焼き討ち船を突っ込ませる作戦が功を奏し、見事に無敵艦隊を撃滅することに成功するのだった。夜明けに目覚めて岸に立ったエリザベスは、スペイン艦隊が焼け落ちていくのを胸中様々に眺める

物語はエリザベスの恋と嫉妬を横軸に添えながら、スペインとの対立を縦に縫い込む形で進んでいく。腹心のウォルシンガムは前作と同じくジェフリー・ラッシュが演じている。前作から8年経ったためか、エリザベスを演じているケイト・ブランシェットもやや老けた感がある。ストーリー内でも、顔に皺が増えていくことを気にしている。そして若い侍女ベスに嫉妬するのである。前作では若い廷臣との恋仲を描いていたが、今回は同じく探検家に恋するものの若い侍女に取られる年増の悲哀と嫉妬に焦点が当てられている。2人のダンスを見て前作の映像を用いた回想シーンが差し挟まれるが、確かにあの頃の夕陽を逆光に浴びたケイト・ブランシェットは若くて美しい。今作でも十分に美しいが、髪をジーン・セバーグのように短くしていて、少し老けた感がある。

宮廷内も壮大。これはCGなのかはたまたロケなのか。宮殿や大聖堂などでのシーンが圧巻。エリザベスの部屋にはたくさんのカツラが飾られている。気分次第で変えたのだろうか。そういう細かなところも再現されているし、時代衣装がとても美しいデザイン。歴史映画の醍醐味かな。最後には甲冑姿のエリザベスも拝見できるが、髪が長くてカッコ良い。

そして敵役のスペインのフェリペ二世の存在感も良い。大勢の家臣達とカトリックの司祭達に囲まれ異彩を放っている。

一番おかしかったのは船行列から帰ってきたエリザベスが並んで歩くウォルシンガムの後頭部をバシコーンと思いっきりはたいて怒りをあらわにするシーン。公衆の面前で結婚のことを言われて怒っていたのだが、これはどこか現代風なやりとりに見えた。ちなみにこの2人、1993年に『オレアナ』というセクシャルハラスメントがテーマの女子大生と大学教授の二人劇で共演している。

ジェフリー・ラッシュが演じるフランシス・ウォルシンガムは今でいう秘密警察もしくはMI5の長官のような役職で、プロテスタントを信仰する英国とカトリック総本山のローマ教皇庁との対立が深まる中、各国の主要都市にスパイを送り込んで情報を集め、生涯で20件余りのエリザベス暗殺を食い止めたという。

この逸話を聞くと、前作でも教皇(Holy Father)の命を受けた宣教師(ダニエル・クレイグ)がイングランドに潜入し、エリザベス暗殺を企てたのもあながち創作ではないのだなと納得がいった。

前作同様史実を元にしているものの細かな部分は脚色が加えられている。要は2時間以内に収まりかつ観客に分かりやすい話にまとめるためだろう。史実と映画の相違点はウィキペディアなどを参照のこと。ウォルター・ローリーとベスとの顛末やその後の運命なども知ることが出来る。