風景写真をワンタッチで簡単RAW現像! – Canon DPP編

200mm | 30s | F10 | ISO200
200mm | 30s | F10 | ISO200

写真の場所は高遠城址公園。今年の春に電車とバスを乗り継いで行ってきた。観音様の足下から眺める城址公園の桜ライトアップはとても綺麗であったが、場所が狭い上に木々が伸び放題で視界が悪い。そして道もはじめの上りがやや険しい。

久しぶりに写真を見返してみて、なかなか良く撮れているなと我ながら感心する。24−70mmのズームレンズ、85mmの単焦点レンズ、200mmの望遠レンズと3通りのレンズで撮ってみたが、200mmは切り取り過ぎな感じがするし、47mmはやや広すぎる。85mmで余分な枝の影の映り込みをカットして、全体像が写っている写真がバランスが取れていてなかなか良い。望遠気味の絵が欲しければこの85mmで撮った写真をトリミングすれば事足りる。

やはり山に登って花火や風景などを撮っていると、70-200mmの望遠ズームレンズが欲しくなってくる。85mmでは足りず、200mmでは近すぎるというシーンに度々出くわしてきたからだ。

そこでトリミングで対処する。5060万画素、サイズにして8688x5792ピクセルになる5DsRで撮影した写真なので、トリミング耐性に強い。

半年以上前に撮った写真をRAW現像する段階になって、ちょっと今日は趣向を変えて楽をしてみようと、ガンマ調整の自動を実行した。そうしたら白飛び回復処置はしてくれるわ、シャドウは自動的に上げてくれるわで理想的な仕上がりになった。

編集前。
編集前。
編集後。
編集後。
編集前。編集後。

普段はコスプレ撮影をメインに活動しているが、人物写真でこの手の画像編集ソフトの自動処理を使うと顔の描写がおかしくなったりする。なんだかちょっと顔が暗くなったり、無理矢理シャドウを上げてハイライトを下げ、白飛び防止処置もするから、肌の色が不自然になったり。RAW現像ソフトが正しいのか、自分の感覚が正しいのか迷うところだが、理想的にならないこともそりゃあるだろう、自動的に判断するのだから。

風景写真は自動ボタンを押したら理想的な写真に仕上がることが多い。不思議。

パラメータやヒストグラムの違いも参考までに掲載しておく。

ガンマ調整項目のパラメータ
ガンマ調整項目のパラメータ
編集前
編集前

レンズは焦点距離85mm。カメラの設定はシャッタースピード2秒・F1.4・ISO200。

ISO感度が200なのは、白飛び防止のために高輝度側・階調優先をOnにしてていたため。

風景写真のセオリーであるF値をF11からF22まで絞った撮影ではなく、開放F値で撮っていた。白く輝いた部分でもパープルフリンジが全く出ないのは、Otusの成せるワザか。ピントが前から後ろまで全体的に合っているのは、無限遠だったからだろうか。

後は彩度を上げ、ホワイトバランス微調整をマゼンタに寄せて完成。桜が映える彩り豊かな写真となった。

完成品
完成品
ホワイトバランス微調整
ホワイトバランス微調整

F8で撮影した風景写真

F8で撮影した写真もある。こちらの方がややボヤッとしているのは、25秒の長秒露光中に何らかの振動が加わったのだろうか。それとも25秒間の間に風の影響で梢や桜が蠢いてしまったためだろうか。

85mm | 30s | F8 | ISO200
85mm | 30s | F8 | ISO200
編集前
編集前
編集後
編集後
RAW現像パラメータ
RAW現像パラメータ

ではISO感度を上げてその代わりにシャッタースピードを速くすれば良いのではないかとも思われるが、細かい描写が多い風景写真でノイズが出るのはハッキリ言って厳しい。

カメラの設定を切り詰める際の手順としては、まずはシャッタースピードを手ブレしない限界に設定し、F値で絵作りの変更を考慮に入れつつ、どうにか明るく、スローシャッターでの絵作りの場合は暗くできないかを念頭にいれ、最後の手段としてISO感度を上げるのが良い。

今回はF1.4でも風景写真としてパンフォーカス気味に撮れたので、良しとする。手前の邪魔な木々が暈けてはいるが暗くて良い部分だったことが功を奏した。開放での撮影で描写を劣化させる収差が出ないOtusという弩級レンズのおかげでもある。

F8で撮影した写真がまだあった。こちらは30秒の長秒露光でもシャープに写っている。先ほどのF8の写真がやや精細さに欠けていたのは、やはり三脚への振動が原因だろうか。

こうして部屋で書いている分には30秒間はそんなに長くは感じられないように思われるが、実際に撮影現場で30秒間露光していると、かなり長く感じられるものである。幸いにして、筆者以外撮影者は皆引き払ってしまい、ひとりぼっちでの撮影だったので他のカメラマンに気兼ねする必要はなかったが、いかんせん心細いし、暗闇の山道の真っ只中なので、男でも空恐ろしい。ガサガサッと音が聞こえると、人か獣かがやって来たのではないかと戦慄してしまうほどであった。