Adobe Lightroomがアップデートで刷新!クラウドベースのAdobe Lightroom CCとデスクトップ版Adobe Lightroom Classic CCに分岐!

新しく生まれ変わったlightroom CC。ネットで写真にアクセスできるクラウドベースに。
新しく生まれ変わったlightroom CC。ネットで写真にアクセスできるクラウドベースに。

RAW現像ソフトの代名詞とも言えるAdobe Lightroomが約2年ぶりに大幅アップデートした。今回のアップデートでLightroomはデスクトップ版とクラウドベースの二種類に別れる。デスクトップ版はLightroom Classic CC、クラウドベースはLightroom CCという名称になる。Photoshop CC、Lightroom Classic CC、Lightroom CC、ストレージ容量20GBを、フォトプランで月々980円で利用できる。月々1980円で上記のアプリに加え、1TBのストレージ容量が利用可能。

Lightroom月額プラン一覧

フォトプラン・・・月額980円
 Lightroom CC + Lightroom Classic CC + Photoshop CC + ストレージ容量20GB

フォトプラン・・・月額1980円
 Lightroom CC + Lightroom Classic CC + Photoshop CC + ストレージ容量1TB

Lightroom CCプラン・・・月額980円
 Lightroom CC + ストレージ容量1TB

今回(2017年10月)のアップデートでの大きな変更点は、今まで通りパソコンにアプリをインストールした状態で使えるバージョン(デスクトップ版 Lightroom Classic CC)と、クラウドにデータをアップロードして補正や写真を共有できるバージョン(クラウドベース Lightroom CC)にアプリが別れたことだ。

デスクトップ版は旧Lightroom CCの後継アプリで、インターフェイスも同じで補正項目が今まで通り充実している。一方でクラウドベースは、パソコンにインストールしたソフトだけでなく、ウェブやタブレット、スマートフォンからもRAW現像可能で、クラウドに写真を保存することができ、現像した写真をインターネットを介して簡単に共有できる点だ。その代わりデスクトップ版と比べて、幾つかの補正機能は使用不可となっている。

Lightroom CCにない補正項目

  • トーンカーブ
  • 明暗別色補正
  • HSL / カラー / B&W
  • パープルフリンジの除去
  • カメラキャリブレーション(ピクチャースタイル関連)

実践!Lightroom CC

クラウドベースに変更なったことに合わせて、インファーフェイスも刷新されたAdobe Lightroom CC
クラウドベースに変更なり、インファーフェイスも刷新されたAdobe Lightroom CC

早速Lightroom CCを使ってみた。1日撮影分の花火の写真を取り込む。

右上の写真を追加ボタンを押して、クラウドにアップロードを開始する。
右上の写真を追加ボタンを押して、クラウドにアップロードを開始する。

右上のクラウド(雲)のアイコンにぐるぐる回転したアニメーションが表示される。クラウドに取り込み中ということだ。980円のコースは20GBのストレージがついてくるが果たして足りるかどうか。10分ほどしてぐるぐる回転表示が消えたが、動いている最中も補正作業は可能だ。

右上のクラウドアイコンに、ぐるぐる回る丸い水色のアニメーションが表示される。
右上のクラウドアイコンに、ぐるぐる回る丸い水色のアニメーションが表示される。

現像の各種パラメータのデザインは簡素化されていた。ゴテゴテ感がなく、初心者でもとっつきやすいデザインになっている。

各補正項目のパレットがスタイリッシュになった。とても見やすい。
各補正項目のパレットがスタイリッシュになった。とても見やすい。

各項目にマウスをあてがうと、どのような処理であるかの説明と実際の効果がサムネイルのアニメーションを通してわかりやすく表示される。ヘルプを参照しなくても、初心者がより直感的に現像できる仕様となっている。

この補正ではどのように写真を変えることができるのか、アニメーションで表示される。
この補正ではどのように写真を変えることができるのか、アニメーションで表示される。

パラメータをスライドさせても、そのぶんだけ白反転するので、変更前の位置がわかる。また補正項目名をクリックすれば初期化することも可能。

補正のタイトルをクリックすると、補正内容を初期化できる。
補正のタイトルをクリックすると、補正内容を初期化できる。

レンズの項目には色収差の除去と、レンズ補正を使用の項目はあるが、パープルフリンジの除去の項目は無くなっていた。カメラキャリブレーションの項目もないので、ポートレートや風景などのモードが選べない。トーンカーブもないので、トーンカーブを使って明るさやコントラストを調整するのに慣れていたユーザーは別の方法を使うしかない。明暗別色補正や各色ごとに彩度と輝度を変更できるHSL / カラー / B&Wの項目もない。

さらに高速になったLightroom Classic CC

次にデクストップ版Lightroom Classic CCを見て行こう。こちらは従来のデザインが継承されている。LightroomはDPPやDxO Optics Proなど他のRAW現像ソフトと比べても格段の処理スピードなので使いやすいが、アップデートでさらに速くなった感じだ。あまりにサクサク動くので、DPPから乗り換えようか検討中な程現像していて快適である。

インターフェイスのデザインは旧Lightroom CCを継承。アップデートでさらに高速になった。
インターフェイスのデザインは旧Lightroom CCを継承。アップデートでさらに高速になった。

あとはマスク機能が向上したが、筆者はほとんど使わないので解説は差し控えておく。

どちらのLightroomCCを使う?

5DsRで撮影した花火写真一日分を取り込んだら、ストレージを7GBほど消費した。月額1980円プランを選択すれば、1TBのストレージ容量を使えるが、筆者は一年で3TBの外付けハードディスクを消費するので、1TBではおそらく4ヶ月ほどで容量が足りなくなるだろう。

あとはクラウドのセキュリティ面や障害の心配がある。外出先の暗号化されていない無線LANから繋ぐと通信を盗聴される恐れがある。また、クラウドが障害に見舞われるとデータにアクセスできなくなる。Adobeのように大きな企業のサービスならおそらくバックアップ面も万全を期しているだろうが、世の中絶対なものはないので、元データのバックアップはローカルにとっておくべきだろう。

今後もあらゆるアプリがクラウド化されていくだろうから、対応せざるを得ない。パソコンをiMacに変えてから、MacintoshOS版がクラウドバージョンのアプリしか対応していないケースも出てきたので、否応なくクラウドに移行せざるを得ないこともあった。クラウド版に移行するとやはりセキュリティ面が懸念材料となる。自分に必要なサービスかどうかをよく見極めて、コースを選ぶといいだろう。

しかし今回刷新されたクラウドベースのLightroom CCはデザインもシンプルになって非常に使いやすい。もし使用不可の補正項目が今後のアップデートで使用可能になるなら、徐々にクラウドに慣れていくために乗り換えるのもアリだ。