キヤノンのデジタルレンズオプティマイザは、Canon製純正レンズの欠点を補正して描写を最適化してくれる機能だ。最近まではキヤノン純正RAW現像ソフトデジタルフォトプロフェッショナル(DPP)に写真を取り込むことで、このレンズ補正機能の恩恵に預かることが出来た。
しかし最新のキヤノンの一眼レフデジカメ、例えば1Dmark2や5Dmark4などの最新機種には、カメラ内でデジタルレンズオプティマイザの機能を写真に適用させる事が出来る。
このデジタルレンズオプティマイザ、どれほどの威力なのか、作例を見て実際に体感して頂こう。
レンズの描写力の欠点を補うデジタルレンズオプティマイザ
次の写真はCanon5DsRとEF200mmF2.8L Ⅱ USMにEXTENDER EF2×IIIを装着して、焦点距離400mmにして撮影した中秋の名月だ。既にデジタルレンズオプティマイザを適用してある。
以下の画像は、上の写真の一部分を2倍に拡大して、デジタルレンズオプティマイザをOFFにした状態とONにした状態の描写を比較したものだ。デジタルレンズオプティマイザOFFの左の方はクレーターがヤヤぼやけているが、デジタルレンズオプティマイザを適用した右の拡大写真はクレーターがクッキリとシャープになっている。
次に実際の画像を等倍で見て戴こう。月のクレーターが僅かばかり強調されているのが見て取れる。
EXTENDER EF2×IIIを装着して撮影した画像は若干ぼやけてしまう。そのボンヤリとした描写をデジタルレンズオプティマイザが補正してくれているのが分かる。
月の写真はトリミングして等倍でウェブに上げることが多い。超望遠レンズが高価で手に入りにくいのと、400mmの焦点距離でも小さくしか写らないからだ。等倍表示でやっと大きくて迫力のある月の写真になる。まさにデジタルレンズオプティマイザの効果が発揮される素材だ。
被写体によっては使い分ける必要がある
さて、月のクレーターには多大な効果があった。問題はポートレート写真へのデジタルレンズオプティマイザの適用だ。ご存じの通り、女性のポートレート写真はフンワリとした肌が好まれる。ほんの僅かにピンボケしているくらいが、肌の粗が克明に描写されないのでちょうど良いという人もいる。
何度か人物写真にデジタルレンズオプティマイザを適用したことがあるが、確かにシャープネスがかかりすぎて肌の粗が目立つようになった。
開放F1.2で撮影したような写真に使うと、パープルフリンジが緩和されて良い感じに仕上がるのだが、シャープネスのかかりすぎで肌の凹凸が目立つのは頂けない。どんな写真にもデジタルレンズオプティマイザを適用するのではなく、状況に応じて使い分けていきたい。