風景写真を撮るときは余りISO感度を上げたくない。その理由はやはりノイズである。ノイズが写真の精細さを殺してしまう。ノイズ処理が施されると細かな描写が潰れてしまう。
しかし一日中撮影に出ていたら、ISO感度を上げて撮らなければならない時は必ず来る。特に京都の寺院では三脚や一脚を使った撮影は禁止されている所が多いので、手持ち撮影で済ませなければならないことが多い。
晩秋の午後4時も過ぎると、人間が思っている以上にカメラにとっては暗くなる。風景写真は絞って撮るのがデフォルトのようなところがあるが、午後4時を過ぎると、単焦点レンズを使って開放F値1.4で撮りたくなるほどに写る写真は暗い。
午後4時半、二尊院境内。F1.4、シャッタースピード1/200秒。ISO感度は400。Canon 5DsRはノイズ耐性に強いフルサイズではあるが、超高画素であることから、APS-C機7DmarkⅡよりもやや優れているといった程度で、フルサイズ機の1DXや5Dmark4と比べると高感度撮影でのノイズが乗りやすい。だから余りISO感度は上げたくない。プロフェッショナルなユーザーの中にはISO感度400が限界という人もいる。
しかしこうして撮ってみると、紅葉は艶やかであるし、ボケ具合がなんとも言えず良い。
せっかく超広角レンズも持ってきたから、散り紅葉とコケを壮大に撮りたい。ということで開放F4のレンズではあるが取り替えて撮影してみた。ISO感度640と更に1/3段上げたが、超広角11mmなので、シャッタースピードは1/40秒まで緩く出来た。目視で手ぶれは確認できなかった。F4での撮影なのでパリッとした感じはやや弱い。ノイズ処理が描写を潰しているせいもあるのだろうか。
普段上げることを躊躇われるISO感度も、やはり上げなければどうしても撮れないときがある。F値を小さくする、シャッタースピードを手ぶれしないセオリー1/焦点距離×2のギリギリまで切り詰めるなどしてどうしても明るさが確保できないなら、ISO感度を上げないと写真が撮れない。陽が弱くなる日没前はノイズを気にするのは止めて、ISO感度を積極的に上げていきたい。