超広角レンズを使って上から俯瞰して撮ってみよう

超広角で上から俯瞰して撮る!
超広角で上から俯瞰して撮る!

知らないキャラをどう撮るかというのは難しいが、知っているキャラをどう撮るかも同じように難しい。結局の所、キャラクターを知っていようがいまいが、撮りやすかったり撮りにくかったりするのは、キャラクターの特色と、スタジオに寄るところが大きい。

寝転がって撮る事になった。もう一人のコスプレイヤーさんが髪を整える。先ほどは正面から撮っていたが、髪を散らしていたこともあり、これは上から俯瞰して撮った方が様になるのでは無いかと脚立に登って撮っていくことにした。

やはりポイントとなるのは、二つの行燈。これが煌々と灯るように撮った方が、屏風にも照り返して雰囲気が良くなりイメージに近づけるのでは無いか。

では灯籠を明るく撮るにはどうすればいいか。F値を下げる or ISO感度を上げる or シャッタースピードを遅くするのいずれかで実現する。灯籠をストロボで明るく照らしても意味は無い。互いの光が混ざり合って全体的に明るくなることで、灯籠自体の光が目立たなくなってしまう。そこでなるべく全体が暗くなり、被写体と灯籠だけが明るくなるように撮りたい。カメラの設定を見ていこう。

シャッタースピード:1/125秒・F値7.1・ISO感度250

まずシャッタースピードは、なるべく遅くした。使用レンズはCanon EF16-35mm F2.8L Ⅱ USMで、焦点距離は16mmと広め。俯瞰して広々と撮る事で斬新な表現が引き出せないかと期待した。16mmならもう少し遅くしても手ぶれは問題なかったかも知れないが、頭の片隅に全体を暗めにしたいという気持ちが働いていたのだろう。こういう非実用的ではありながら、心理的な面もカメラの設定に反映されたりするのが現場というものだ。

F値は7.1。件のレンズは開放F2.8で撮ると周辺の描写がどうも甘くなった憶えがある。飛車遺体も背景もシャキッとした描写で撮りたかったので、F7.1迄絞った。レンズというのは2段絞るとそのレンズの持つ描写性能の最高値が引き出されるとよく聞くが、CanonのEFレンズを特集した本には、もうちょっと絞った方が良いみたいなことが書かれてあった記憶がある。

F2.8の2段というと、F5.6になる。1段上がるごとに明るさは半分なる。F値に√2をかければ1段先のF値が導き出される。√2は、「一夜一夜にひとみごろ」、1.41421356なので、だいたい1.4をかければ、近い数値が出てくる。2.8 x 1.4 =約4、4×1.4=5.6、5.6 x 1.4 =約8。しかしそんな細かい計算は撮影時には思い浮かばない。大体1段上げれば明るさは半分、2段上げればその半分、逆に一段下げれば2倍、2段下げれば4倍になると言われても、今の明るさの2倍4倍8倍が一体どれくらいの明るさになるかというのは目視では見当が付きにくい。デジタルカメラなのだから明るさを確認したいのなら、何枚か試し撮りすればいいだけの話だ。頭よりも体感である。しかしその体感から導き出される物をしっかりしたモノにする、体感を裏書きするためには、頭を働かせることも必要だ。

ISO感度250は、明るさを加味した。後はストロボを当てるが、背景が明るくなりはしないかという懸念があったが、そこまで明るくはならなかった。

上記の設定でも悪くはないが、やはりちょっと明るいというか、ストロボ光が壁の障子に主張しすぎなような感じがする。そこで設定をF4、ISO感度1600に変え、明るい設定になった分、ストロボ光も弱めてみた。カメラ側の設定を明るい写真が撮れるように変えたことで、環境光の影響が強まる懸念が出てきたので、スタジオの電気は消してある。

すると二つの灯籠の明かりの主張が強くなり、先ほどの写真ではストロボ光の影響が出ていた屏風の部分が、灯籠のオレンジの灯りに取って代わられ、雰囲気が格段に良くなった。問題はモデルの明るさだ。これ以上ストロボ光を強くすれば、周りも明るくなってしまう。スヌートでも取り付ければモデルだけにストロボ光が行くように撮れたかも知れないが、スヌートは嵩張る上に持ってきていない。では前みたいに紙で丸めて撮るべきか。しかしこれもセロハンテープが必要だし、綺麗な○を作るのが難しい。Canonのストロボは長方形の形をしているので、紙でスポットライトを作ろうとすると、ちょっとした手先の器用さと照射角の設定(50mm)が必要になってくる。

ということでここから先はもうPhotoshopなどのレタッチソフトで処理するしかないだろうという結論に至った。現場であれこれ弄るよりもその方が綺麗に仕上がる。普段はお渡しの際にはPhotoshopでレタッチしないのだけれど、今回はその日のデータ全体から3枚ほどレタッチしてお渡しした。