撮り合いなどをしていて、ピントの合ってない写真が一番カッコ良く撮れていたなんて事がある。そういう時はSNSやツイッターに是が非でもアップしたいので、目の部分にだけシャープネスを思い切りかけて、なんとか見られる写真にする。
その逆もしかりで、こちらが撮った写真で、ピントが合っていない写真が上がったりすることもある。何だかやたら顔にシャープネスがかかってるなと元の画像を確認してみたら、ピントが合っていなかった。
ピントの合わない原因
ピントが合わないのには、幾つかの原因が考えられる。
- カメラ本体が古い
- 撮影者がカメラに慣れていない
- コサイン誤差
- 逆光での撮影
- 開放F値もしくはその付近で撮っている
- 被写体が暗い、もしくは真っ白
- レンズの特性、コサイン誤差、フォーカスポイントの位置による
それでは原因と解決方法を詳しく見ていこう。
カメラ本体が古い
カメラ本体が古いと、AFの精度も落ちる。2005年前後の一眼レフデジカメだと、屋外ではピントが合うのに、屋内の撮影では合わないことが多いという話も聞いたことがある。これはカメラを最新の物に変えればなんとかなる。
撮影者がカメラに慣れていない
撮影者がカメラを使い慣れていないせいで起こるピンぼけには、次のような原因が考えられる。
通常デジタルカメラは、初期設定ではカメラ上部のシャッターボタンを半押しすることでAFを合わせられるように設定されている。その半押しのまま、シャッターを全押しすることで、シャッターが切れ、SDカードやCFカードなどの記憶媒体に写真データが記録される。
しかしこれには問題点がある。AFボタンを半押ししてピントを合わせた後に、誤って指を離してしまい、「次はシャッターを切るだけ」とボタンを全押しして、AFを再度機能させてしまう。そうするとピントがあらぬ所に再合焦したのに気づかないといった事が起こる。結果、ピントの合っていない写真が撮れてしまう。
親指AFで撮影時の様々な問題を解決
解決方法としては、カメラの設定で、カメラ背面にあるAF-ONボタンにAF機能を割り当て、シャッターボタンはシャッターのみに切り替えることだ。この設定にすると、親指でAFボタンを押して、人差し指でシャッターを押すというプロセスを踏むことになる。これを親指AFといい、プロカメラマンも活用している。
親指AFの利点は、動き物を撮る時に威力を発揮する。動体を撮る場合、AFモードをAIサーボに切り替えて動く被写体をフレーム内に入れて、シャッターボタンを半押ししながら全押ししてシャッターを切るわけだが、親指AFに設定すれば、AFボタンをずっと押しながら、シャッターを矢継ぎ早に切れるので、シャッター半押し→シャッター前押し→シャッター半押し→シャッター前押し→シャッター半押し→(延々ループ)といった煩わしいプロセスを省けて、シャッターチャンスを逃さない。AIサーボの場合は、AFボタンをずっと押し続けている間は自動で被写体にAFを合わせてくれるので、楽なことこの上ない。そりゃプロカメラマンも使うわけだ。
また、フォーカスロックをする場合、人差し指でシャッターボタンを半押ししながら、構図を再構築するといった煩わしい手間も省ける。AF機能ボタンとシャッター機能ボタンを独立させることで、被写体との距離を変えずに構図だけを変えたい場合、カメラを上下左右斜めに動かしてシャッターボタンを押すだけなので、実質的に半押しのプロセスを省いた手軽なフォーカスロックとなり、撮影スピードが速くなる。カメラメーカーも購入時のデフォルト設定で親指AFにすれば良いのにと思う。
設定方法は至って簡単で、カメラの設定画面「ボタンカスタマイズ」で、「シャッター半押し」の項目を「測光・AF開始」から「測光開始」に変えれば良い。これでシャッター半押しからAFの機能が削除された徹底になった。
カメラの背面にAF-ONボタンがない機種の場合は、「*」ボタンで代用すれば良い。上述した設定に加えて、「*」ボタンの設定を「測光・AF開始」に変えれば、親指AFの設定できあがり。
フォーカスロック活用の過程で、コサイン誤差が生じる
ピントを合わせた後、フォーカスロックをしてカメラを移動させて構図を取った時に腕が大きく前後してしまう。カメラを斜めに傾けて撮る時に、AFでピントを合わせてフォーカスロックをしてからカメラを上下左右させると、コサイン誤差が生じてピンぼけしてしまう等々。
これらは撮影者がカメラの扱いに慣れていないのが原因だ。意識していないと、ピントは合っていると思っていたのに合っていなかったという事が頻繁に起こる。レンズの面に対してピントは合うので、フォーカスロックして構図を取る際には、体勢を崩さず、カメラを平行移動させることを心がければ良い。
逆光での撮影
逆光で撮る時には、AFではピントは合いづらい。AFが迷ってなかなか合焦しない。この場合は最終手段として、マニュアルフォーカスかライブビューモードに切り替えるしか手はない。黒目と白目の境のコントラストのある場所を狙って合わせると良いとは言われているが、カメラによってはAFが迷ったままで全く合焦しない。性能の良いカメラなら逆光でもなんとかなるだろう。
開放F値もしくはその付近で撮っている
開放F値1.4やF1.2で撮ると、ピントが合わない事がしばしばある。特にF1.2は少し絞ることでガッチリとピントが合うようなレンズ構造らしい(スタッフからそう聞いたが、うろ覚えなので間違えてるかもしれない)。そもそも開放F値での撮影は、ピントの合う前後の範囲が極端に狭いので、油断しているとピントが合っていないなんて事になる。
AFで合わせるなら何より慎重さが大事だ。更にAFの精度を上げる方法としては、開放F値に設定した後、撮影前にカメラ側のAFマイクロアジャストメント機能で微調整するか、合焦した後にピントリングを手動で回して勘で微調整するしかない。背景をぼかしたいのだけれど、撮影者がどうしても合わせられないなら、F値をF2~F4まで絞る手も考えられる。
暗い、もしくは真っ白
白い壁にAFを合わせようとすると迷う。暗闇も又しかり。この場合はライブビューモードを使うのが一番手っ取り早い。特に夜撮影ではライブビューモードは抜群の効果を発揮する。露出シミュレーションではノイズが出たりして見づらいかもしれないが、拡大して目を凝らして頑張ってピントを合わせよう。
レンズの特性、コサイン誤差、フォーカスポイントの位置による
焦点距離16-35mmや24mmのレンズを使っていた時のことだが、人物撮影で下から煽りで撮るとやたらピントが合わない。決まってフォーカスポイントが端の方にある時が合いづらい。50mmや85mmでもピントが若干甘い時がある。下からの煽りで撮る時は気をつけよう。フォーカスロックで構図を決める際に、気づかないうちにレンズの面を上下に大きく降ってしまうことで、コサイン誤差が生じている可能性もある。フォーカスロックをして撮る際にはカメラのレンズと被写体の両方の面が平行になるように、注意してカメラを動かそう。
といったところで、被写体とレンズ面とを平行に保ちながらカメラを動かすのは結構難しい。最終的には熟練した撮影技術が頼りになるだろう。
ピントをガッチリと合わせる7つの処方箋
というわけで、写真撮影でピントが合わないとお悩みの方の為の処方箋を上げてみる。
- カメラを最新の物に買い替える。
- カメラを親指AFに設定する。
- コサイン誤差を考慮に入れて撮る。
- ライブビューモードに切り替えて拡大表示、マニュアルフォーカスで撮る。
- カメラのAFマイクロアジャストメント機能でレンズ毎に微調整する。
- 絞り値を絞って撮る。
- 各レンズの特性(クセ)を知る。
ピントが上手く合わなくなった場合、これらのいずれかを実践すれば、必ずガチピンの写真が撮れるようになるだろう。それでもピントが合わない場合は、カメラかレンズが故障している可能性があるので、サービスセンターに修理に出すことをおすすめする。