何十回も撮りに行く場所でも、なかなか上手く撮れないという時がある。そういう時はメモ帳にでも、そのスタジオの特定ゾーンで撮影したカメラの設定を記しておけばいいのだが、普段は筆無精でメモも持ち歩いていないので、結局位置から露出を確認して撮ることになる。
冒頭の写真にあるこの場所は、やはり難易度が高い。皆口を揃えて言う。この日もコスプレイヤーさんを撮影していたが、一人の子がここで撮り合いしたことがあるけど、写真が薄暗くなったと言っていた。
このスペースはキラキラゾーンと呼ばれていて、アイドルキャラを撮るのにうってつけの場所だ。このキラキラ空間に憧れてわざわざ四国から来訪するコスプレイヤーさんもいるくらい人気の場所となっている。
カメラマンにとっては撮りにくい場所だ。左右の幅が狭いし通路も狭い。アンブレラやソフトボックスが立てにくい。3年ほど前にここで撮影した時は季節柄か時間帯が悪かったのか、天井から太陽光が射し込んでモデルの顔に当たり、上手く撮れなかったこともあった。
以前撮り合いでも相手のカメラで撮ったことがあるが、綺麗に写らなかった。キットレンズだったし、カメラの機種が古いせいもあったかもしれない。
その際に注意したのが、ISO感度の設定だ。屋内のスタジオでは、このような背景を撮る時には、ISO感度を上げないと、ストロボを炊いても背景が暗くなってしまう。背景を暗くしたいのならそれでも構わないのだが、アイドルゾーンなので背景は明るい方が良い。
もしくは明るい単焦点レンズを使うことだ。F1.4やF1.8のレンズなら、F値を低く設定すれば、ISO感度をそんなに上げる必要もなく背景を明るく出来る上、ノイズの少ない写真になり、更には背景のキラキラを程よく暈かして空気感を出すことも出来る。
もしくは手ブレ防止付きのレンズを使って、シャッタースピードを手ブレしないギリギリまで遅くすれば明るさを確保できる。
またゾーンの環境光によっては、ISO感度を上げるだけではどうしようもないこともある。下の写真は、F値3.5、ISO感度400、シャッタースピードは1/25秒まで下げられている。背景のキラキラはちょうど良い明るさで美しく映えているが、モデルの筆者の顔が暗い上に、下からの蛍光灯でお化けライティングになってしまった。ステージの前に出すぎたのだろう。
そこでストロボの出番となる。アンブレラかソフトボックスを両側において、被写体の影を飛ばして美しく撮る。ISO感度も上げることは忘れない。上げないと、背景のキラキラが暗くなってしまう。
以下の写真は別の日に、24mmの広角レンズで、上からの煽りで撮影した。シャッタスピード1/80秒、F値2.2、ISO感度320となる。焦点距離が短いのでシャッタースピードを遅めに設定しても手ブレしないのと、開放F値1.4の明るい単焦点レンズなので、F2.2と比較的明るめのF値で撮ることが出来るため、ISO感度は320程度の設定でも背景のキラキラを明るくすることが出来た。
ストロボがない場合は、ステージの中央に立って貰うか、脚立に乗って、顔を上に向けて貰って、上から撮れば良い。天井に備え付けられている蛍光灯の光が綺麗に顔に当たるしキャッチライトも入る。要はどのような場所でも光を読むことが大切である。